遠州の勇者、ゆるキャラ軍団に埋もれるの巻 〜河合美音さんと行く撮影会地獄〜
静岡県の地方紙・遠州日日新聞社。
普段は「カワウソ祭り大盛況」「市内のほのぼの交通安全教室」みたいな記事ばかり載せているのに、ある日突然、遥広報官の携帯に連絡してきた。
「河合美音さんとのタイアップ企画を、ぜひ!」
遥広報官は即座に乗った。
「新聞社から来た話だもん、これは美音ちゃんの人気が出るチャンスらぁ!」
企画名は堂々の
《河合美音さんと行く!ご当地ゆるキャラ大集合撮影会》
…地味だ。とてつもなく地味だ。
――お茶の香り漂う城下町・掛川市のショッピングモール。
そこに、新聞社が呼んだ“ご当地ゆるキャラ”が勢揃いした。
・茶畑から顔を出す謎の妖精「チャッピー」
・掛川城に手足が生えた「カケガワン」
・謎の巨大キウイ「キウ衛門」
・形状が不明な「たこまん坊や」
的知名度はほぼゼロだが、子供たちは大興奮。
「チャッピーだー!!」
「カケガワーン!写真撮るー!!」
ゆるキャラの列は視界の果てまで続いた。
一方の河合美音の列――
美音は爽やかな笑顔で立つ。
ショートカットが風に揺れる。
クールビューティー。
完璧なスタイル。
子ども「美音さんもキレイだけど、チャッピーにも会いたい」
母親「キウ衛門の方が写真映えするかなぁ」
父親「たこまん坊やは今日だけって書いてあるし」
美音(内心)
「チャッピー強すぎますね……」
そして、サイン会―――
美音の列…
スゥ……スゥ……(風の音)
スタッフの声だけが元気に響く。
「河合美音さんのサイン会、すぐに案内できま〜す!」
しかし列は増えない。
物販コーナーではヒロイングッズは飛ぶように売れていく。
美月の缶バッジ完売。
綾乃のアクリルスタンド完売。
彩香のポスター完売。
そして――
美音のグッズだけ富士山のような在庫の山。
さらにどこから引っ張ってきたのかわからない謎のノボリが立った。
「大安売り!!」
「赤字覚悟!!」
「美音グッズ3つで1000円!!」
美音(静かに笑顔を保つ)
「……売り切れるといいですね」
なお、横の特産品販売コーナーでは
ここでもあった三ケ日みかん500円 → 即完売。
イベント自体は子供たちの笑顔で大盛況。
新聞社もご満悦。
翌日の新聞の扱いは
《掛川で“ゆるキャラ撮影会”盛況》
掛川市の商業施設で、当地ゆるキャラが集う撮影会が行われ、多くの家族連れで賑わった。
子どもたちはチャッピーやカケガワンとの撮影を楽しんだ。
なお、司会を務めた河合美音さん(浜松市出身)も参加した。
イベント後のみかん即売会は即完売と盛況だった。
相変わらず雑な扱い。
人気がなかなか上がらない美音。
哀愁だけが増す。
だが戦隊ヒロインの世界は今日も続く。
――全盛期の阪急ブレーブスのように、ズレた集客企画はまだまだ続くのだった。




