遠州の勇者、美音──有能すぎて逆に困るんですけど!?
ジェネラスリンクとの小競り合いが続く午後。
現場は遠州の空気よりも軽い緊張に包まれていた。
そして──突如として飛び出す影。
「うおおおおおっ!! 行くでぇぇぇぇ!!」
四日市の突貫娘・あかりが、例のごとく考える前に走った。
敵陣へ一直線。止まらない。止められない。
美月
「ちょ、アホ! 罠張ってあるって言うたやんか!」
彩香
「こら突貫娘! 考えて動かんかいアホンダラ!」
綾乃
「また突っ込んではる……あの子、ほんまに猪突猛進どすなぁ……」
案の定、あかりは敵の無数のドローンに囲まれ、
あっという間に “動くカモ” 扱いに。
あかり
「えっ!? ちょっ、これヤバない!? ウチ、今日あかんやつ!?」
美月
「そら言わんこっちゃない!」
彩香
「こっちも援護行くでぇぇぇ!」
そう叫んだ瞬間──
風が変わった。
紫色の軌跡がスッ、と現れたかと思えば、
次の瞬間すべてのドローンが地面に散っていた。
「大丈夫ですか、あかりさん。」
河合美音が、まるで散歩ついでのように優しく言う。
あかり
「……え、は? 今、何が起こったん!?」
美音
「ちょっと、まとめて止めただけです。
ドローンのタイプ、弱点は目視でわかりますから。」
さらり。
あまりにも軽やかすぎて逆に腹が立つレベル。
美月
「……なんなんあの人? なんであんな簡単そうに言えるん?」
彩香
「ウチら全員で5分かかるやつを、
なんで3秒で終わらせられるんや……?」
みのり
「これが……1億人に1人のパーフェクトヒューマン……」
美音はあくまで朗らかに笑っている。
「みなさんが来てくれたら、もっと早く終わったんですけど……
私なんかまだまだですよ」
いや、まだまだじゃない。
誰がどう見ても仕上がっている。
ドローンを秒速で片付けた美音のおかげで、戦闘は呆気ないほど速く終わった。
ヒロイン達は安堵のため息をつきながら基地へ帰還する。
美月
「助かったわ……美音さん、ホンマありがと」
美音
「いえ。むしろ私の判断が遅れて、みなさんにご心配を……」
美月
「いやいやいや! 一瞬やったし! 逆に怖いわ!」
基地の休憩スペースに入ると、美音は当たり前のように
「みなさん、疲れを取るにはビタミンと糖分が必要ですから」
と言って、手作りのレモネードを人数分、完璧な比率で作っていた。
みのり
「え、これ……美味しい……。店の味……」
麗奈
「プロが作ったでしょコレ。ていうか戦闘後に手作りって、どういう余裕……?」
麻衣
「めっちゃ飲みやすい……紀州みかんより美味しいかも……」
美月
「それは言いすぎやろ!」
それだけでは終わらない。
美音はあかりの頭を見て、さらりと一言。
「汗で髪が乱れてますよ。少し整えましょうか?」
あっという間に美容室レベルの仕上がりに。
あかり
「えっ!? なんで!? なんでこんな早く可愛くなるん!?」
綾乃
「美音はん……器用にもほどがありますえ……」
美音
「昔、親戚の美容院で少しだけ手伝っていたので。」
そして極めつけは、みんなが散らかした荷物を自然に整頓。
まるでベテランホテルスタッフ。
美月(心の声)
(……なんなんこの人!? 完璧すぎて逆に怖いわ!)
彩香(心の声)
(ほんで性格もええとか、どういう仕組みやねん……)
美音はにこやかに手を合わせ、
「今日の反省点はあとでメモにまとめて共有しますね。
もっと効率よく動ける方法があると思うので」
……誰も頼んでいないのに、完璧なアフターフォローまで完備。
全員、思わず距離ができる。
麗奈
「……ねぇ、美音ってさ、完璧すぎて“人外”じゃない?」
みのり
「少し対応が難しいタイプです……」
あかり
「ウチ……美音さんと友だちになれるんかな……(震え声)」
そんなみんなの気まずさにも気づかず、
美音は天使のようにほほ笑む。
美音
「ではみなさん、今日もお疲れさまでした。
一緒に強くなりましょうね。戦友として。」
──完璧すぎる遠州の勇者。
今日もまた、無意識に周囲の常識を超えていくのであった。




