↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
82/1272

名古屋ブレンド・恋とズレ企画とハーモニカの音色

名古屋・久屋大通。

街路樹はライトアップされ、

「ここを歩くだけで恋が始まりそう」

と観光パンフレットが盛りがちに書きそうな夜。


その道端で、遥広報官はため息をふんわり吐いた。


「……美音ちゃん、なんであんな完璧なのに、今ひとつ仲間に溶け込めんだらねぇ」


隼人司令補佐官は、やわらかく笑って返す。

「河合さんは優秀すぎるんです。

 戦闘、機動力、免許の数、全部ハイスペック。

 ヒロインとしては理想そのものですが……

 “人間味のスキマ”がないと、人気に跳ね返るんです」


二人は喫茶店へ入る。

外観はおしゃれでも、中身は昭和レトロな“名古屋の魂”がむき出しの店。

カップを置く衝撃でカウンターの灰皿が揺れる、あの雰囲気。


頼んだブレンドコーヒーには、当然のように小倉トーストが付いてきた。


遥

「……静岡代表としては、美音ちゃんが気になるだら。

 話し方は優しいし、実力は申し分ないのに……

 なんで人気が出んだら」


隼人

「人気は“隙”です。

 河合さんにはその隙が少し足りません」


遥

「……いい子なんにねぇ」


隼人補佐官はカップを置き、わずかに身を乗り出した。

「では、美音さんの良さを引き出すイベントを考えましょう。

 僕と遥さんで」


遥

「え? こんな雰囲気で企画会議やるだら?」


隼人

「はい。今夜は“恋と業務の境界線”を曖昧にしてみようかと」


遥

「言い方ェ……」


二人は顔を見合わせて笑った。

どこか懐かしい、新人の頃に戻ったような空気が流れる。



隼人

「まずは浜松らしさを押し出した案です。

 美音さんと一緒に“浜松まつりの凧揚げ体験”はどうでしょう?」


遥

「戦隊ヒロイン、凧揚げる……?

 まぁ映えそうだけど……なんかズレとるねぇ」


隼人

「では“ハーモニカ100人合奏企画”」

──昭和の商店街でありそうな発想。


遥

「うーん、こちらも……嫌いじゃないけどズレとるねぇ」


隼人

「それでも、盛り上がるはずです」


遥

「人気はどうだら?」


隼人

「……現状維持かと」


遥はコーヒーを吹き出した。

「現状維持て! うちら何しとるだら!」


隼人

「ですが、美音さんの魅力は引き出せます。

 人気は……徐々に、です」  


遥は苦笑しつつも、隼人の横顔に昔のときめきを少し思い出す。

(まったく……昔からこうだら。この人、説明は丁寧なのにズレとる……)



店を出ると、名古屋の夜風は少し冷たく、

遥はマフラーをきゅっと締めた。


隼人

「河合さんの件、僕に任せてください。

 必ず彼女を“人気も実力も備えた勇者”に引き上げます」


遥

「……ありがと。ほんと頼れるねぇ」


ほんの一瞬、沈黙。

ほんの一瞬、隼人は遥の顔に視線を落とす。


遥

「……ねぇ、隼人くん」


隼人

「はい」


遥

「美音ちゃんの件で、また名古屋で会議やろまいかね」

(名古屋弁混じるのは照れてる証拠)


隼人

「喜んで」


二人の距離が、わずかに近づいた。


恋と仕事が同じテーブルに置かれる夜。

名古屋の街は、二人の再会に少しだけ彩りをくれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。