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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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田んぼのプリンセス覚醒! ― スマートファームの女王・本間菜帆という生き物

新潟という土地は、実に不思議な場所である。

冬は雪に閉ざされ、春になると雪解け水が田んぼを潤し、秋には日本一うまい米が実る。


そしてそんな土地から、ときどきとんでもない人物が現れる。


その代表例が――


本間菜帆、22歳。


新潟市出身。

地元の国立大学農学部でバイオテクノロジーを専攻する理系女子である。


研究室ではDNAや微生物の研究をしているが、大学の講義が終わると彼女は白衣を脱ぎ、長靴を履く。


なぜなら実家が、


新潟市内でも有名な大規模スマートファーム


だからだ。


農地は広大。

水管理は自動化。

ドローンが飛び、土壌センサーが働き、AIが気象データを解析する。


そんな最先端の農場で、菜帆は当然のように


井坂農装のトラクター「蒼牙」


を乗り回している。


ある日、近所のおばあちゃんがその姿を見て言った。


「菜帆ちゃん」


「軽トラよりトラクターの方が似合うねぇ」


これは新潟では最大級の褒め言葉である。


性格はというと、


純朴。


優しい。


おっとり。


困っている人を見つけると必ず声をかける。


道端で転んだ子供を助け、

農作業で困っている高齢農家を手伝い、

研究室では後輩のレポートまで手伝う。


教授が言う。


「君は研究者より農業委員会向きだ」


つまり、


品行方正。


戦隊ヒロインに最も向いているタイプである。


しかし菜帆にはもう一つ特徴があった。


身体能力が異常に高い。


理由は単純。


野良作業である。


農作業というものは、

都会のジムよりもはるかに過酷なトレーニングだ。


田んぼを歩き、

肥料を運び、

機械を扱い、

炎天下で働く。


結果、


足腰が異様に強い。


ある日、大学のスポーツテストで彼女は50メートル走を全力で走った。


農学部の教授が驚く。


「君、陸上部?」


菜帆は答える。


「田んぼ部です」


そんな菜帆の話し方は、


やんわりした新潟弁。


しかし声は明るく、受け答えはハキハキしている。


「そうらねぇ」


「いいと思いますよ」


「やってみましょう!」


この性格のおかげでイベントステージでも問題なく話せる。


……のだが。


一つだけ問題があった。


少し野暮ったい。


服装が完全に農家仕様なのである。


チェックシャツ。

作業ズボン。

長靴。


都会のイベント会場でこの格好だと、


農機メーカーの営業担当にしか見えない。


そこで動いたのが、


戦隊ヒロインプロジェクト専属スタイリスト――


浜崎莉央。


博多在住のファッションの鬼才である。


莉央は新潟に呼ばれた。


菜帆を見て言った。


「素材は最高」


「でも」


「農家すぎ」


菜帆

「そうですか?」


莉央

「そうです」


そこから始まる


農ガール改造計画。


帽子を変え、

ブーツを変え、

ジャケットを合わせ、

シルエットを整える。


数時間後――


鏡の前に立った菜帆を見て、周囲が固まった。


小春

「え」


みのり

「誰」


理世

「別人ですね」


すみれコーチ

「やるじゃない」


そこに唯奈が来て言った。


「菜帆」


「それ」


「田植えできるのか?」


莉央が即答する。


「できない」


全員爆笑。


しかしこうして、


スマートファームの女王・本間菜帆


は誕生した。


AI農業を知り、

トラクターを操り、

米の未来を考え、

困った人を助ける。


そしてたまに、


トラクターより速く畑を走る。


新潟の風のようなヒロイン。


それが、


本間菜帆という人物である。

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