逃げ出して良いですか?
アメリーさんはきりりとした雰囲気の美女さんでした。
エメラルド色のウェーブががった髪を右側の上の方に結んでおり、赤色の瞳をしていた。
「ローゼン様ー!頼まれていたのご用意出来ました!」
何かハートオーラを出しながら飛びつかれた。
あ、ヴィルディが笑顔で怒ってる。
ヴィルディの状況を見てラナウェンは苦笑した。
「アメリー…淑女としてのたしなみが足りないのではなくって?」
「あーら、お姉様もいらしたの?ご自分が出来ないから悔しいだけじゃございませんか!」
「その様な関係と捉えてる事自体が愚かですわ。」
ヴィルディとアメリーさんの間にバチバチと火花が散っている。
笑顔の攻防戦が恐ろしい…。
「ところでローゼン様。」
アメリーさんが腕を引っ張り聞いてくる。
「ローゼン様の中にいるのはだぁれ?」
あたし、喋ってないし何もしてないのに、何でわかるの?
「アメリー様、お戯れは程々にして下さい。ローゼン様を侮辱する気ですか?」
「あなたこそ人を馬鹿にするのはやめてくれない?こんなのに気付けないと思うの?質が全く異なっているのよ!」
ラナウェンの静かな圧力は怒っているアメリーさんには効かなかった。
アメリーさんを見ると腕を掴んでいる反対側の手にバチバチと音を発する緑色の光の玉がある。
恐い…恐い恐い!
「アメリー!お止めなさい!」
「お姉様は黙ってて!」
あたしは逃げようとしてるけど逃げられない。
アメリーさん、腕力?握力かな強いね?
って違う!
現実逃避しちゃ危険だ。
ヴィルディとラナウェンがアメリーさんを止めようとしてるけど、人質がいるから迂闊に手を出せないようだ。
「さぁ、ローゼン様の中から出てけー!」
アメリーさんが光の玉を当てようとする。
どうしたら良い?
助けて、ローゼンさん…
そこであたしの意識は途切れた。