隼人司令補佐官、恋と任務と“嫉妬するヒロインたち”──恋も任務も、会議室で静かに動き出す
大阪府内・戦隊ヒロインプロジェクト会議室。
昼下がり、まったりした空気の中でも、ヒロイン達の視線だけはやたら鋭い。
なぜなら――
イケメン司令補佐官・藤堂隼人が今日も爆誕しているからだ。
白シャツの袖を軽くまくって資料を整理する仕草ですら、どこかトレンディードラマ感を醸し出す。
しかも、隼人は誰に対しても丁寧語。
ヒロインたちにも下の名前で「さん」付けで話す。
そりゃあ胸キュンしないわけがない。
◆嫉妬の会議室、薄い昼ドラの香り
美月
「隼人さん……今日も爽やかやなぁ……」
彩香
「ほんま、ちょっとだけドキッとしたわ。
……ちょっとだけ、な?」
綾乃
「どこから見ても“昼ドラの優等生役”どす」
後ろで見ていたあかりは単純に感動していた。
「めっちゃカッコええなぁ、お兄さんみたいやぁ!」
麻衣
「うちなんか心臓ドキドキしてきたわ……」
澪
「まぁ……しゃあないわ。モテる男ってこういうもんや。知らんけど」
しかし、みんな分かっている。
隼人と遥広報官は昔から特別。
友達以上、恋人未満の同期組。
そしてこのプロジェクトには、とても大事な決まりがある。
◆戦隊ヒロイン憲章
「青少年の夢をこわしてはならない」
この一文の重さを、ヒロイン全員が理解していた。
美月
「ヒロインが恋愛しとるとかバレたら、ちびっ子泣くからなぁ……」
綾乃
「世間は厳しいどす。
ちょっと前にもあったやろ、スーパー戦隊のヒロイン降板騒動」
彩香
「なんやっけ……週刊誌に撮られたとかで……
まぁ……不憫やったな。」
あかり
「四日市でもニュースになっとったで!
“ヒロイン失速”とか書かれてて可哀想やったわ!」
麻衣
「うちも見た……あれは辛いわぁ」
◆その時――隼人の声。
「皆さん。
僕は、遥さんとは“公私ともに信頼できる同期”でしかありません。
ご心配をおかけしているなら、申し訳ありません」
この言葉に、ヒロイン達は胸を押さえた。
美月
「誠実……!」
彩香
「こんな真っ直ぐな男おるんか……!」
綾乃
「昼ドラやのに、誠実どす……逆に珍しいパターンどすえ」
しかし、隼人は続ける。
「ただ、僕は皆さんの活動を何よりも大事にしたい。
青少年の夢を守るのは、僕たち大人の責任です」
この一言で、ヒロイン達の嫉妬は音を立てて溶けた。
◆そこへ“気づいていない女”、遥広報官が到着。
遥
「おはよう。今日の会議資料、隼人くんが全部まとめてくれて――え、みんな何その顔?」
綾乃
「遥さん……。
ええ男はええ女が似合うって言いますわ……」
美月
「ここ、昼ドラの撮影現場ちゃうで!?」
彩香
「お前らの“再会ラブ”見せつけられたら、こっちは困るんや!」
あかり
「なんかドキドキする〜!」
麻衣
「胸がキュンキュンするぅ……」
遥
「ちょっと!? なにその“昼ドラ視聴者の空気”!!」
隼人は柔らかく笑いながら――
遥に向き直る。
「遥さん。今日もよろしくお願いします」
遥
「……う、うん……こちらこそ」
ヒロイン達
「キャーー!! 昼ドラ!!」
◆そして波田司令長官
廊下からこの騒ぎを聞いていた波田司令長官は
ニヤッと笑って呟く。
「……ええこっちゃ。
若いってのはこうでなきゃな」
しかしその直後、真顔で言い放つ。
「ただしだな……
恋愛にうつつを抜かれて職務に支障が出るようなら――俺が直々にどやしつけるからな」
会議室
「……はい!!」
こうして会議室は、任務そっちのけで昼ドラさながらの空気に包まれた。
けれど不思議と誰も反対せず、むしろ温かく見守っている。
止まっていた二人の距離は、ようやく静かに動き出した
――そんな“いい感じ”の予感だけを残して、会議はゆるく散会していった。




