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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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恋するトラクター徹底検証!? ― 太田発・AI恋愛バグ撲滅プロジェクト前編

群馬県太田市。

工場の町。エンジン音と油の匂いが日常に溶け込む場所。


その一角にある、すみれコーチの実家工場。


ガコン、ガコンと機械が動く中、

場違いなほど優雅にコーヒーを飲む女が一人。


大宮麗奈だった。


「で、どうなってるのよ例のトラクター」


足を組みながら言う。


すみれコーチは設計図を机に広げたまま答える。


「どうもこうも、完全にバグってる」


「でしょね」


あっさり同意。


「唯奈の様子は?」


麗奈が少しだけ真面目な顔になる。


「……あの子、頑張ってるわよ」


ため息。


「でもね、全部裏目」


すみれ、無言で頷く。


「ヒール履いて畑で転ぶとか、あれはもう事故よ」


「見た」


「見たの?」


「ログでな」


間。


「完全に非効率だった」


麗奈、吹き出す。


「やめて、データで言うの」


少し空気が落ち着く。


麗奈がぽつりと言う。


「ちょっと心配なのよね」


「……何が」


「唯奈」


真剣なトーン。


「無理してる」


すみれも同じ結論だった。


「だな」


設計図から目を上げる。


「最初はな」


「少しは丸くなればいいと思った」


「野生児すぎるから」


麗奈、苦笑。


「それは否定しない」


すみれは続ける。


「でも今は違う」


少し間を置く。


「持ち味が消えかけてる」


空気が少し重くなる。


そこへ。


「呼んだ?」


軽い声。


稲生明日香、登場。


「なんかまた怒られる気がするんだけど」


すみれ、即。


「する」


「やっぱりか!」


事情説明。


蒼牙2000・改の挙動。

唯奈の変化。

三角関係の歪み。


明日香、腕を組む。


「なるほどね」


そして一言。


「それ、面白いじゃん」


「面白くねぇ」


即否定。


「いやいや、データ的には超貴重だって!」


「研究者としては最高のサンプルだよ?」


すみれ、睨む。


「その“サンプル”で現場が混乱してる」


明日香、少しだけ反省。


「……まあ、それはそう」


そして結論。


すみれが言う。


「調整する」


「完全に戻すわけじゃない」


「少しだけ、修正」


麗奈が身を乗り出す。


「どうやるの?」


すみれ、淡々と。


「検証する」


「恋愛バグの挙動を全部洗い出す」


明日香、目が輝く。


「実験だね!」


すみれ、頷く。


「三人でやる」


こうして始まる。


AI恋愛バグ検証実験プロジェクト。


数日後。


あのスポーツセダンが再び動く。


ドンッ!!


アクセル全開。


「ちょっと飛ばしすぎじゃない!?」


明日香が叫ぶ。


「黙ってろ」


すみれ、無表情。


麗奈は楽しそうに窓の外を見る。


「いいじゃない、スリルあって」


「スリルじゃなくて命の危機だって!!」


常陸太田市。


唯奈の農場。


いつものように野良仕事。


だが、唯奈はふと手を止める。


「……なんだこれ」


空を見上げる。


「なんか嫌な予感すっぺ」


蒼牙2000・改が即応。


「同意します」


「すみれコーチの気配を検知しました」


「……やっぱりか」


顔が曇る。


その瞬間。


遠くから聞こえる爆音。


「来たな……」


唯奈、完全に察する。


キキィィィッ!!


砂煙。


車、急停止。


ドアが開く。


「よっ」


すみれコーチ、軽く手を上げる。


唯奈、即座に距離を取る。


「……なんで来たっぺ」


「用事」


「ロクでもねぇやつだっぺ」


即断。


麗奈が笑う。


「相変わらずね」


明日香は手を振る。


「元気?」


「元気じゃねぇよ!!」


すみれが本題に入る。


「ちょっと蒼牙借りる」


「は?」


「検証する」


「何をだよ」


一言。


「恋愛バグ」


沈黙。


唯奈、真顔。


「……それ必要か?」


三人、同時に答える。


「必要」


温度差がひどい。


こうして始まる、


前代未聞のAI恋愛バグ検証実験。


畑のど真ん中で。


唯奈、ぽつり。


「絶対ロクでもねぇことになるっぺ……」


その予感は――


的中する。

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