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前編

三部構成予定。

眠りについた町の路地。閑散としていて道行く人は誰もいない。


都心近くのベッドタウンに我が家を持つ俺は脳内に流行りのテクノを響かせながら家路を急いだ。この頃は電脳犯罪が多発していて最新の防壁を求められるから、子供の寝顔を眺めてばかりで一緒に夕食を食べることも滅多なことになった。


一般家庭から特別な顧客に国家レベルの安全までも担う、業界でも五本の指には入る大手のテクノロジー企業であるトヤマ電子。そこのセキュリティ部門の主任である俺は低度のウイルス処理から新型の攻勢防壁の構築となかなかの仕事量を与えて頂いている。けどはあ、とため息。


それなりの遣り甲斐はあるがなぜ企業の資本を潤すために馬車馬みたく働かされないとダメなのだろう。技術は身に付くが生産性のない講演やセミナーなどの業務も増えつつある今日この頃刺激が足りないよな、などとぶつくさ愚痴ききながら歩いていると電灯も少なくなりいよいよ愛しの家族の元へと近づいてきた。


ああ、玄関をくぐったその瞬間が至福の時だ。自分のことをしっかりと信用してくれるわが妻と娘。家族のことを考えると心が癒される。


あいつと出会ったのは確か大学を卒業して社会人一年目の時だ。慣れない職場、仕事を覚えることに必死になって働くことの大変さを痛感していたとき。長い一日が終わり、帰りに寄ったどこにでもあるカフェで隣同士になった。偶然同じメニューを頼み、偶然同じタイミングで席に腰を掛け、偶然企業が貸し出しているパソコンを開きそこで同じ職場の同僚であることがわかり、たわいのない話をしたのがきっかけだった。


そこでなんとなく運命をお互いに感じ交際が始まったんだっけ。思い出に耽りながら真っ暗な路地を曲がり残りわずかな距離というところで、この街にはふさわしくない深紅色の服を着た二人組が目に入った。


背の高いのと小太りのとで普通とは疎遠な身なり。二人とも分厚いレンズを有しており抑え込まれた眼球は真っ赤に充血していて、ちらりと目をやるとこっちをまっすぐ向いていた。


なんだか嫌な予感がしたので、少し早足で通りすぎようとすると、片方の背の高い男がもう一人に耳打ちし軽くうなずくと、俺に素早く近づき、避ける間もなく手に持った鈍器で俺の頭を殴り付けた。その衝撃で数メートル先の電柱に体を強くぶつけ、前のめりに倒れこむ。意識が一瞬無くなり、視界が真っ暗になると高音の耳鳴りと共に激痛に襲われた。後頭部からは生暖かい血液が止めどなく流れてれいくのが感じ取れた。


俺は上体を起こそうとするも両肩を強く押さえられ首にある電脳差込口にコードが差し込まれると、脳内で素性のわからないシナプスが踊り狂った。電脳をジャックされたようだ。四肢が棒のように重くなり力が入らなくなる。


それなりのセキュリティレベルで警戒していた防壁を簡単に破られてしまった。といってもほんの入り口付近までだが。相手の動きを茫然と眺めていると、何やら会社の機密情報にアクセスを試みているようだ。


なんとか気を保ちこちらも応戦しようと相手のシナプスに細い糸をからませながらそいつの頭に進入を試みるもすぐに気付かれる。聞いたこともない言語で2,3捲し立てると真っ赤な帽子を被った男は大きくうなずき、汚らしい鞄から剥き出しの注射器を取り出すとそれを俺の首にぶっさす。途端に頸動脈が波打つと、意識が遠退いていき、記憶はそこで途絶えた。


気付くと錆び付いた机にうつ伏せに固定されていて、すぐ横には清潔とは程遠い医療器具が並べられていた。奥には小判のとれた招き猫、アメリカンショートヘアと三毛猫のミックスされた像が飾られている。色は赤。どこかで見たことあるその人形の目にはなんとなく生があり気味が悪かった。


すると、チクリと首筋から痛みが走った。力をこめて抵抗を試みるも無力で、麻酔が効いているのか思うように体に力が入らない。覚醒しつつあることがバレたのか甘い匂いが鼻腔をかすめ、また意識が遠のいていった。



彼女はいつものように堕落が支配する街に流されてくる、憐れな犠牲者を待っていた。ここの住人はクレイジー。無秩序の中に秩序があり、無法者ほどしきたりを守る。街全体が矛盾した最低最悪のスラム街。おそらくそろそろだろう、視野領域を拡大し犠牲者を看取る準備を始める。


しかし今回はいつもとは違った。彼女は気怠そうな眼を何度もこする。まさかあいつがヒットするとは。連日既知世界を騒がせた張本人。しかし、もしホントにあいつならなんて運の悪いこと、それとも運命の悪戯か。ふっと笑みが浮かぶ。腰を上げると手首を軽くさすり、捉えられている彼のもとへと向かった。



次に目覚めたときは、生ゴミと油の匂いが全身から感じた。どうやらどこかの建物にいるようだ。廃棄物だらけでその悪臭があたりを包み込んでいる。よれよれになった背広を軽く手で払い、時間を確認しようとするがなぜか外部と同期できない。


今の時代どれだけ田舎だろうと、無人島だろうと電波の届かない場所はない。意図的にシャットアウトしているのならば別だが。もしそうだとすればここは禁止区域内かもしれない。


この国有数のスラム街。かつての栄光からは想像できない、富裕と貧困の二極化が進んだために生まれた日本の闇。一歩でも足を踏み入れると満足な体で戻れないという噂は常識となっていて、やんちゃ盛りの少年たちもここの話題は避けていた。頭がくらつくなか、いつも脳内に垂れ流しの資本社会の雑音が聞こえないのは相応しくないが気分が良かった。


あたりを見渡してると、首元に鋭い痛みを感じた。触ってみると、電脳差込口のすぐ下に今までは無かった異物を感じた。親指大はあるそれは少し出っ張っていて、ナノチップにしては大きすぎるがマイクロチップには小さすぎる。


この頃、裏社会の組織同士の抗争が活発になっていることはニュースで繰り返し取沙汰されている。もしかしたらそのいざこざに巻き込まれたのかもしれない。そこらの一般人を拉致って情報の伝達手段として利用する。そして用済みになったら目の届かないところでポイされるのだ。


不味いことになったなと思いこのチップにアクセスしようとしたが、どうやら自死回路が組み込まれているらしく下手に触れるのはやめておいた。俺は解体屋ではなく防壁屋。爆弾の取り扱いには慣れてない。とりあえず電脳社会に強制アクセスしてみるがやっぱりここでは無意味だった。


ゴミ溜めから抜け出し辺りを見渡すと、階段の昇降口からこちらを覗いている人影が見えた。近くにあった鉄パイプを拾い用心しながら遠ざかる。


すると、その影がこちらへ向かってきて姿がはっきりみえた。黒い髪を後ろで結んだ背の高い女。


「やっと目が覚めたようね。私に着いてきて。あんたを助けてあげたのよ」


「助けてあげた?」


「そ。あんたは良くない連中に拘束されていた。それをたまたま私が見つけたの」


彼女は虚空を見上げ時間がないわと呟くと、ついてきてと足早と進んでいく。現状をまだ理解できておらず戸惑う俺に、死にたいのと彼女から急かされ自ずと後を追う。


彼女は2,3簡単な説明をすると駆け足である目的の場所へと向かっていった。どうやら俺はとあるビルの一室に監禁されていたらしい。


あの真っ赤な連中はこの街の運び屋で、目的はわからないが何かヤバめのチップを首に埋め込まれた。が、彼女がそいつらの目を掠めて俺を逃してくれた。


行方がわからなくなったことに気付いたそいつらは血眼になって俺を探しているらしい。すでに多額の懸賞金を掛けていて大金目当ての無法者がそこここにいるとのこと。それに、そのチップには覚醒と共に追跡機能が作動するような代物だが、この街の外縁部はジャミングされていて、かつ追跡装置は一時的に停止させといたからいまはまだ安心して告げた。


俺を拉致った二人組はトチったことに対する罰か二日前に澱んで底が見えない川に死体となって浮かんでいるのを発見されたらしい。体はひどい拷問により無数の傷痕が残っていて、顔は人間かどうかも定かではないくらいに潰れていたそう。けど、ここではそう珍しくないし、体をバラされてないのは幸運なほうだと教えてくれた。ということは48時間以上経過しとことになるのかと尋ねると、それ以上の72時間経っていたことも聞かされた。時間は関係ない、重要なのはあんたの目が覚めること。


そういう彼女の素性は全く分からない。けれど、どこか懐かしい匂いがして、けっして信用したわけではないが、勝手のわからないこの街を一人でさまようよりは、ホントかどうかはわからはいが"救ってくれた恩人"の彼女についていくほうが得策だと感じた。


「なぜ俺を助けた?」


「縁。確かな縁よ。それにあなた、行突然行方を眩ましたから連中よっぽど驚いたようね」彼女の口角が少し上がったようにみえた。


「俺はごく普通の会社員だ。だから、3日も音信不通になるとさすがに不味い。それに家族も心配だ。特にあいつらが。だからすぐにでも連絡を取りたいんだが」そういうと彼女の口角がまたもとのへの字に戻り、


「あなたが思っている以上に深刻なことが起こってるの自覚してる?そんなことしたら彼らに足がつくでしょ、言うまでもないことね」


苛立った様子でそう言ったかと思うと、彼女は足を止め、頭を少し垂らし、今の生活に満足してる?と尋ねてきた。突然の質問に少し戸惑いながらもああ、それなりになと言う。その家族とは上手く言ってるの?もちろん、あいつらがいるから俺はやっていける。


そういって、俺は背広の内ポケットから名刺入れを取り出すと一枚の写真見せる。旅先で撮った家族三人が幸せそうな表情をこちらに向けている一枚。髪の長い可愛らしい顔した女性とまだ幼い歯の抜けた少女。三人とも屈託のない笑顔だ。それを見た彼女は複雑そうな表情を見せると、絞り出したような声で彼女らはきっと大丈夫だわと言った。


廃れて汚れきった道を通り抜けながら、一度だけだがずいぶん前にスラムに訪れたことがあるような気がした。なんとなくだが通りに懐かしさを感じる、がいつ訪れたのか全く思い出せない。


しかし、道行く人はだいたいが電脳差し込み口を持っていて、通りの店は高額だが最新のハイテク機材が売られており、アナクロだと思っていたスラムもこちらの世界とも密な繋がりを持っているよう。噂とは掛け離れている現状に少々驚いた。


そもそも、スラムは情報社会へ辟易した有識者達が、アナログ時代のノスタルジックな希望と共に作られたのだが、彼らの意図とは反し、やはり人々はデジタルを求めているようだ。


それに、中心街からはうっすらと繊細だがここまで電波を通してくれている。試しにこっそりと彼女の電脳に探索をかけてみたが、なぜか全く当たらない。足のつかないよう簡単なやり方ではあるのだが、素人ならこの程度で個人情報を引き出せる。現に、近くにいた通行人に対しては上手くいった。といことは彼女の防壁が俺より一つうわてなのか、それとも素面なのか。


「ずいぶんと遠回りしてきたから時間がかかったけど、ここから2ブロック進んだ先に見える建物がとりあえずの終着点。あと、私を疑っているようだけど、命の恩人に対する態度ではないわね」


どうやら、彼女は気付いていたようだ。なんだか恥ずかしくなった。


その"目的地"に近づくとそこらのと同様、空高く聳える建物が目にはいる。1階部分にはド派手なアーチ状のネオンがきらめており、“居酒屋”とかかれたのれんが昼間からかけてあった。その周りにはいかにも悪そうな連中がたむろしていたが、彼女はそんなのは気にもせず堂々と入店しようとした。


「おい、姉ちゃん。ここは悪の坩堝。あんたくらいの子が入るような、穏やかな場所じゃあねえな。それにその連れどっかで見覚えがあるじゃんよ」


ニヤニヤしながら連中が彼女を見上げるが、軽蔑したような表情を浮かべたかと思うと、高速で電脳ジャックした。するとそいつは硬直し、数人は泡を吹いて気絶した。彼女は何も言わずに店の中へと入っていく。戸惑う俺は慌てて後を追う。ふと、遠い記憶が脳をよぎる。今のハックの仕方にどこか見覚えがあるような…。


「今のって…」


彼女は俺の呟きを聞こえないふりをし、店内に入っていった。


店内は昼間なのにかかわらず50席ちかくあるテーブルはどこも満席で活気に満ちていた。酒臭い人や義体むき出しの腕をもつもの、それに自立型人工知能も入り混じって、機械に人種の垣根を超えててんやわんや騒いでいる。


人型機械も一応は人と同じ料理を食べるフリをすることができるが、ここでは俺の知る世界ではありえない人工知能向けの、といっても液状のオイルやジェルだが、メニューが見えた。それをおいしそうに食べる姿はまるで人間のようだ。彼女はここの店主と目配せをすると、泥酔する人々を押しのけ奥にある戸を開き階段を上っていった。


2階はフロア全体が青白く、中央にある大きな水槽には高級魚が泳いでおり、1階とは全く異なる雰囲気を醸し出している。カウンターには、背広を着た堅気とは思えない人々が怪しげな商談を進めており、明らかな部外者が入ってきても気にした様子はなかった。穏やかでない空気感に少し身構えたが、このフロアも通り過ぎ次の階へと進んでいった。


3階は古びたホテルのような、赤いじゅうたんが敷かれた狭い通路が走っていて、両側には部屋がいくつか並んでいた。そして彼女は、左手の奥から二番目の扉を無機質にノックし分厚い扉を開けた。


どうやらここが目的地らしい。部屋を覗くと中は縦に細長く真っ暗で、奥にあるモニターの前には巨体の男が座っていた。モニターには夥しい数の数字が散列しており、何らかのデータを解析しているようだ。床には足の踏み場もないくらいにペットボトルやプラスチック製の弁当箱が散乱していて、天井には蜘蛛の巣が幾重にも重なっている。


「きたよ。少し急いで。そろそろアイスが溶けそうだわ」


 男は振り向いた。何年も髭をそっていない、それどころか風呂とは無縁そうな汚れた顔をこちらに見せる。


「久々に姿を見せたと思ったら。相変わらずのアンニュイな表情で。あなたはじめまして」


 重圧感のある声質。椅子から重い腰をあげると、膿のような悪臭を漂わせながら、よろよろとこっちに近づいてくる。まじかに見ると、腐敗した額や頬にはうっすらと苔が生えており、それに加えて余りの臭いに思わず後ろへ下がるが、近づいてきた男は半ば力づくで俺の体を反転させる。人差し指と中指を使って首に埋め込まれたチップをなでた。なんだかいやらしい手つきで何度も触ってくるので背筋が凍りつきそうになったが、どうやら電子指紋から回路へとジカにアクセスしているらしい。女は壁にもたれながら無表情でその様子を伺っている。


「また可哀想に」


突然、巨体の頭からつま先まで縦に真二つに割れたかと思うと、中から豊満な肉体を持つ下着姿の金髪の女が這い出てきた。


思わず声をあげそうになったが、人差し指を俺の唇に当てると妖艶な笑みを浮かべ黙らせる。ふう、と息をはいた。外の空気を吸うのは久しぶりなのか軽く深呼吸する。唖然と見守る俺をよそに、今まで被っていたドでかい装甲の基盤をさわり自動制御に切り替える。無人の機械はモニターの前へと戻っていき中断していた作業を再開した。


「アミー、そのチップはどんな感じなの」


安っぽい代物ね、アミーと呼ばれた女はそういうと、くびれた腰からコードを引っ張り出し、有線で電脳へとアクセスした。無意識に防衛態勢をとろうとするが、耳元で抵抗してはダメと優しく囁かれると、脳が軽く氷ついた。


どうやら電脳を介してチップへとアクセスする気らしい。彼女は頭蓋内を素通りし異物の回路へと迷い込んでいった。視覚デバイスに切り替えると、電脳空間上の彼女は可愛らしいドットアイコン媒体でニコニコした表情を浮かべながらすっと中へと進んでゆく。


「なるほどね。これはめんどくさいけど」


そういうと、回路に仕組まれた難解な仕掛けを次々と取り除いていく。なかなかの腕を持つ技術者らしい。いとも簡単に罠を解除していくと、そこには追跡装置が赤く点滅したまま止まっていて、その奥にはサイベリアンコードと呼ばれる人格制御型のウイルスがゴーストラインギリギリで凍りついていた。その周りには顧客情報が数千と数珠繋ぎに螺旋状に巻き付いている。


「おー、なかなか際どいところまで。あなた、彼女が一歩遅ければ疑似記憶を植え付けられるところだったわよ。でも、個人情報は一部抜き取られたみたい」

彼女は質問する。


「抗体は?」


「このサイベリアンを見るのはじめてだけど、一世代前に流行ったのを試してみるわ。中和できるかもしれない」


没入ダイブを終えると近くの棚を開きたしかここら辺に…あった、と言うと彼女の手には配線剥き出しのハードディスクが握られていた。


「一瞬だけだから我慢してね」


何かに気付いたのか、ちょっと待ってと黒髪の女は制止しようとするが、アミーは俺の首もとにある端子に接続。頭のなかに静寂が訪れたと思うと、チップに強い熱がこもる

と同時に軽い脳震盪がおき、一瞬視界が真っ白になった。


「いけたみたいよ」


口元をにやりとさせながら、アミーは女の方を振り返ったが、黒髪の女は不安げな表情を浮かべてた。しかし俺の頭がどんどん熱を帯びていく。なんとか声を絞り出して、


「なんだか頭がおかしい。なんとなく意識がもうろうとし…」


すると突然、体がガタガタと震えだしたと思うと、見覚えのない映像がオーバーフローし始めた。真っ暗な部屋に数人の若者、モニターの明かりがそこらから部屋を照らしていた。それに黒髪の女。


しかし、顔は幼くまっすぐこちらを向きながら、心配そうに大きな声で何かを訴えていると思うと、グニャリと顔がかわり、額に横切る傷のついた男が銃をこちらに突きつけている。何か大声で言い争いをしているが、何をいっているのかはわからない。その時の高鳴る心臓の音が脳内を駆け巡ったと思うと、今度は真っ白な部屋にいた。ベッドに横たわる俺の傍にはその少女がぐっと手を握りしめている。大丈夫だから、大丈夫だから、大丈夫だから。


「これはいったい…頭がかち割れそうだ」


今度は見たこともない女が現れた、とても冷たい目でこちらを見据えている。


遠くでドアを叩く音がした。ばれちゃったみたいねとアミーの軽い声が聞こえる。銃弾のぶつかる音が部屋全体に反響。部屋全体がガタガタ揺れ始めた。


"噂ではなかなかのホットドガーだったらしいけど所詮は巷の程度なのね"


扉の外からは怒鳴るような喧騒。


"残念だけどお前はここまで、調子に乗るからこんなことになるのよ"


俺は止めどなく流れてくる映像を抑え込もうと両腕強く頭を押さえつける。しかし耐えられない。


黒髪の女が何かを怖れるような今までとはちがう神妙な顔つきでこちらを見ている。徐々に感覚が遠退いていき俺はまた意識を失った。




部屋の揺れが収まり銃声も聞こえなくなった。

私は意識のない彼の身体をしっかり支え、抱き抱えるように床におろした。


「あら、大丈夫?」


「それより部屋のすぐ外にお客がきたのは?」


ミユキは廊下に取り付けられた防犯カメラの映像を確認する。入口にいたアホ面のジャンキーたちは左手二番目の扉をぶち破り中へと入ったが、そこは誰もいない空っぽの部屋だった。


「空間変移したから安心して。今は最上階のVIPルームのすぐ横。けど、そこの扉を開けると目の前には壁よ。それにまだやつらじゃないわ」


すぐそばのボックスから紙巻を取り出し火をつけると、私に一つ差し出しあなたもどうと言われ受け取った。


「すごい仕掛け」


口から吐き出された煙がゆらゆらと天井へと消えていく。そこらのジャンク品よりも質の良い上品な味わい。強張った体が少し解れてきた。


「それより、さっきの記憶の断片……。彼もしかしてホットドガーのメンバーなの?」


「昔の話、今は違うわ。そこらのつまらない企業勤めの男よ」


「そう。たしかにこの顔には見覚えがないわね」


だらしなく倒れている男をみると、焦点の合わない目で壁を凝視していた。黒い背広に地味な色のネクタイ、髪はボサボサだが普段はワックスで揉み込みしっかりと身なりを整えてるのだろう。こっちの住人の雰囲気は全く感じない。


「悪いけど素性は言えないわ」


「ごたごたに巻き込まれたのに。サイベリアンは<レッドキャット>のお気に入りの手法ね。彼らこの頃活発に活動してるから関わるのは避けてたのよ。ここ、しばらく使えなくなったわ」


ちらりと横目で、こちらの顔を覗き込んでくるのがわかる。けど私は口を開かなかった。


「そういわれれば十年ほど前」


灰をそこらの空容器の上に落とす。地面にはシケモクが散乱していた。


「今はしけた名のやつしかいないけど、ウィザード級の凄腕ハッカーたちが、力試しにこの街に集まったらしいわね。そのなかでも頭が一つ抜きん出たのがいた。たしか、クロマと名乗った若者」


火先をぼんやりと眺めながら私は言った。


「死んだわ」


「死んだ、ね。たしかに身体は埋葬されたけど、噂に聞くと脳から脊椎にかけては抜き取られてたとか」


「あまり故人を詮索しないでちょうだい」


「もしかしたら、今回の気付いての犯行かも」


「それはないわ」


だって真実は私しか知らないもの。葉っぱの火を消し指から落とす。


「まあ、私には関係ないからいいけど…。これからどうするつもり?」


「とりあえず私のセーフハウスに身を隠すわ。彼、どのくらい探索かけられたかわかる?」


「そうね、もしかしたらさっきの記憶の断片までしっかり見られたかもしれないし、そうでないなもしれない。とりあえず時間はこっちで稼いどくわ。」


「ありがと。けっこうな額が掛けられてるけど売らないでね」


「大丈夫。その分も上乗せして請求するから」


幾らでも払うつもりと答えると、法外な料金よとアミーは言い、ミユキはふっと笑った。


「あんた一人じゃ大変だろうから私の相棒貸したげる。戻る気があるのはらいつでも戻ってらっしゃいね」




電脳空間サイバースペース、周りには賑やかなアイコンの群れが煌めいている。シンプルな丸い形をしたシルエットに人から獣型にと、特徴のないものから目だったものまで様々な種類。


光速で空間内を走り回る先には、うっすらとみえる巨大なマルチオブジェクト。目標を視認すると横並びだった軍勢が我一番にと速度をあげてゆく。


警戒ラインを越えると侵入者検知器からアラート音が鳴り響き、視覚内が真っ赤に点滅しはじめた。同時に向こうの防衛アレイが作動。正面から衝突した数個のアイコンが消滅した。被害3%そこらですと支援aiによる状況表示。オブジェクトから続々と放たれる敵の増援は増えてゆき、衝突しあってできた火花があちらこちらで散ってゆく。


目標到達、時間にして15.77セカンド、あと少し。数個の防壁装置は今だ無傷。へへ、やっぱ楽勝だな。この程度で落ちる奴等は練度の低い三級品。余裕の笑みを浮かべるも、しかしあとわずかのところで予期せぬ慟哭。あちこちから悲鳴が聞こえ数が一気に減った。損傷86、87、88…%。なんだ今のは。


そっちは大丈夫?淡く揺らめいている魂型のアイコンに訪ねられたが、意識が薄らんでいて返事ができない。眼下には真っ白なベールに包まれた、未知のモジュールが空間上に出現していた。


抗体を散布するがどれも効果を現さない。攻性ウイルスを射出するも、次々と放たれる白い粒状の衝撃波に打ち消された。それは何度も何段にもわたって放たれ続く。そして避けきれずにわずかに被弾。と同時にリアルの全身の筋肉が強く痙攣。かすった程度の一撃でここまでとは、未知のウォールか? 操作卓から手が滑り落ちた。防衛装置は全て破損、支援aiは凍りついている。視界が真っ暗になった。




目が覚めると俺はソファの上で横になっていた。掌がびっしょり濡れていて額には大粒の汗。今のはいったい…。それに最後まで一緒にいた少女の声。


俺は重い体を起こして周りをみわたす。そこは大きな部屋で窓にはディスプレイが嵌め込まれており明るい日差しが室内を包み込んでいる。質素で綺麗に配列された棚やクローム調のダイニングテーブルが並んでいるがどれも生活感がない。すぐに気付かなかったが体からは膿んだ臭いが纏わりついていたので急いで上着を脱いだ。この悪臭にここはいったい。


ぐらつく頭を働かせる、さっきまでは別の薄暗い部屋にいて、何かわからないがよく分からないのがフラッシュバックして、それから…思い出せない。


頭を軽くふる。立ち上がり辺りのものを眺めていると部屋の奥から水の流れる音が聞こえてきた。浴室に誰かいるようだ。近付いていくと声が聞こえるが遠くて何を言ってるのかわからない。


リビングのドアを開けるとシャワーの流れる音が止まり浴室からバスタオルを巻いた女が出てきた。 華奢な体つきで太陽の光を浴びていないのか肌は青白かった。


「目覚めたの。意識失うの得意な方?」


「ここはどこだ」


すると後ろから大柄の男が出てきた。狭い部屋でみたスメルの男。


「ここは私の隠れベッドよ。後ろの彼匂いが悪いから綺麗にしてあげてたの。ついでに私もね」


男は無表情でこちらをみている。


「何じっとしてるの。あなたも疲れただろうからお風呂に浸かりたいのはわかるけど、私が着替えるのも待てないくらいなの?」


まだ体は濡れていて肩から湯気が立ちのぼっている。


「ああ、そうだな。ちょっと朦朧としていて気が付かなかった」


「わかったら向こうで待っていて。お前も向こうでね」


わかったと機械チックなヘビーボイスを出すと俺はそいつに押し返されたながらリビングへ戻った。

ソファに腰掛け目の前の巨体をみる。顔に生えた苔は綺麗に洗い落とされていてあの悪臭が石鹸の香りに変わっていた。


「おまえは機械なのか?」


「私は仁科亜美が造り出した人工知能。この機械カラダは日本工業が製造している量産型の日常支援ロボットを戦闘モデルに違法改造したものだ」


そういうと右腕をあげ、手首から上腕にかけて3つに割れると中から重火器が飛び出した。


「なかなか物騒だな。名は?」


右腕を元に戻し、近くの棚からウイスキーを取り出すとコップを1つ手に取り、溢れんばかりに注ぐと俺に手荒く渡した。


「ザイン。おまえは?人間か?」


「俺は黒間明。ああ、そうだ。体は10年前にひどい交通事故にあって、生身じゃないけどな」


今の時代機械は電化製品のように大量生産されていて昔みたいに高額な代物ではなくなっていた。介護から軍隊、果ては愛玩用のロボットまで作られる時代。倫理的問題は時間の流れで有耶無耶となり、身体障害がなくても美容整形みたく自分の体を機械化するのは普通のことになっていた。


あくまで身体的延長線状という目的である場合は法律で許されているが、なかには違法改造された腕や脚のパーツを裏で販売している店もあるらしい。ストレートを一気に飲み干し二杯目を注いでもらう。やはりこのくらいでないと体には効かない。


「全身義体のわりにはかなり馴染んでいるな。」


「まあな。それより今の状況が全然整理できてないんだが」


「おさき。まだ時間に余裕があるから先に湯船に浸かってくれば。少し気を休めた方がいいわ」


振り替えると女は白いナイトウェアに着替えており頭にはバスタオルを巻いていた。少し考え、


「そうだな」


俺は彼女に従い浴室へ向かった。体全体が軋んでいて重怠い。服を脱ぐとくたびれた体が鏡に写る。疲れきった顔をしていて頬が少し痩けおり、目は窪んでいた。


風呂に浸かると体のかすり傷がしみわたる。けど気持ちが良い。中はアロマを炊いているのかラベンダーの香りがした。


はあ、とため息。俺はいったい何をやっているのだろう。今までのことを振り返ってみる。数日前までは普通の生活を送っていたはずなのになぜ俺は見知らぬ他人の家にいる?いったい何に巻き込まれたんだ?会社には無断欠勤が続いていてちょっとした騒ぎになっているのだろうか。行方不明者として警察に届け出はもうでてるのか。それよりも家族は本当に大丈夫なのだろうか。それにさっきみた夢。それに謎の彼女。


なぜいったい赤の他人を助けてくれるんだ、みたところ博愛主義者には到底思えないし。夢の中にでてきた少女はなんとなく彼女の面影があるような気がするが。それに最初に出会ったとき妙に親近感を覚えたのは気のせいか。


ああ、考えても考えても埒が明かない。本当に俺はどんな事件に巻き込まれたのだろう。普通の頭では全然追い付かない。今回のことは全てトヤマの仕掛けた太刀の悪いドッキリであってほしい。そうなら早くネタバラシをしてくれ、限界だ。はあ、俺は考えるのをやめてこのリラックスできる空間に身を任せることにした。


「長かったわね。疲れは取れた?」


風呂から上がるとテーブルには即席の食べ物が並べられていた。そう思えば久しく飯を食っていないことに気づく。目の前にあったピザをまとめて手に取り、強引に口に突っ込んだ。


「ああ、気分はましになった」


ウイスキーの瓶を掴みそのまま口に注ぎ込む。ザインは機械用リキュールを片手に違う方向を向いていた。


「それはよかった」


「いったいあの部屋で何が起きたんだ。それにおまえは誰なんだ?」


「自己紹介まだだったわね。私はミユキ。普段はスラムで見送り人をして生計を立てているのよ」


ミユキ、その名前には覚えはなかった。


「見送り人?」


「そう。普通の人がよく"落ちて"くるのよ、こっちの世界にね。そういう人たちを助けてあげてる、いわば慈善事業の一環みたいにね」


「その報酬は?」


「社会復帰してからたんまりと貰う。特にあなたみたいな大企業に勤める人だと弾みが良いのよね」


少しにやけながら彼女はストローの先を唇で弾く。


「そんなことばかりしてると裏の連中に目をつけられるだろ?」


「私だって厄介事はごめんよ。普段はたまたま迷い混んだり用済みになって捨てられた可哀想な人たちを救ってあげてるわけ」


手についた脂をティッシュで拭き取り肉の載ったプレートを手に取る。


「あなたに取り付けられた回路は上手く処理できたわ。その衝撃で気を失ってしまってただけ。その間にそいつの中に入れてここへ運んだのよ」


「亜美以外の人をいれたのははじめてだがな」


首元を触ると異物は取り除かれていた。


「無くなってる。けど、あのときに流れ込んできた記憶の断片は…」


「よくあることよ。人格をいじるタイプのは特にね。意識が混濁してしまうのよ。知らない記憶を植え付けられそうになったのだから当然の事よ」


「だとしても腑に落ちない。あまりにも現実味を帯びすぎていて」


「気にすることはないわ。じきにおさまるから」


「それならいいが。しかし、俺を助けても見返りは少ないと思うぞ。そこまでしてなぜ俺を」


「特別で気まぐれ。それに、何かの縁って言ったわよね」


そういうとミユキはメロンソーダを机の上におき立ち上がった。


「とりあえず。これからしなければならないことがいうつかあるわ。ひとつはあなたを拉致った<レッドキャット>の寝座に忍び込んであなたのデータを消すこと」


「レッドキャット…」


聞いたことがある名だ。赤猫マークのマルウェア被害にあったと相談される件数が近頃軒並み増えていて悩みのたねのひとつだった。


「そう。彼らはどうやらある人物たちの情報を欲しくてあなたが狙われてみたい」


「人物たち?」


「あなた、トヤマ電子で働いてるでしょ-お眠の時に少し調べさせてもらったわ-そこの顧客で電脳工学の山中蔵之助博士や情報セキュリティの門田正規教授」


「きいたことあるな、彼らの防壁は俺らの部門が管理している」


「そう。彼ら近々行われる電脳規制に関する法案の審議会に招待されてるわ。もちろん賛成意見をのべるだけのポチとしてね。もし、その法案が可決されると困るのは私たち既電脳化した市民だけでなく裏稼業の連中も。誰も商売できなくなるわ」


この法案は近頃頻繁に報道されている。技術の急速的な進歩に法律が追い付けてない昨今。誰もが電脳化を進んで受け入れる実態。


資本社会がそそのかし、そうであることが普通であると吹聴してまわる国をも牛耳る大企業の群れ。電脳化は万人が受け入れ、インターネットが日常に浸透したようにすっと社会へと溶け込んでいった。しかし、まだまだ未熟なもので悪に抗うための法整備どころか技術も未発達。対処療法的な後追いでしか悪に対峙できない現実に政府は頭を抱えていた。


今更電脳化を禁止することはできない、ならばいきすぎた自由を制限するしかない。そう考えた愚鈍な政治家たちは電脳領域の縮小、すなわちアクセス可能な領域をローカルにまで狭めて個人の活動範囲を限定し、自分以上の情報を得られないようなそんな荒唐無稽な計画を立案した。さらに個人の安全を守るという名目上で各電脳に国家お墨付きのセキリュティソフトのインストールの義務付け。けれど、それは張りぼてで、実際はパッケージにはいつどこで誰が何をしたかを記録する記憶装置が埋め込まれており、逐一諸管轄に報告される仕組みとなっていて完全なる監視社会を生み出そうとしている。


当然こんなことは、形だけだが自由を掲げているこの国の憲法に反するもの。しかし、憲法を改正してでも、是が非でも電脳規制法は成立させたいという政府の思いがあった。悪の方がいつの時代も力は強かったが今ははるかにパワーバランスが狂っている。今の電脳世界は、例えれば真っ赤に染まった刃物を手に街をあるいても逮捕どころか職務質問すらすることもできず、黙って指を咥えてるしかないようなもの。


正義の完全なる敗北。真面目に働くよりも裏の世界で生きた方が生活の質は約束されている。人が機械の代替品となったのはいつからか、人権よりも機械権が優先される、そんな狂った社会を是正したいのだろう。個人の自由と引き換えに身の安全を保証するシステム、自由か束縛された安全か…。


「で、それをなんとか有耶無耶にしてもみ消したいみたい。あなたに仕込まれたサイベリアンコードは易感染性のウイルスみたいなもの、恐らくそれを彼らにも感染させて法案成立を遅延させるか廃案にするのが狙いみたいね」


「なるほどね。電脳規制法は俺にとっても仕事的に死活問題、プライベートでは論外な話。やり方は気に入らないが俺は正義のための犠牲者になりかけたのか…」


みゆきはフンと鼻で笑った。


「正義、ね。そんな感覚彼らにあるのかしら。金さえ貰えれば何でもする連中よ。」


「けど、電脳規制法は…」


「良いこと教えてあげようか。今回拐われたのはあなただけじゃないわ。同僚の汐見と藤西も同じタイミングで行方がわからなくなったみたいよ」


「なんだって…」


「彼らは、残念ながらもうサイベリアン色。既に日常に戻っていて明日にでも出勤するんじゃないかしら」

「それはまずい。しかし、もう手遅れか」


落胆した。あいつらも犠牲になったのか。


「あら、諦めるの。潔いよい人だこと。正義のための犠牲ならやむを得ないって感じ?」


「人格矯正までされたら、手の施しようないだろ」


みゆきは嘲るような笑みを浮かべた。


「一般的には確かにそうね。でも私たちは国家の防壁だろうが個人の深奥だろうが簡単にアクセスできる技術を持っているわ。」


「ゴーストラインに深入りするのは禁忌中の禁忌だ」


ゴーストライン、人格を形成する精神そのもの。だが実際はいくつものシナプスが連なってできた巨大な天然のニューラルネットワーク。


というよりそれを模倣して作られた数兆もの神経細胞が重なりあわせてできたもの。一つ間違えば人格がまるで変わってしまうのでゴーストラインへの侵入は法律で禁止されていた。


「彼が彼に戻る保証はないだろ」


「何もしなければ彼はもとに戻る可能性はゼロね」

「だが…」


みゆきは口を挟んだ。


「机上の空論にはもううんざり。あれこれ、考える暇があるのなら頭よりも体を動かしなさい。」


みゆきはすっと立ち上がり両手を組んで体を伸ばした。


「ふう、、、。私は彼らの根城に向かうことにするわ。あなたはとりあえず日常に戻りなさい。そして、あなたの同僚の一挙一動をよく観察して私に逐一連絡なさい。私のアクセスキーをあなたに授けるわ。」


そういうと俺の頭にデコピンをした。脳内に彼女の抽象的思考が流れてくる。


「あなたと私、似たような思考構造ね。あなたも電脳は常にオープンにしときなさいね。では、いくとしましょうか。」


窓に映された映像がふっと消え、月の明かりが部屋に差し込む。月光に照らされた彼女の顔には笑みが浮かんでいる、そんな気がした。

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