遠州の勇者、爆走す!浜松オート伝説と“やっぱり人気は出ない”奇跡の午後
鈴鹿サーキットのスタンド。
サーッと風が抜け、エンジン音の残響が胸を震わせる。
遥広報官と隼人司令補佐官は、まるで雑誌の巻頭グラビアのようにいい雰囲気で並んでいた――
だが、やっぱり話題は仕事。
遥広報官
「美音ちゃん、よぉけ強いんだけん、なんとか人気出えへんかなぁ…」
隼人司令補佐官
「河合さんは大型二輪免許もお持ちですし……そうだ。
浜松オートで現役レーサーと“ガチ勝負”なんてどうでしょう?」
遥広報官「それ、めっちゃ良いじゃん!!」
隼人(※惚れてるので逆らえない)
「……では、企画書をまとめます。」
こうして、**“美音 vs 現役オートレーサー”**という
どこからどう見ても危険でズレてる企画が産声をあげた。
――――◆イベント当日:浜松オートレース場◆――――
特設エキシビションとして堂々開催。
現役レーサーたち(架空のスター選手)に囲まれても、美音は気後れゼロ。
彼女の愛車は鮮やかなバイオレットに塗られ、ファンからは歓声が飛び交う。
スタート。
→ 美音、華麗に飛び出す。
→ 第1コーナー、まさかのイン突き。
→ 第2コーナー、鮮やかなブレーキング。
→ 最終周、美音、現役レーサーを抜き去る。
場内 「うおおおおおおお!!!」
実況アナ(絶叫)
「こ、これはっ……!! 現役レーサーが抜かれたぁぁぁ!!
遠州の勇者ぉ、美音ぉぉぉ!!」
現役レーサー
「マジでヒロインやめてオートレーサー来い。
SG獲れるよ、あんた。」
美音
「いえ、私はヒロインの任務がありますので……」
(この緩急がまた美音らしい。)
浜松オートの余韻がまだ場内に漂う。
観客のどよめき、実況の驚愕、現役レーサーからの絶賛──
美音は今日も完璧な“遠州の勇者”だった。
そしていよいよイベント後のサイン会。
◆サイン会会場◆
美音の前だけ静寂。
風の音が聞こえるレベル。
スタッフ
「……河合さん、座っててください。誰か来る……はずです。」
来ない。
10分経過。
15分経過。
頑張って笑顔を張り付ける美音。
しかし、人は来ない。
そこへ、場内スピーカーから無情のアナウンス。
「物販コーナー、ただいま“もぎたて三ケ日みかん”が特価で販売中で〜す!」
瞬間、観客の流れがザザザッと移動。
まるで潮が引くように美音の前の通路がガラ空きになる。
美音(心の声)
(あっ……そっちに行っちゃうんですね)
◆物販コーナーの地獄◆
店員
「河合美音さんのアクリルスタンド大量入荷しております!どうですか〜!」
観客
「あ、みかんください!袋2つ!」
「今日のは甘いねぇ!」
「美音ちゃん? えーと……あとで、あとで。」
結果。
・美月グッズ → 完売
・綾乃グッズ → 残数わずか
・彩香グッズ → ほぼ完売
・美音グッズ
→ 在庫の山。ピラミッド型の“美音の墓標”と化す。
そして三ケ日みかんだけは
→ 完売。追加皿まで出る異常事態。
そこへ、ほろ酔いモードの波田司令長官登場。
手にはなぜかカップ酒。
波田司令長官
「美音とオートレーサーの競争なんざ、昔の阪急ブレーブスがやった“盗塁王 vs サラブレッド競走”みてぇで面白れぇんだがなぁ。
肝心の人気は伸びねぇんだよ、美音のはよぉ!」
隼人司令補佐官(苦笑)
「広報戦略の再検討が必要ですね……」
遥広報官(駿河弁)
「まぁ、うちらは楽しかったで、ええら?」
美音
「また次、頑張ります。」
――こうしてまたひとつ、
“美音の人気とは繋がらないがイベント自体は大盛況”
という阪急ブレーブス式ズレ企画が歴史に刻まれた。
遠州の勇者・河合美音の奮闘は、まだまだ続く。




