大柳ヶ瀬落城録 〜帝王まさにゃん、口撃敗れたり!運命の邂逅・波田長官、降臨す〜
柳ヶ瀬の夜は、いつも通りギラギラしていた。
キャバクラ「琥珀の涙」のVIPルーム。
まさにゃんは今日も絶好調。
シャンパン片手に、ホラ話を連打する“帝王モード全開”だった。
まさにゃん
「ワシが本気出したら、日本の治安なんて3日で立て直せる。
そらもう“影の司令長官”や!」
キャバ嬢A
「キャー!影の司令長官ステキー!」
まさにゃん
「ヒロイン全員、ワシに惚れとる。
綾乃も麻衣も美月も“葛城さん、頼りにしてますぅ〜”てな!」
(※事実:美月→“まさにゃん、はよせぇや”
綾乃→“ええ時計してはりますなぁ →時間返しておくれやす”
麻衣→“まさにゃんさん、話なっがいわぁ…”)
まさにゃん
「そして遥広報官はワシにゾッコンやからな。
ほんま恋の逃げ切り勝ちやで?」
キャバ嬢B
「きゃーー! ほんとこの人モテすぎやろ〜!」
(※事実:遥広報官→隼人補佐官に急接近中。まさにゃん=“ちょっとウザい上司”)
だが運命の時は、突然やってきた。
店員
「本日ご予約の波田様、どうぞ〜」
まさにゃん
「……え?」
キャバ嬢C
「波田…?って戦隊の…?」
入ってきたのは――
波田司令長官、その人であった。
白髪混じりの貫禄。
無駄に似合うアロハシャツ。
圧倒的カリスマ。
長官
「……おや? 葛城ぃ?」
まさにゃん
「ちょちょ……ちょ……」
キャバ嬢全員
「え?」「知り合い?」「てか部下やん?」
波田司令長官、ニヤリ。
長官
「おめぇ、何してるんだ?。
それにさっき廊下で“影の司令長官”とか聞こえたが?」
店内の空気、完全フリーズ。
まさにゃん
「ちちちちちがうんです長官!
これはその、地域ヒアリングでして、はい、あの、えーっと」
長官
「キャバクラで?」
まさにゃん
「ひぇええええええぇぇぇ……」
キャバ嬢A
「さっき“宇宙任務始める”って言ってたけど?」
キャバ嬢B
「“全ヒロインが葛城さんラブ”って言ってましたよ〜?」
キャバ嬢C
「“司令長官の次はワシや”って言ってたし!」
波田司令長官、静かに頷く。
長官
「そうか。よう分かった。
……葛城、お前もう黙っとれ」
まさにゃん
「うぅぅ……」
まさにゃん、涙目。
キャバ嬢全員からの視線が刺さる刺さる。
キャバ嬢A(小声)
「……影の司令長官(笑)」
キャバ嬢B
「モテモテ設定、全部嘘とかウケるんだけど」
キャバ嬢C
「宇宙任務(笑)」
まさにゃん
「もうやめてぇぇぇぇぇ……!」
その夜、柳ヶ瀬の路地裏に
帝王のような雰囲気の男が
トボトボと去っていく姿があった。
肩は落ち、背中は丸まり、
もはや“帝王”ではない――
ただの“疲れた高級官僚のおっさん”がいた。
そして――
波田司令長官は
このキャバクラの常連らしく自然にカウンターへ座ると
一言だけ漏らした。
長官
「……葛城とはゆっくり話さないといけねぇなぁ」
BGMの昭和歌謡が切り替わる。
ネオンが滲む。
柳ヶ瀬の空気がざわつく。
――帝王の失墜の裏には、まだ誰も知らぬ“恐怖の裁き”が待っているのであった。




