誤配信連鎖!? ― ドリームトラクター、今度は宇宙刑事でまさかの適合
常陸太田の夜。
囲炉裏の火がぱちぱちと弾ける中、山口家の居間は――なぜか戦場のような空気だった。
「……ありえねぇっぺ」
唯奈が腕を組んで睨む。
向かいにはすみれコーチと明日香、そして壁際には――
やたら姿勢の良い蒼牙2000・改。
「いいか唯奈!!」
「いいから黙れ!!」
「困難に立ち向かう勇気を――」
「今困難はお前だっぺ!!」
完全に昨日の続き、戦隊レッド状態のままである。
すみれが頭を押さえる。
「……完全にミスだ」
明日香、軽く手を上げる。
「やっちゃった☆」
「やっちゃったじゃねぇ!!!」
囲炉裏の火が強く弾けた。
唯奈は不満をぶちまける。
「なんで畑で“世界を守る”とか言い出すんだっぺ!」
「使命だからだ!!!」
「収穫だっぺ!!」
「勝利だ!!!」
「同じじゃねぇ!!」
完全に噛み合っていない。
「オラな」
唯奈が言う。
「こういう“俺がリーダーだ!”みてぇなやつと相性悪いんだっぺ」
すみれが頷く。
「だろうな」
明日香も笑いながら言う。
「真逆だもんね」
すみれが決断する。
「明日、戻す」
「今度こそ執事モードに」
明日香、胸を叩く。
「任せて」
一瞬の不安。
翌朝。
農機具倉庫。
またしても同じ光景。
ノートPC、ケーブル、真剣な空気。
「今度は絶対間違えんな」
「大丈夫大丈夫」
カタカタカタ……
「送信」
画面に表示。
《アップデート完了》
「再起動」
ウィィン……
静寂。
「……蒼牙」
すみれが呼ぶ。
一拍。
「――蒸着完了」
「……は?」
低く渋い声。
「この地球の平和は俺が守る」
「……」
明日香、画面を確認。
スクロール。
「あ」
一言。
「また違うの入ってる」
「何だ今度は」
「宇宙刑事系」
「は?」
「やっちゃった☆」
「やっちゃったじゃねぇ!!!」
数分後。
畑。
「よし、今日もやるっぺ」
唯奈が準備していると、蒼牙が静かに現れる。
昨日と違う。
声が落ち着いている。
だがどこかヒーローっぽい。
「唯奈」
「なんだ」
「任務を開始する」
「任務じゃねぇっぺ」
「これは任務だ」
だが――
なぜか。
噛み合う。
「まず状況確認だ」
「土の水分量、良好だっぺ」
「よし、そのまま進め」
「了解だっぺ」
すみれと明日香、遠くから見ている。
「……あれ?」
「なんで合ってんだ?」
さらに。
「敵は雑草だ」
「了解、排除するっぺ」
「慎重にいけ」
「任せろ」
完全にコンビ成立。
しかも唯奈。
妙に落ち着いている。
「次の動きは?」
「左側から攻める」
「了解」
普段の唯奈とは思えないほど、
素直で従順。
明日香、吹き出す。
「ちょっと待ってwww」
「なんでこんな従ってんのwww」
すみれも笑いをこらえる。
「……ミミーかお前は」
唯奈、振り向く。
「なんだよ」
「いや……」
明日香、笑いながら。
「めっちゃ従ってるじゃん」
「そうか?」
本人は無自覚。
蒼牙が言う。
「いい動きだ」
「当然だっぺ」
「信頼している」
「……まぁな」
完全に良い関係。
すみれ、腕を組む。
「……おかしい」
明日香も頷く。
「完全におかしい」
「レッドはダメで」
「これがハマる理由が分からん」
その横で。
唯奈は真面目に作業している。
「次、どうする」
「右から回り込む」
「了解」
完全に補佐役。
すみれ、ついに吹き出す。
「ダメだこりゃ……」
明日香も笑いながら。
「いや面白すぎるでしょこれ」
夕暮れ。
畑に並ぶ二人。
「任務完了だ」
「収穫だっぺ」
「同義だ」
妙にしっくりきている。
すみれが呟く。
「……もうこれでいいんじゃないか」
明日香、笑う。
「結果オーライだね」
こうして。
修正パッチはまたしても失敗したが――
まさかの“宇宙刑事モード”が現場に完全適合するという、謎の成功を生んだのだった。
そして。
妙にしおらしくなった唯奈を見て、
二人はもう一度吹き出した。
この三角関係、




