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C尺

『これを見てください。目盛りの左側にアルファベットが並んでいるでしょう。上から、ST,S,T2,T1,DF,CF,CIF,CI,C,D,DI,L,Lnです。STからT1は三角関数、DFからDまでが掛け算や割り算と言った普通の計算、そしてLとLnは対数の計算に使います』

「あの・・・私・・・ついていけません・・・」

『あっ、ごめんなさい。もう少し単純な計算尺で説明しますね』

そう言って、その女性は棚から別の計算尺を取ってきた。ここにあるのよりはずいぶん細く、初心者向け、と言ったところだろう。


『これなら単純でわかりやすいです。K,A,B,CI,C,Dとありますが、まずCとDの2本だけに注目しましょう』

「2本だけなら、私でもわかりそうです」

『見てわかる通り、実はCとDは同じものです』

「確かに、上下に同じ目盛りが付いています」

『そして、Cの方を動かすことによって、掛け算が出来ます』

「ちょっと待ってください。どうしてこれが掛け算になるんですか」

『仕組みは少し複雑で、常用対数が使われています。とにかく今は、使い方だけ理解すれば問題ありません』

「常用対数!常用対数の話ですね!もっと詳しくお願いします!」

『分かりました。計算尺の簡単な仕組みを説明します。』

そういって、彼女はホワイトボードを取り出した。この部屋は、どうも和室らしくないところがあるようだ。


『まず、計算尺の長さを1とし、左端の座標を0、右端の座標を1とします』

彼女は講義を始めた。


『C尺では、xに対応する目盛りがlogxの場所に振られています。ここで、logは常用対数です』

彼女は、ホワイトボードに「数:x→座標:logx」と書いた。


「もう少し、ゆっくり話していただけますか」

『では詳しく説明しますね。C尺には、1から10までの目盛りが振られています。これはいいですか?』

私は初心者用の計算尺を見る。確かに、Cと書かれた所にある目盛りは左端が1で右端が10になっている。


『そして、1と10の間の数xの目盛りを、logxの場所に打ちます』

「このlogは、常用対数ですよね」

『はい。例えば、log2=0.3010なので、2の目盛りは左から3割の位置にあります』

確かに、2の目盛りは左から3分の1より少し手前にある。

『他の数に対してもこのように目盛りを打つことで、C尺が完成します』

「もう少し、具体例を見せてください」

『log3=0.4771なので、3の目盛りは左から約4割8分の位置にあります。また、log7=0.8451なので、7の目盛りは右から約1割5分の位置にあります。』

私は計算尺を確認する。確かに、3と7の目盛りはそれくらいの位置に振られている。

「この作業をいろいろな数で繰り返すと、今ここにあるようなC尺ができるのですね」

『はい。その通りです』


こうして私は、C尺の目盛りを理解することが出来た。

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