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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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アルゴリズムは嘘をつかない ― 理世VS蒼牙2000・改・港湾作戦会議崩壊事件

戦隊ヒロインの中でも、柏木理世は異色の存在である。

東京・白金台育ちのシロガネーゼ。有名私大の国際教養学部在学の国際派才女。ドイツ系クォーターの血を引き、論理と秩序を重んじる生粋の理論派ヒロインだ。


感情より合理性。

直感より分析。

「作戦とは数学です」が口癖である。


ところが――。


この理論主義者にはどうしても相性の悪い相手がいた。


ドリームトラクター

「蒼牙2000・改」


最新AIを搭載し、データ解析と戦術計算を得意とする農機……いや戦術支援車両である。


理世が理屈を言う。

AIも理屈で返す。


両者ともプライドが高い。


結果どうなるか。


議論が終わらない。


この日、任務の舞台となったのは千葉湾岸。

千葉みなとから蘇我にかけての物流倉庫地帯だった。


巨大なコンテナヤード。

海沿いに並ぶ倉庫群。

首都圏物流を支える巨大動脈であり、夜になると大型トレーラーのライトが流星のように走る。


物流の街。

同時に――密輸組織が狙う場所でもある。


今回の任務は、倉庫に紛れ込んだ密輸ルートの摘発だった。


参加メンバーは


・柏木理世

・館山みのり

・山口唯奈

・蒼牙2000・改

・月島小春

・水無瀬澪


ヒロ室臨時作戦会議。


巨大倉庫の航空写真がモニターに映る。


理世が静かに説明する。


「この倉庫群は動線が複雑です」


「したがって包囲戦術が合理的」


指し棒が動く。


「こちらとこちらを封鎖」


「逃走ルートを三方向から遮断」


完璧な論理だった。


みのりが頷く。


「理にかなっています」


澪も小さく言う。


「堅い」


その時だった。


低く落ち着いたAI音声が響く。


「理世さん」


蒼牙2000・改だった。


「その作戦は非効率です」


空気が止まる。


理世はゆっくり振り向く。


「非効率?」


AIは続ける。


「成功確率43%」


「敵車両の回避率が高い」


モニターにデータが表示される。


理世は静かに言う。


「あなたの計算には心理要素が含まれていません」


蒼牙

「含まれています」


「過去17年の港湾犯罪データを参照」


小春が吹き出す。


「始まった」


唯奈は腕を組む。


「トラクター論破タイムだっぺ」


理世は冷静だった。


「統計は現場を知らない」


蒼牙

「現場データは1万2千件あります」


理世

「……」


理世はさらに言う。


「作戦とは論理だけでは成立しません」


「人間の判断が必要です」


蒼牙は淡々と答える。


「その判断は誤差を生みます」


理世の眉が動く。


そして、ついに言った。


「農機具に何がわかるの?」


会議室が静まり返る。


だがAIは動じない。


「訂正します」


「私は農機具ではありません」


「戦術支援AIです」


小春が机に突っ伏す。


みのり

「分類問題」


唯奈

「そこ!?」


蒼牙は続ける。


「また、農業は高度な科学です」


「農機具という表現は不正確です」


理世

「……」


完全に議論の方向が迷子だった。


十分後。


二十分後。


三十分後。


議論は続いた。


小春がついに言った。


「はいストップ!」


全員が振り向く。


小春は笑いながら言う。


「蒼牙2000・改案でいこう」


理世

「……」


唯奈

「決まった」


みのり

「合理的」


理世はしばらく黙っていた。


だが。


任務が始まると、誰よりも真剣だった。


ドイツ系クォーターの血。


ゲルマン的生真面目さ。


理世は作戦通り、正確に動いた。


監視。

包囲。

追跡。


その動きは完璧だった。


結果。


任務は大成功。


密輸車両は確保された。


倉庫街に静かな夜が戻る。


蒼牙2000・改が言う。


「理世さん」


理世が振り向く。


「あなたの行動は極めて優秀でした」


「作戦成功に大きく貢献しています」


一瞬の沈黙。


小春はニヤニヤ。


唯奈も笑う。


理世は腕を組む。


そして言った。


「当然です」


「私は優秀ですから」


蒼牙

「同意します」


理世

「……ただ」


少し間を置いて。


「農機具に褒められても嬉しくありません」


小春は大爆笑。


唯奈は肩を叩く。


「理世、まだ言うか!」


蒼牙は静かに言う。


「議論は楽しいですね」


港湾の夜に、笑い声が響いた。


理世と蒼牙2000・改の

仁義なき戦いは


まだ終わりそうにない。

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