introduction
私は四条結理。普通の女子高生だ。得意科目は数学。ネット上では「指数関数は俺の嫁」なんて言ったりもしている。
そんな私が、まさかあんなことになるとは・・・
それは高2の秋のことだった。その日は別段用事もないので、部活が終わったら学校から最短経路で家に向かうことにした。そして、家に着いたらすぐに宿題を片付けることにした。
「log_10(2)=a, log_10(3)=b とするとき、log_10(75)の値をaとbを使って表せ。」
対数の性質を使うよくある問題。いつものように問題を解いていると、いきなり目の前が暗くなった。まだ7時なのに、瞼が開かなくなった。そして、私はしばらく意識がなかった。
これは、その後の私の体験記録である。
『ここがどこか、わかりますか?』
私は目を覚ました。なぜか和室の一角で横たわっているようだ。ちょうど私の前に女性がしゃがんでいる。その女性の顔は化粧で真っ白になっている。なぜか腰には刀を差しているようだ。
「わかりません・・・」
『あなたは、別の世界からこの世界に転移してきました。ここでは、計算尺を上手に使える人が有利な立場に行けます。しばらくは、私が計算尺の簡単な使い方を教えてあげますね。』
「計算尺ですか・・・」
『はい。見たことないですか?』
そう言って、その女性は、ちょうど侍が剣を抜くように、腰に差していたものを取り出した。それは物差しのようだが、複数の目盛りがついている。