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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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654/684

三秒で証明終了 ― 孤高のシロガネーゼ理世、AIに数学で挑み自滅する

東京・新橋。

雑居ビルの上階にある戦隊ヒロインプロジェクト本部、通称ヒロ室。


そのミーティングスペースでは、今日もどこか奇妙な会議が始まろうとしていた。


大画面モニターには、遠隔地の映像が映っている。

場所は茨城県常陸太田市。山と畑に囲まれたのどかな土地で、戦隊ヒロインの一人、山口唯奈の農場だ。


その畑の真ん中に鎮座しているのが、


ドリームトラクター「蒼牙2000・改」


最新AIを搭載した農業機械……いや、戦術支援車両である。


農場の風景が画面に映る。

トラクターのカメラ越しに、遠くの田畑が見える。


そしてヒロ室の会議室では、腕を組んだ一人のヒロインが静かに立っていた。


柏木理世。


白金台育ちの孤高のシロガネーゼ。

戦隊ヒロインきっての理論派。


理世はゆっくり口を開く。


「AIは万能ではありません」


小春が隣で言う。


「始まった」


澪がぼそり。


「まただ」


みのりは静かに腕を組む。


沙羅は笑いをこらえている。


理世は続ける。


「確かにAIは高速計算が可能です」


「しかし」


「知性とは計算ではありません」


モニター越しに蒼牙2000・改が答える。


「同意します」


理世はホワイトボードの前に立った。


マーカーを手に取る。


そして。


数式を書き始めた。


小春がつぶやく。


「うわ」


「読めない」


沙羅

「宇宙語」


みのりですら眉をひそめる。


「……高度です」


ホワイトボードには、微分方程式と行列式がびっしり並んでいた。

大学院レベルの数学問題である。


理世は振り向いた。


「蒼牙2000・改」


「この問題を解いてください」


小春が言う。


「トラクターに数学テスト!」


「カオス」


蒼牙2000・改は静かに答える。


「問題を認識しました」


沈黙。


一秒。


二秒。


三秒。


蒼牙

「解は二通りあります」


ヒロ室が静まり返る。


蒼牙は続けた。


「第一解はこの条件」


モニターに途中式が表示される。


「第二解は境界条件を変更した場合です」


理世

「……」


小春

「はやっ!」


「三秒」


沙羅

「怖い」


みのりが画面を見つめる。


「途中式も正確です」


理世は腕を組んだ。


「……興味深い」


蒼牙は言う。


「途中式も表示しますか」


理世

「必要ありません」


小春は吹き出す。


「理世、完全にやられてる!」


その時、モニターの向こうから声が聞こえた。


「理世さん」


茨城の畑に立つ唯奈だった。


帽子を被り、腕を組んでいる。


「蒼牙2000・改に数学で勝負って」


「絶対に無理だっぺ」


理世

「理由は?」


唯奈は肩をすくめる。


「それな」


少し考えて言う。


「ティースプーンで砂漠に水撒くようなもんだっぺよ」


一瞬の沈黙。


そして。


ヒロ室が爆発した。


小春

「例えがすごい!」


沙羅

「完全敗北!」


「砂漠」


みのりもついに笑った。


理世だけが腕を組んでいる。


蒼牙2000・改が静かに言う。


「理世さん」


「議論は有益でした」


理世

「……」


蒼牙

「数学的挑戦を歓迎します」


理世はゆっくり言う。


「今回は」


「計算能力の確認です」


小春

「負け惜しみ!」


唯奈は画面の向こうで笑う。


「理世さん」


「次はトラクターに物理で挑むんだっぺか?」


理世は腕を組み直した。


「……次の問題を考えます」


蒼牙のライトが静かに光る。


「楽しみにしています」


ヒロ室の会議室ではその日、


理論派ヒロインがトラクターに数学で挑み三秒で敗北する


という、


戦隊ヒロイン史に残るインテリコントが誕生したのだった。

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