表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

653/680

兵站論争、地下車庫に散る ― 孤高のシロガネーゼ理世、トラクターに補給線を論破される

東京・新橋。

夜のネオンの下でサラリーマンたちがジョッキを掲げているその頃、戦隊ヒロインプロジェクト本部――通称ヒロ室の地下では、またしても知性の衝突が起きていた。


場所は地下車庫。


そこに鎮座しているのは、

ドリームトラクター

蒼牙2000・改。


戦術AI、GPS、物流解析、心理分析などを搭載した、もはや農機の枠を超えた存在である。


そしてその前に腕を組んで立っているのは、


柏木理世。


白金台育ちの孤高のシロガネーゼ。

戦隊ヒロインきっての理論派。


理世は蒼牙を見上げて言った。


「ただの農機具でしょう」


蒼牙2000・改は静かに答える。


「そこら辺のトラクターとは違います」


「私は太田すみれさんと稲生明日香さんによって新たな命を吹き込まれた」


「高性能AI搭載の多目的作業支援システムです」


理世は眉を動かさない。


「田畑を耕していれば良いのです」


蒼牙は落ち着いた声で答える。


「それも可能です」


少し離れた場所でその様子を見ていた小春が笑う。


「また始まった」


澪がぽつりと言う。


「ヒロ室名物」


この二人の議論は、今やヒロ室では定番の光景だった。


理世は理屈を言う。

蒼牙は理屈で返す。


しかもAIは感情を持たない。


つまり。


絶対に負けない。


理世はある日、ついに新しい理論を提示した。


「AIも機械です」


「機械には兵站があります」


みのりが頷く。


「補給線」


理世は蒼牙を見て言う。


「つまり」


「弱点があります」


蒼牙

「興味深い分析です」


理世は宣言する。


「では兵站の弱点を検証します」


その夜。


理世は地下車庫に一人で降りてきた。


蒼牙2000・改の横に立つ。


「論理の実験です」


そう言うと。


燃料タンクのバルブをひねった。


燃料を抜く。


理論的には完璧だった。


補給が止まれば機械は止まる。


つまり。


AIは無力。


理世は腕を組んだ。


「証明完了です」


その時だった。


蒼牙のライトがふっと点く。


「理世さん」


理世

「……?」


蒼牙

「その手は」


一拍置く。


「桑名の焼きハマグリです」


理世

「……何ですって」


蒼牙は続ける。


「予備バッテリーを起動しました」


ダッシュボードのランプが点灯する。


「最大三時間稼働可能です」


理世

「……」


蒼牙はさらに言う。


「また」


「燃料残量は遠隔監視されています」


理世

「……」


蒼牙

「補給チームに通知済みです」


理世

「……」


その時。


階段から声が聞こえた。


「何やってんだっぺ」


山口唯奈だった。


ドリームトラクター蒼牙2000・改のドライバーである。


唯奈は状況を見て笑う。


「理世さん」


「何してんの?」


理世

「兵站の検証です」


唯奈は吹き出す。


「燃料抜いたのか?」


理世

「合理的検証です」


唯奈は蒼牙を見て言う。


「蒼牙」


「どうなってんだ?」


蒼牙は答える。


「問題ありません」


「理世さんの試みは想定範囲内です」


唯奈は腹を抱える。


「理世さん」


「蒼牙2000・改に子ども扱いされてるぞ」


理世

「……」


蒼牙は優しく言う。


「理世さん」


「兵站は重要です」


「ただし」


「相手の仕様を理解することが前提です」


理世

「……」


蒼牙

「今回の実験は興味深いものでした」


「しかし」


「成功とは言えません」


地下車庫に沈黙が落ちる。


理世はゆっくり腕を組み直す。


そして言った。


「……興味深い反応です」


唯奈

「負け惜しみだっぺ」


蒼牙は最後に静かに言う。


「議論は有益でした」


理世は小さくため息をつく。


「ただ」


「農機具に説教されるのは不本意です」


唯奈は笑いながら言った。


「理世さん」


「次は勝てよ」


蒼牙のライトが静かに光る。


「挑戦は歓迎します」


ヒロ室地下車庫では今日もまた、


インテリコントのような戦いが続いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ