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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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95/444

那須塩原のリゾート姫・塩原結花、一般常識だけスキーで滑り落ちる

 富士川の風が吹き抜ける研修センターに、

 昭和のアイドル歌手のような透明感を持つ一人の少女が現れた。


 栃木県那須塩原市出身、塩原結花(18)。

 まるで昭和のアイドルを彷彿とさせるふんわり笑顔。

 歩くだけで周囲に「♪センチメンタルな風」が流れそうな雰囲気である。


 遥広報官が紹介を始める。

 「結花ちゃんは、リゾート開発会社の令嬢でして…まぁ、お嬢様ですね」


 その瞬間、結花は上品に頭を下げながら、

 「ど、どちらが“下座”なのでしょうか? わたくしこちらに座っても大丈夫でして?」

 と真顔で聞き、美月が噴き出した。


 澪が小声でつぶやく。

 「しらんけど、まぁ那須だし……」


 そして最大の問題点は――

 一般常識がごっそり欠如していることである。


 ・PASMOの使い方が分からない

 ・レジ袋が有料と知らず店員と揉める

 (「この袋はわたくしの物ではなく、お店の物なのでは?」)

 ・“押すな”のドアを全力で引く


 綾乃がはんなりと笑う。

 「育ちの良さが…にじみ出てますなぁ」


 しかし結花は運動神経だけは規格外。


 スキーと乗馬で鍛えた “那須の四輪駆動” みたいな脚力 を持つ。

 跳べば高く、走れば速く、蹴れば痛い。


 すみれコーチが言う。

 「結花、馬は乗れるのか?」

 「はい。祖父の別荘で調教された馬がおりまして…」

 「あっ…お嬢様の方の“乗馬”だなこれ」


 さらに――

 ゴルフはシングルの腕前。

 ただし、役立つかどうかは疑わしい。


 麗奈がストレートに聞く。

 「戦隊ヒロインにゴルフって必要?」


 遥広報官が微妙な笑顔で回答。

 「スポンサー企業とのコンペがありますので……」

 (全員:なんじゃそら!)


 ここで登場するのが、

 常陸太田の野生児・山口唯奈。


 すみれコーチが二人を見比べる。

 「……これはまとめて私が見るしかねぇな」


 唯奈は日焼け×野性味×機械オペレーター。

 結花は白肌×お嬢様×一般常識ゼロ。


 正反対なのに“世間知らず”という一点だけ完全一致する奇跡のデコボココンビ。


 すみれコーチは頭を抱えながらも嬉しそうだ。

 「北関東は今日も人材の宝庫だな…!」


 こうして結花は――


 栃木の名門リゾートから、

 国家特務戦隊に“ふわっと”投入されたのであった。


 美月はぽつりと言った。

 「この子、ほんまにヒロインやっていけるんか?」


 彩香は腕を組む。

 「結花ちゃんは…まず常識の教育やな」


 綾乃は微笑む。

 「まぁ、ええ子どすから。伸びしろありますえ」


 すみれコーチはどっしり構えた。

 「大丈夫だ。那須の馬より扱いやすい……と信じたい」


 ――こうして、

 那須塩原のリゾート姫・塩原結花は、

 世間知らず全開で戦隊ヒロイン世界に参入したのであった。


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