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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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鉄壁のシロガネーゼ、ついに一勝 ― 田無ディフェンス作戦

西東京市・田無。

新宿から電車で二十分ほどの距離にありながら、どこかのんびりとした空気が流れる住宅都市である。駅前には昔ながらの商店街があり、少し歩けば静かな住宅街が広がる。大都会東京のすぐ隣にある、穏やかな日常の街だ。


――そんな街で、事件が起きた。


研究機関の機密データを盗んだ犯人が、田無周辺の住宅街へ逃走したのである。


ヒロ室に出動命令。


今回の任務メンバーは


エミリー・ハート

月島小春

柏木理世

館山みのり

内田あかね


現地到着。


駅前のロータリーを見ながら小春が言う。


「いやー、平和な街だね」


エミリーも笑う。


「いいところだね」


みのりは住宅街の地図を確認している。


「道が入り組んでいます」


あかねも頷く。


「追跡は難しそうです」


その時だった。


理世が一歩前へ出る。


いつもの理世より――


鼻息が荒い。


「今回の作戦は私が立案します」


小春がすぐ反応する。


「お、理世が燃えてる」


エミリーも楽しそうだ。


「いいね」


理世はタブレットを広げた。


住宅街の地図。


「犯人はこの住宅地へ逃げ込んでいます」


「しかし、この地区は袋小路が多い」


指を指す。


「ここを封鎖すれば、逃げ道はありません」


役割分担。


「みのりとあかねは外周封鎖」


「小春は機動追跡」


そして。


「エミリー」


「あなたは中央から追跡」


小春が言う。


「で、理世は?」


理世は静かに答える。


「私は――」


「ここで待ちます」


そこは袋小路の出口だった。


理世の心の中。


(エミリーが追い込む)


(犯人はここへ来る)


(そして私が確保)


(つまり手柄は私)


今日は。


絶対に。


勝つ。


追跡開始。


住宅街を犯人が走る。


小春が叫ぶ。


「右行った!」


エミリーが追う。


ブロンズの髪をなびかせながら軽快に走る。


しかし犯人は慌てて曲がる。


袋小路。


逃げ場がない。


そこで。


一人の女性が腕を組んで立っていた。


柏木理世。


「終わりです」


犯人が止まる。


完全包囲。


確保。


数分後。


小春たちが到着。


小春が叫ぶ。


「えええ!?」


「理世が捕まえてる!」


みのりが頷く。


「完璧な封鎖でした」


あかねも言う。


「合理的です」


エミリーは笑った。


「ナイス!」


理世は腕を組んだまま言う。


「計算通りです」


その瞬間。


小春が叫ぶ。


「やったーー!!」


そして。


エミリーとハイタッチ。


パン!


「理世ナイス!」


「鉄壁のシロガネーゼ!」


なぜか。


二人が大喜び。


みのりも笑う。


「素晴らしい作戦です」


あかねも拍手。


「見事でした」


理世は少し戸惑う。


「……」


小春はまだ興奮している。


「理世ヒーローじゃん!」


エミリーも言う。


「すごい」


理世はクールに答える。


「当然です」


しかし心の中。


(……なぜ)


(なぜこの二人は)


(こんなに喜んでいるのです)


自分の手柄なのに。


まるで。


自分のことのように喜んでいる。


エミリーが言う。


「理世の作戦すごかった」


小春も言う。


「今日は理世回!」


理世は腕を組みながら答える。


「……別に」


しかし少しだけ声が柔らかい。


理世はエミリーを見る。


エミリーは本当に嬉しそうだった。


そこに計算も、駆け引きもない。


ただ。


任務成功を喜んでいるだけ。


理世は小さく呟く。


「……理解不能です」


小春が聞く。


「なんて?」


理世は首を振る。


「何でもありません」


夕方の田無駅前。


商店街からコロッケの匂いが流れてくる。


その中で。


エミリーと小春はまだ盛り上がっていた。


「理世すごい!」


「次も頼む!」


理世は腕を組んで歩く。


表情はいつものクール。


しかし心の奥では。


少しだけ。


ほんの少しだけ。


気分が悪くなかった。


鉄壁のシロガネーゼ。


その日、彼女はついに――


エミリーに一勝した。


しかも。


思っていたよりも。


ずっと不思議で、


少しだけ悪くない勝利だった。

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