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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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恋の相手はトラクター!? ― 麗奈先輩の無茶すぎる恋愛講座

新潟の農業イベントが続いたこの頃、山口唯奈にはどうにも気になることがあった。


それは――


蒼牙2000・改。


正確には、


蒼牙2000・改と菜帆の距離。


最近どうも、この二人……いや、


一人と一台。


妙に仲がいい。


「菜帆さんの判断は理想的です」


「菜帆さんの農業理論は合理的です」


蒼牙2000・改は、やたらと菜帆を褒める。


それを聞くたび、唯奈の胸の奥がもやっとする。


「……なんかよ」


「褒めすぎなんだっぺ」


しかし蒼牙2000・改はいつも冷静だ。


「私には恋愛感情のプログラムはありません」


それはそうだ。


トラクターだから。


だが唯奈はどうにも納得がいかない。


そこで唯奈は、ある人物に相談することにした。


戦隊ヒロインの先輩、


恋愛戦闘力SSランク、


イベント界のフェロモン女王、


大宮麗奈。


新潟市内のカフェ。


麗奈はコーヒーを飲みながら言う。


「で?」


「恋の相談?」


唯奈


「恋じゃねえ」


麗奈


「じゃあ何」


唯奈


「トラクター」


麗奈


「……」


数秒沈黙。


「ちょっと待って」


「トラクター?」


唯奈は真剣に説明する。


蒼牙2000・改が菜帆を褒めること。

農業パートナーとして評価していること。

最近妙に距離が近いこと。


麗奈は腕を組む。


「なるほど」


「三角関係ね」


唯奈


「そうなんだっぺ」


麗奈


「でもさ」


「普通」


「三角関係って」


「人間三人だよね?」


唯奈


「……」


麗奈


「相手」


**トラクターだよね?」


唯奈


「そこは触れんな!」


麗奈は笑い出した。


しかし次の瞬間、表情が少し優しくなる。


唯奈は年下の後輩だ。


そして素直で真面目。


麗奈は思った。


(可愛い後輩だな)


「よし」


「応援する」


唯奈


「ほんとか?」


麗奈


「百戦錬磨の恋愛講座」


「開いてあげる」


唯奈


「トラクターに効くのか?」


麗奈


「そこは」


「やってみないと分からない」


麗奈は恋愛理論を語り始める。


「まずね」


「男は」


「評価されると弱い」


唯奈


「蒼牙はAIだ」


麗奈


「なら」


「もっと簡単」


「データで落とす」


唯奈


「データ?」


麗奈は指を立てる。


「蒼牙の評価ポイントは」


・農業知識

・操縦技術

・作業効率


「この三つ」


唯奈


「なるほど」


麗奈


「菜帆は農業知識」


「唯奈は操縦」


「ここで差別化」


唯奈


「つまり」


「オラが」


「操縦で圧倒すればいい?」


麗奈


「そう」


「そして」


「理系はギャップに弱い」


唯奈


「ギャップ?」


麗奈


「普段と違う一面」


「これ大事」


唯奈


「例えば?」


麗奈


「急に農業理論語るとか」


唯奈


「それ無理だっぺ」


麗奈は笑う。


「まあ」


「トラクター相手だから」


「普通の恋愛より難しいけどね」


その頃。


蒼牙2000・改は農場で静かに待機していた。


麗奈が車の窓から機体を見て言う。


「ねえ唯奈」


「正直な話」


「私」


「社長も」


「俳優も」


「スポーツ選手も」


「落としてきたけど」


少し笑う。


「トラクターは」


初めて。


唯奈


「だろうな」


麗奈は肩を叩く。


「でも」


「面白いじゃん」


「恋の相手が農業機械」


唯奈


「面白くねえ!」


麗奈は楽しそうに言った。


「さあ」


「トラクター攻略作戦」


「スタート!」


果たして、


百戦錬磨の麗奈の恋愛理論は


AI搭載トラクター


蒼牙2000・改


に通用するのか。


そして、


菜帆との距離はどうなるのか。


田んぼの上で今日も


妙な三角関係


は続いていくのであった。

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