遠州バイオレット交響乱舞――遠州の勇者・美音ハーモニカ黙示録――
静岡県浜松市中央区。
県西部最大級のショッピングモールであり、
そしてかつて──
プロ野球チップスのおまけカード目当てに袋を次々ハサミで切り裂くという、
日本犯罪史に残る“松尾昇事件”の現場 として、
全国的にも有名なショッピングモール。
そんな忌まわしき現場のど真ん中で、
地元新聞・遠州日日新聞社による
河合美音ハーモニカ演奏会 が華々しく開催された。
バイオレットの戦隊スーツに身を包んだ美音が
ステージ中央に立つと、ざわついていたフードコートが一瞬で静まり返る。
そして──
「ピィーーーーーーーー」
その一音で、
高齢者は感動のあまり涙を流し、
普段は走り回って騒ぐ子供たちも
なぜか正座して聴き始める。
会場の空気は完全に“リサイタル”。
ショッピングモールとは思えぬ荘厳さ。
遥広報官(駿河弁)
「やっぱ美音ちゃんの音色はすごいねぇ…」
隼人司令補佐官
「これは……芸術ですね。完璧です、美音さん」
美音はまさに、“遠州の勇者”の名にふさわしい風格だった。
紀州の舞姫・麻衣の“ハーモニカ立売ショー”に子供が殺到!
美音の感動演奏が終わると同時に──
ステージ横から 白浜麻衣(18) が飛び出す。
麻衣
「はーい皆さん!
浜松名物“ハーモニカ娘”の再来やでー!
バイオレットカラーは今日だけ特価やっ!」
彼女のノリと軽快なトークに子供たちが群がり、
次々とハーモニカが売れていく。
麻衣
「願いが叶う“かもしれん”ハーモニカやで〜!」
美音
「麻衣さん……それは…その…事実と異…」
麻衣
「細かいこと言わんの!」
気づけば美音のイメージカラー・バイオレットのハーモニカは完売。
麻衣は大行列、美音は…静寂
・麻衣のサイン会 → 大行列
→ 子供「舞姫のお姉ちゃんかわいい〜!」
→ 親「うちの子もファンになっちゃって」
・美音のサイン会 → 列、わずか3人
→ 中高年「すみません…トイレどこでした?」
→ 若者「写真のシャッターだけ押してもらえます?」
美音(静かに微笑む)
「……はい、どうぞ」
遥広報官(駿河弁)
「美音ちゃん…あたし泣きそうだら…」
◆ 物販コーナー、地獄の光景
美月・綾乃・彩香のグッズ → 完売
あかり・麻衣のグッズ → 大人気
美音のグッズだけ、富士山級の在庫の山。
そして、なぜか立っている謎ののぼり。
《本日大安吉日》
《赤字覚悟!》
《3つで1000円!!》
美音
「……どういう判断で立てたんでしょうか、これは…」
遥広報官
「たぶん、新聞社の若いのがノリでやっただよ…」
一方で、例の 三ケ日みかん500円は秒速で完売。
もはや名物。
【遠州日日新聞 3面 社会】
〈紀州の舞姫・白浜麻衣さん“ハーモニカ娘”で大人気〉
浜松市中区のショッピングモールで行われた催しで、
人気戦隊ヒロインの白浜麻衣さん(18)が“ハーモニカ娘”姿で登場し、
子供たちの長蛇の列ができた。
会場では戦隊ヒロイン河合美音さん(浜松市出身)による演奏も行われた。
波田司令長官
「美音は強ぇ、美しい、音色もいい。
だけどよ、人間味がねぇんだなぁ。
まるで昔の阪急ブレーブスよ!
強すぎるとファンがつかねぇんだよ!」
遥広報官
「……でも美音ちゃんの良さ、絶対伝わる日が来るに」
隼人司令補佐官
「ええ。必ず、ですね」
そして今日も美音は微笑む。
静かで優しい、
でも少しだけ寂しい笑顔で。




