どういうこった?
ギャー!
あたし、成宮桜。
何か夢を見てて目が覚めたら男の人になっていました。
いや、幼い頃から少年みたいとか言われてたけど…けど!
何でだ?
鏡に写ってあたしと同じ動きをする人物は超美形!
至 極 美 形 !
大事な事なので何回でも言いたい、むしろ叫びたい。
ピンクゴールドの髪は腰辺りまで伸びていてアイスブルーの瞳はとても澄んでいる。
身長は高めかな?
優しげな雰囲気の美丈夫だ。
どっかで見た気がする。
でも、こんな美丈夫を見たら忘れないよね?
そして目の前の美女!
スタイルも良い。
ファイアーオパールの様な不思議な光沢の髪は縦ロールで瞳は凄く濃い緋色。
まぁ少し高飛車な雰囲気を感じるお嬢様?
そんな美女様を連れて来た性別不明な中性的な美人さん。
執事の様な格好している。
ここは美人の国か?
「御加減は如何ですか?申し付け通りカトラーラ様をお呼び致しました。」
「………」
「では失礼致します。」
一礼して美人さんが去った。
こんな美女様と2人っきり…どうする?
もしかして、こ、恋人?
意を決して話かけようとしたら扇子の様なモノを口元にやり美女様が話出した。
「はぁ…ローゼン。貴方って本当に愚かですわ。私、ヴィルディ・カトラーラと申しますわ。初めまして、ナリミヤサクラ?」
美女様ことヴィルディ・カトラーラ様ははっきり言いました、あたしの名前を…。
「な、なんで?」
「ローゼンに頼まれてましたの。貴女の身に危険が起きる予知をして守りたいから時が来たら無茶をするとの事でした。」
「はぁ予知?」
あたしにはちんぷんかんぷんだ。
予知ってそんなに信用出来る訳じゃないし。
「説明は追々いたしますわ。私の事はヴィルディと呼んで下さいませ。貴女は…とりあえずサクラと呼びましょう。」
ヴィルディは簡単かつ丁寧にあたしの状況を説明してくれた。
まとめるとこんな感じだ。
まず、あたしの入ってるかこの美形身体の持ち主はローゼン・メディケスさん。
あたしが何らかの危機で消えてしまうのを止めたくて、この状況になってしまった。
ローゼンさんの意識はあたしを守る為に現在奥深く眠っているらしい。
何でローゼンさんがあたしの為にそうしたかは全くわからない。
ヴィルディ曰く自分が話すのはフェアじゃないんだって。
そして、あたしはあんまり記憶がない。
今まで何をしてたか、どんな人生を歩んでたか…自分の名前と性別が女だけど少年の様だと言われてた事と住んでた世界の何となくの常識だけ。
性別の件は女だとわかれば良いのにどんなトラウマがあったの、あたしー!
記憶があんまりないのはローゼンさんがあたしを守る為にした魔法1つらしい。
あたしの世界に魔法はなかった気がする。
ここでは魔法は日常と深く関わっているんだって。
と言う事はあたしも魔法が使えるみたいだけど、使い方分からないし暴走したら困るから覚えるまでは控えなきゃ。
うん、一気に説明されて知恵熱出るわー。
「話の内容は概ね理解出来たかしら?」
「一気につめこむとちょっと…」
何かヴィルディに呆れられそうだけど素直に言っておくしかない。
少し涙声になっていた。
「ローゼンの顔でそんな弱気にならないで何時も優しげに凛々しくいて下さいまし。出来る限り一緒にいてサポートしますわ。」
力強いお言葉です、ヴィルディ様。
少し馬鹿にされてるような気がするのは一切無視します。
とりあえず、何もかもがわからないまま知識を詰め込み1日が終りました。