那須塩原のリゾート姫・塩原結花、一般常識だけスキーで滑り落ちる
富士川の風が吹き抜ける研修センターに、
昭和のアイドル歌手のような透明感を持つ一人の少女が現れた。
栃木県那須塩原市出身、塩原結花(18)。
まるで昭和のアイドルを彷彿とさせるふんわり笑顔。
歩くだけで周囲に「♪センチメンタルな風」が流れそうな雰囲気である。
遥広報官が紹介を始める。
「結花ちゃんは、リゾート開発会社の令嬢でして…まぁ、お嬢様ですね」
その瞬間、結花は上品に頭を下げながら、
「ど、どちらが“下座”なのでしょうか? わたくしこちらに座っても大丈夫でして?」
と真顔で聞き、美月が噴き出した。
澪が小声でつぶやく。
「しらんけど、まぁ那須だし……」
そして最大の問題点は――
一般常識がごっそり欠如していることである。
・PASMOの使い方が分からない
・レジ袋が有料と知らず店員と揉める
(「この袋はわたくしの物ではなく、お店の物なのでは?」)
・“押すな”のドアを全力で引く
綾乃がはんなりと笑う。
「育ちの良さが…にじみ出てますなぁ」
しかし結花は運動神経だけは規格外。
スキーと乗馬で鍛えた “那須の四輪駆動” みたいな脚力 を持つ。
跳べば高く、走れば速く、蹴れば痛い。
すみれコーチが言う。
「結花、馬は乗れるのか?」
「はい。祖父の別荘で調教された馬がおりまして…」
「あっ…お嬢様の方の“乗馬”だなこれ」
さらに――
ゴルフはシングルの腕前。
ただし、役立つかどうかは疑わしい。
麗奈がストレートに聞く。
「戦隊ヒロインにゴルフって必要?」
遥広報官が微妙な笑顔で回答。
「スポンサー企業とのコンペがありますので……」
(全員:なんじゃそら!)
ここで登場するのが、
常陸太田の野生児・山口唯奈。
すみれコーチが二人を見比べる。
「……これはまとめて私が見るしかねぇな」
唯奈は日焼け×野性味×機械オペレーター。
結花は白肌×お嬢様×一般常識ゼロ。
正反対なのに“世間知らず”という一点だけ完全一致する奇跡のデコボココンビ。
すみれコーチは頭を抱えながらも嬉しそうだ。
「北関東は今日も人材の宝庫だな…!」
こうして結花は――
栃木の名門リゾートから、
国家特務戦隊に“ふわっと”投入されたのであった。
美月はぽつりと言った。
「この子、ほんまにヒロインやっていけるんか?」
彩香は腕を組む。
「結花ちゃんは…まず常識の教育やな」
綾乃は微笑む。
「まぁ、ええ子どすから。伸びしろありますえ」
すみれコーチはどっしり構えた。
「大丈夫だ。那須の馬より扱いやすい……と信じたい」
――こうして、
那須塩原のリゾート姫・塩原結花は、
世間知らず全開で戦隊ヒロイン世界に参入したのであった。




