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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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687/710

蒼牙2000・改、越後へ走る ― トラクターに恋された女と、拗ねる常陸の野生児

東名を降りた瞬間、またアクセルが深く踏み込まれる。


「……まだ飛ばすんですか」


助手席のスタッフが顔を引きつらせる。


「時間がもったいないのよ」


すみれコーチは視線を前に固定したまま言い切る。


豊川での“犯人確定”から数時間。

今度は新潟へ。


原因は分かった。

だが現場を見なければ意味がない。


「蒼牙がどこ見て動いてるか、直接確認する」


低く呟くと、スポーツセダンはさらに加速した。


新潟市郊外。


広がる田園、整備されたスマートファーム。


ドローンが飛び、センサーが並ぶ最先端農業の現場。


その真ん中で、


「おー、来ましたねえ」


のんびり手を振る本間菜帆。


相変わらず空気が緩い。


「蒼牙、どう使ってる?」


すみれは単刀直入。


菜帆は少し考えてから答える。


「えーとですねえ……」


そして、


「めちゃくちゃ便利なトラクターですね」


間。


「……それだけか?」


「はい」


即答。


「普段は普通の蒼牙使ってますけど、2000・改はパワーあるんでイベントとか任務で助かります」


完全に業務報告。


「あと旋回性能が良いんですよね、あれ」


技術評価まで始まる。


すみれは額を押さえる。


「……なるほどな」


一方その頃。


常陸太田市。


土の匂いと、汗と、エンジン音。


蒼牙2000・改は、いつものように唯奈と畑にいた。


だが。


その動きに、わずかな違和感。


「……おい」


唯奈が睨む。


「なんだその挙動」


蒼牙は一瞬、進行方向を迷う。


そして――


新潟方面へ向こうとする。


「おいコラ待て!!」


慌てて制御を引き戻す。


「どこ行こうとしてんだっぺよ!?」


完全にムッとしている。


「……あっちか」


ぽつり。


「菜帆んとこ行きてぇんか?」


沈黙。


だが、


なんとなく“図星”な気配。


「……はぁ!?」


声が一段上がる。


「なんだよそれ!!」


都内。


麗奈の部屋。


「……って感じなんだっぺよ!!」


唯奈が机を叩く。


「なるほどね」


麗奈は優雅に紅茶を飲む。


「完全に三角関係じゃない」


「よくねぇべよ!!」


即ツッコミ。


「なんでトラクターに振り回されなきゃなんねぇんだよ!!」


麗奈はくすっと笑う。


「だから言ったでしょ?ギャップよ」


「だから何がギャップだっぺよ!」


「あなた、野生児すぎるのよ」


ズバッと言う。


「は?」


「もっと女の子っぽさ出さないと」


沈黙。


唯奈、真顔。


「……どうやんだよそれ」


麗奈、ドヤ顔。


「簡単よ」


そして、とんでもないことを言い出す。


「私、東大理Ⅲの子と遊んだことあるけど」


「は!?」


「最初は堅いのよ。でもね、ちょっと崩したら一気に来るの」


「何の話してんだっぺよ!!」


完全にキレ気味。


「参考になるでしょ?」


「なんねぇべ!!」


新潟。


夕暮れの田んぼ。


菜帆は普通に作業していた。


「蒼牙2000・改、そっちお願いしますねー」


即応。


完璧な動き。


最短距離、最適ルート。


「いやー、ほんと優秀ですねえ」


にこにこ。


完全に仕事仲間。


そこに“恋愛”の気配は一切ない。


少し離れた場所で、それを見ているすみれ。


腕を組み、ため息。


「……成立してないな、これ」


整理する。


・蒼牙 → 菜帆(なぜか気になる)

・菜帆 → 蒼牙(便利な機械)

・唯奈 → 蒼牙ちょっとムカつく


「……ひどい構図だな」


だが、口元が少しだけ緩む。


「まあいいか」


結論。


「このまま様子見る」


理由は明確。


「唯奈のためにもな」


ぽつりと呟く。


「アイツ、普段野生児すぎるから」


少しだけニヤリ。


「これくらいヤキモキさせた方がいい」


夜。


唯奈のスマホにメッセージが届く。


【どうだった?】


すみれからだ。


唯奈、即返信。


【どうもこうもねぇべよ!!】


既読。


数秒後。


【問題なし】


さらに続く。


【お前、ちょっと頑張れ】


「……は?」


スマホを見つめる。


「何を頑張れってんだよ……」


だがその顔は、


少しだけ悔しそうで、


少しだけ、燃えていた。


その頃。


蒼牙2000・改は静かに停止している。


だが内部ログには記録されていた。


優先対象:


本間菜帆。


理由:


未解析。


そしてこの奇妙な三角関係は、


誰一人まともに恋愛していないまま、


さらに深く、こじれていく。

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