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【痛みの帝王】 〜65歳で全ての激痛を経験した男、異世界で“痛みを操る”チートを得て成り上がる〜  作者: ボルトコボルト


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第14話 迷宮都市ギエラへ──聖獣従魔とEランクの入城劇

「なあ、アガルドから聞いたんだが、魔獣を眷属にすると、召喚と送還が出来るんだって?」

 ドロルは、窮奇の背に腰を落ち着けながら問いかけた。風が強く、目を細めていないと涙が出るほどだ。


「ええ、出来ますね」

 窮奇は当然のように答えた。空を飛びながらでも声はぶれない。さすが聖獣だ。


「ほほう、そうか。それでは街に入る前に送還すれば、面倒な事にはならないか……」

 ドロルは顎に手を当てて考え込む。


 窮奇は首だけ振り返り、低い声で言った。

「急に入る事になったら、一層面倒な事になりますよ。始めに顔見せしたほうが良いでしょう」


「それもそうか。従魔の証があれば普通は問題なく入れるんだからな。あの街の衛兵達は何をしたかったんだよ、全く」

 ドロルはため息をついた。


 二人は迷宮都市ギエラへ向かう途中、小休止を取っていた。

 窮奇曰く「ひとっ飛びです」と自信満々だったが、実際に参ったのはドロルの方だった。


 同じ姿勢で、鞍も鐙もない野生の魔獣──いや聖獣──に乗るのは、想像以上に疲れる。

 しかも飛行だ。風は強く、体は冷える。

 ドロルは肩を回しながらぼやいた。


「ギエラに行ったら、色々買わないとな」


 窮奇に合わせた鞍、鐙、その他の馬具。

 飛行用のゴーグル。

 寒さ耐性のある服。

 そしてマジックバッグ。


 今まで宿代と食事代しか使わなかった貧乏性のドロルは、かなりの金を貯めていた。

「鋼鉄の光」からせしめた金貨も手つかずだ。


 簡単な食事を済ませると、ドロルは窮奇の背に飛び乗った。


「さあ、行くぞ」


「はい! 行きますよ!」


 窮奇は翼を広げ、空へ舞い上がった。


 ◇


 迷宮都市ギエラの門前に到着した瞬間、騒ぎは起きた。


 窮奇と並んで入城待ちの列に立っただけで、周囲の者たちは驚き、距離を取り、ざわざわと騒ぎ始めた。


「聖獣だぞ……!」


「キラーベアを抱えてたやつじゃないか……!」


「なんでギエラに……?」


 その騒ぎを聞きつけた門番が駆け寄ってきた。


 だが、前の街とは違い、ギエラの門番は冷静だった。


「うかがっております。窮奇殿と、その主のドロル殿ですね」


 窮奇を見て一瞬ギョッとしたが、すぐに態度を整えた。


 どうやら、冒険者ギルドのギルマス・ダルトが事前に連絡してくれていたらしい。


「都合が合えば、是非領主がお会いしたいとお願いしておりました」


 門番は丁寧に頭を下げた。


「任意なら断るぞ」

 ドロルは即答した。


「はい、強制ではございませんので」

 門番はそれ以上しつこく言わず、二人を通した。


 門をくぐると、街の中は一気に騒然となった。


 住民たちは驚き、恐れ、道をあける。

 窮奇は堂々と歩き、ドロルはその横を淡々と進む。


 そして──冒険者ギルドに到着した。


 ギエラのギルドは魔獣も通れるように入口が大きく作られている。

 窮奇と一緒に入ると、室内のガヤガヤした空気が一瞬で静まり返った。


 全員が窮奇を凝視している。


 受付嬢の一人がカウンターから出てきて、ドロルの前に立った。


「ドロル様ですね。ダルト様からお聞きしております。ギルマスがお待ちしておりましたので、ご案内します」


「いや、俺はギルマスに用事はないぞ」


「儂も用事はないな」

 窮奇が低い声で言った。


 受付嬢は目を見開いた。


「しゃ、喋った!!」


 周囲の冒険者たちもざわつく。


「やっぱり、流石聖獣ですね……」

 受付嬢は頷き、ドロルに向かって手を差し出した。


「こちらです」


「ギルマスに会うって言ってないんだが……」

 ドロルは頭をかきながら、仕方ないという顔で受付嬢の後に続いた。


 窮奇も静かに後ろを歩く。


 ギエラの冒険者ギルド──

 ここから、ドロルと窮奇の新たな物語が始まる。

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