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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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658/680

ドリームトラクターに心はあるのか ― 太田町工場・AI解体会議

群馬県太田市。

この街は工業都市として知られているが、もう一つの顔がある。


**「職人の街」**だ。


駅前から少し外れると、旋盤工場、金属加工所、精密部品の町工場が並ぶ。

大企業の巨大工場の裏側で、無数の中小工場が技術を支えている。


いわば北関東の職人ネットワークの拠点だ。


そんな町工場の一つが、

戦隊ヒロインプロジェクト技術顧問――


太田すみれコーチの実家の工場である。


油の匂い。

金属の光。

古い旋盤。


その作業机の前に、腕を組んで立つ人物がいた。


白金台育ちの孤高のシロガネーゼ――

柏木理世。


理世は今、人生最大級の屈辱を味わっていた。


相手は人間ではない。


ドリームトラクター

蒼牙2000・改。


数学、哲学、言語――

どんな議論でも三秒で論破してくるAI搭載多目的作業支援車。


結果。


理世のプライドは

エベレスト級から富士山くらいまで削れていた。


理世は机に広げられた巨大な図面を見つめる。


「ここに弱点があります」


すみれコーチが腕を組む。


「ないわよ」


理世

「AIに弱点がないはずがありません」


すみれ

「自分が強くなればいいじゃない」


理世

「……」


しかし理世は引かなかった。


「弱点をさらけ出すことは」


「次のバージョンアップにつながるのでは?」


その瞬間。


すみれの表情が変わる。


科学者の目だ。


「……それもそうね」


理世

「……」


すみれは棚から巨大な筒を取り出した。


中から出てきたのは、


蒼牙2000・改の設計図一式。


AI演算モジュール

センサー系統

言語処理ユニット


町工場の机の上で、


AI解析会議が始まった。


理世

「この演算系統は?」


すみれ

「冗長構造」


理世

「こちらは?」


すみれ

「自己修復」


理世

「……」


理世の眉が少し動く。


「完璧すぎます」


すみれ

「そうよ」


理世

「面白くありません」


議論は二時間続いた。


その時、工場のシャッターが開く。


「すみれコーチ!」


入ってきたのは、


稲生明日香。


愛知県豊川市から駆けつけた蒼牙2000・改の開発アシスタントである。


巫女であり理系でもあるという、少し珍しい人物だ。


明日香は設計図を見る。


「蒼牙2000・改ですね」


すみれ

「そう」


理世

「弱点を探しています」


明日香は少し楽しそうに言う。


「面白い研究ですね」


こうして研究チームが完成する。


理論派ヒロイン

町工場エンジニア

理系スピリチュアル巫女


という妙な三人組である。


太田の町工場で、


蒼牙2000・改研究会議が始まった。


数日間。


三人は設計図を囲み続けた。


AIアルゴリズム。

行動判断。

戦術演算。


理世

「知性とは何ですか」


すみれ

「計算能力」


明日香

「魂です」


理世

「魂?」


すみれ

「また始まった」


しかし明日香は設計図を指差した。


「でも」


「ここにはありません」


理世

「……?」


すみれ

「……あ」


三人の視線が一点に集まる。


そして同時に言った。


「感情」


蒼牙2000・改には


感情モジュールが存在しない。


それは設計思想でもあった。


すみれ

「戦術AIに感情はいらない」


理世

「つまり」


明日香

「ここが弱点です」


三人は顔を見合わせる。


ついに見つかった。


蒼牙2000・改の弱点。


「感情がない」


理世はゆっくり言った。


「ここを突きます」


すみれは笑う。


「面白くなってきたわね」


明日香も頷く。


「実験しましょう」


太田の町工場から始まったこの研究は、


やがて


AIに感情で挑むという

ヒロ室史上最大級のインテリ喜劇


へ発展していくことになる。

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