詩: わたしの娘でいてくれてありがとう
掲載日:2026/05/14
「わたしのお母さんでいてくれてありがとう」
カミリは 少しかすれた声で言いました
春の光が点滴の袋を透かして
ベッドに影を落としていました
カミリは 点滴の管を揺らしながら
折り紙の鶴を折っていました
病室から見える遠くの道を
ランドセルの子どもたちが
ふつうに今日を歩いていました
明日が来るのを少しも疑わずに
未来の話をすると
カミリは静かに笑って
「今があればいいよ」と
まるでわたしを慰めるように言いました
今を大切にすることの
そのせつなさを
わたしは九歳の小さな背中から教わりました
カミリ わたしの娘でいてくれてありがとう




