岐阜に取り憑かれた男 〜まさにゃん暴走の序曲〜
遥広報官と隼人司令補佐官の昼ドラめいた微妙な距離感が、会議室の女子陣の好奇心を刺激していた。
そんな空気をまったく読まず、まさにゃんだけは完全に別方向へ向かっていた。
その男が主導した岐阜市での戦隊ヒロインイベント——予想外の大盛況。
ヒロイン全員が歓声に包まれ、地元の新聞にも特集が組まれた。
美月の河内弁はウケ、綾乃の京ことばは刺さり、彩香の播州弁は場外ホームランでバズった。
「岐阜すごいな!」
「また来たいわ〜!」
ヒロインたちはノリノリ状態。
…だが、ここからが地獄の入り口だった。
翌週。
また岐阜。
翌々週。
またまた岐阜。
三週連続で岐阜。
美月がついにブチ切れた。
「なぁ、まさにゃん。岐阜多すぎやて。東海地方なら名古屋でも岡崎でも豊橋でも浜松でもできるやろ!」
彩香も怖いくらい静かな声で詰め寄る。
「葛城。ええ加減にしときや。うちら、岐阜に住民票移すんか?」
綾乃もポツリと刺す。
「そろそろ“ぎふっ隊”に改名せぇって言われても、文句言えへんレベルどすなぁ」
追い詰められたまさにゃん、ここで例の“回りくどい官僚答弁”が始まる。
「本件に関しましてはですね、古来より岐阜県は中山道の要衝として重要な役割を担っておりまして、東西交通の結節点として歴史的・文化的価値を——」
美月「うっさい!結論だけ言えって言うてるやろ!」
彩香「回りくどいねんボケェ!」
綾乃「また出た、出汁抜きうどんみたいな説明どすなぁ」
まさにゃん、タジタジ。
そこにスッと入ってくる影。
隼人司令補佐官である。
「皆さん、落ち着いてください。要点だけ申し上げます。
現在、岐阜県出身の新ヒロインを研修中です。その一環として、岐阜でのイベントが増えております。
以上でございます」
美月「おぉ、わかりやすっ!」
彩香「最初からそれ言ぅたらえぇねん!」
綾乃「ほんま頼りになりますわぁ」
一件落着。
…したかに見えた。
しかし——。
まさにゃんの“岐阜推し”の裏には、恐ろしく、そして誰も予想しない驚愕の真実が隠されていた。
その理由はまだ、誰も知らない。
つづく。




