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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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86/444

遠州の勇者、爆走す!浜松オート伝説と“やっぱり人気は出ない”奇跡の午後

鈴鹿サーキットのスタンド。

サーッと風が抜け、エンジン音の残響が胸を震わせる。

遥広報官と隼人司令補佐官は、まるで雑誌の巻頭グラビアのようにいい雰囲気で並んでいた――

だが、やっぱり話題は仕事。


遥広報官

「美音ちゃん、よぉけ強いんだけん、なんとか人気出えへんかなぁ…」


隼人司令補佐官

「河合さんは大型二輪免許もお持ちですし……そうだ。

浜松オートで現役レーサーと“ガチ勝負”なんてどうでしょう?」


遥広報官「それ、めっちゃ良いじゃん!!」

隼人(※惚れてるので逆らえない)

「……では、企画書をまとめます。」


こうして、**“美音 vs 現役オートレーサー”**という

どこからどう見ても危険でズレてる企画が産声をあげた。


――――◆イベント当日:浜松オートレース場◆――――


特設エキシビションとして堂々開催。

現役レーサーたち(架空のスター選手)に囲まれても、美音は気後れゼロ。

彼女の愛車は鮮やかなバイオレットに塗られ、ファンからは歓声が飛び交う。


スタート。

→ 美音、華麗に飛び出す。

→ 第1コーナー、まさかのイン突き。

→ 第2コーナー、鮮やかなブレーキング。

→ 最終周、美音、現役レーサーを抜き去る。


場内 「うおおおおおおお!!!」


実況アナ(絶叫)

「こ、これはっ……!! 現役レーサーが抜かれたぁぁぁ!!

遠州の勇者ぉ、美音ぉぉぉ!!」


現役レーサー

「マジでヒロインやめてオートレーサー来い。

SG獲れるよ、あんた。」


美音

「いえ、私はヒロインの任務がありますので……」


(この緩急がまた美音らしい。)


浜松オートの余韻がまだ場内に漂う。

観客のどよめき、実況の驚愕、現役レーサーからの絶賛──

美音は今日も完璧な“遠州の勇者”だった。


そしていよいよイベント後のサイン会。


◆サイン会会場◆

美音の前だけ静寂。

風の音が聞こえるレベル。


スタッフ

「……河合さん、座っててください。誰か来る……はずです。」


来ない。

10分経過。

15分経過。

頑張って笑顔を張り付ける美音。

しかし、人は来ない。


そこへ、場内スピーカーから無情のアナウンス。


「物販コーナー、ただいま“もぎたて三ケ日みかん”が特価で販売中で〜す!」


瞬間、観客の流れがザザザッと移動。

まるで潮が引くように美音の前の通路がガラ空きになる。


美音(心の声)

(あっ……そっちに行っちゃうんですね)


◆物販コーナーの地獄◆


店員

「河合美音さんのアクリルスタンド大量入荷しております!どうですか〜!」


観客

「あ、みかんください!袋2つ!」

「今日のは甘いねぇ!」

「美音ちゃん? えーと……あとで、あとで。」


結果。


・美月グッズ → 完売

・綾乃グッズ → 残数わずか

・彩香グッズ → ほぼ完売

・美音グッズ

 → 在庫の山。ピラミッド型の“美音の墓標”と化す。


そして三ケ日みかんだけは

→ 完売。追加皿まで出る異常事態。



そこへ、ほろ酔いモードの波田司令長官登場。

手にはなぜかカップ酒。


波田司令長官

「美音とオートレーサーの競争なんざ、昔の阪急ブレーブスがやった“盗塁王 vs サラブレッド競走”みてぇで面白れぇんだがなぁ。

肝心の人気は伸びねぇんだよ、美音のはよぉ!」


隼人司令補佐官(苦笑)

「広報戦略の再検討が必要ですね……」


遥広報官(駿河弁)

「まぁ、うちらは楽しかったで、ええら?」


美音にっこり

「また次、頑張ります。」


――こうしてまたひとつ、

“美音の人気とは繋がらないがイベント自体は大盛況”

という阪急ブレーブス式ズレ企画が歴史に刻まれた。


遠州の勇者・河合美音の奮闘は、まだまだ続く。

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