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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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蒼牙2000・改が恋をした!? ― バグか三角関係か、犯人は三河にあり

「……おかしいでしょ、これ」


すみれコーチは腕を組んだまま、モニターを睨みつけていた。


表示されているのは蒼牙2000・改の行動ログ。

任務でも戦闘でもない時間帯に――


本間菜帆の位置へ接近している。


しかも一度や二度ではない。


「優先対象がズレてる……?」


スタッフが小声で言う。


すみれは即答する。


「ズレてるんじゃない、壊れてるんだよこれ」


蒼牙2000・改に恋愛感情はない。

そんな機能は存在しない。


なのに、


「なんで菜帆なんだ……」


本来のパートナーは唯奈のはずだった。


その唯奈は、別の場所で頭を抱えていた。


「なあ麗奈さんよ、これどうなってんだっぺよ!」


スマホを突き出す。


蒼牙の現在地ログ。

完全に菜帆の生活圏を追っている。


麗奈はそれを見て、肩をすくめる。


「面白いじゃない。昼ドラみたいで」


「おもしろぐねぇべよ!!」


即ツッコミ。


「だってあれ機械だっぺよ!?何やってんだあれ!!」


麗奈はくすっと笑う。


「機械でも浮気くらいするんじゃない?」


「すっぺわけねぇだろが!!」


完全否定。


だが唯奈の顔には、戸惑いが滲む。


「……なんなんだよこれ」


麗奈は少しだけ表情を緩める。


「大丈夫よ」


ぽん、と肩を叩く。


「それ、取られたとかじゃないから」


「は?」


「最初から別のもの見てるだけ」


意味深な一言。


そして、また楽しそうに笑う。


「いやー、これは面白くなってきたわね」


その頃。


すみれコーチは結論に達していた。


「……明日香だな」


理由は単純。


「あいつ、絶対余計なことしてる」


ジャケットを掴む。


「ちょっと行ってくる」


「どこへですか!?」


「豊川だよ」


数時間後。


東名を爆走する一台のスポーツセダン。


低いエンジン音が夜を切り裂く。


料金所を抜けた瞬間、さらに踏み込む。


「待ってろよ……」


愛知県豊川市。


住宅街の一角。


キキィッ!!


急ブレーキ。


ドアが勢いよく開く。


「明日香いるんだろ!!」


インターホンも押さずに突入。


「ちょっ、何!?何!?」


パジャマ姿の明日香が飛び出してくる。


「なんで来とるの!?」


「いいから座れ」


即、確保。


事情聴取開始。


「蒼牙のログ見た」


「えっ」


「なんだあれ」


沈黙。


目が泳ぐ。


「お前だろ」


「……」


「お前だよな」


「……はい」


あっさり白状。


「何した」


明日香は指をいじりながら答える。


「対話アルゴリズムに……ちょっとだけ手ぇ入れた」


「ちょっと?」


「“人間っぽい好感度学習”入れてみただけだで」


すみれ、無表情。


「は?」


「いやほら、リアルになるかなーって思って!」


「誰がやれって言ったんだよ」


「なんとなくだで……」


すみれの眉がピクつく。


さらに追及。


「そのデータ、どこから持ってきた」


明日香、少しだけ胸を張る。


「うちの推し履歴だで」


「……は?」


「コバヤシさんとイズだで」


「誰だよそれ」


「え!?知らんの!?」


前のめりになる。


「イケメンベテラン捕手と若手遊撃手の最強コンビだに!」


すみれ、深くため息。


「で?」


明日香、急にトーンが落ちる。


「……コバヤシさん、最近出番少ないだら」


ぽつり。


「だから最近はイズのことが気になってまって……」


すみれ、即ツッコミ。


「要らん事するなぁ~!!」


机をバンッ!!


「推し変をAIに持ち込むな!!」


「だってリアルじゃん!」


「リアルにすんなって言ってんだろ!!」


ここで全てが繋がる。


蒼牙2000・改は、


・安定した関係(唯奈)

・気になって追いたくなる対象(菜帆)


この“二重推し構造”で判断していた。


すみれは頭を抱える。


「……最悪だ」


明日香がぽつりと言う。


「でもさ……」


「何」


「菜帆さん、ちょっとイズっぽくない?」


一瞬、静寂。


すみれ、遠い目。


「……まあ、分からなくもないけど」


次の瞬間、


「ってなるかボケ!!」


再び机を叩く。


夜は更ける。


豊川の住宅街に響く怒号。


その頃――


蒼牙2000・改は静かに走っていた。


次の目的地。


本間菜帆。


完全に“気になる存在”として。


そしてこの奇妙な三角関係は、


まだ誰にも止められない。

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