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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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643/680

ランウェイを駆ける女 ― ロッキーの風エミリーと白金の策士、渋谷で自爆

東京・渋谷から表参道にかけての一帯は、日本でも屈指の華やかな街である。

巨大スクランブル交差点で世界中の人々が行き交い、坂を上れば高級ブランドが並ぶ表参道。ガラス張りのビル、洗練されたブティック、海外の観光客、若者文化、ファッション、音楽――すべてが混ざり合う“東京の最前線”ともいえる場所だ。


その華やかな街で事件が起きた。


ある企業の研究データを盗んだ産業スパイが、渋谷から表参道へと逃走したのである。


ヒロ室に出動命令。


今回の任務メンバーは


エミリー・ハート

月島小春

柏木理世

館山みのり

大宮麗奈


現地到着。


スクランブル交差点を見た小春が言う。


「いやこれ、人多すぎ!」


麗奈も笑う。


「イベントの日みたいですね」


みのりは静かに状況を確認する。


「人混みに紛れれば追跡は困難です」


その時、理世が前に出た。


「作戦は私が立案しました」


小春がニヤニヤする。


「また理世の頭脳プレー?」


理世はタブレットを開いた。


「犯人はこの通りを表参道方面へ逃走する可能性が高い」


「したがって、ここで捕捉します」


そしてエミリーを見て言う。


「エミリーはこのエリアを担当してください」


表示された場所。


それは――


ファッションイベント会場。


表参道の特設ランウェイ。


観客多数。


モデル多数。


小春が言う。


「え、ここ?」


理世は冷静に答える。


「人混みで逃走は困難です」


理世の心の中。


(ここで派手に走れば目立つ)


(失敗すれば恥をかく)


(つまり――)


(私の作戦が成功する)


完璧な計算だった。


任務開始。


犯人が人混みを抜けて走る。


小春が叫ぶ。


「逃げた!」


その瞬間。


エミリーが走り出す。


しかし。


追跡ルートは――


ランウェイ。


モデルが歩くステージの上を、エミリーが駆け抜ける。


観客がざわめく。


「えっ?」


「誰?」


「モデル?」


ブロンズの髪が光る。


長身。


碧眼。


まるで映画のヒロイン。


観客が拍手。


「かっこいい!」


「ショーの演出?」


小春が叫ぶ。


「ランウェイチェイス!」


犯人は慌てて逃げる。


エミリーが追いつく。


軽くタックル。


確保。


観客。


大歓声。


拍手。


歓声。


スマホ撮影。


エミリーは立ち上がり、少し照れながら言う。


「ショーを邪魔してごめん」


そして笑って付け加える。


「でも、いいランウェイだった」


小春が爆笑。


「デンバー基準!」


みのりは静かに言う。


「結果的に合理的でした」


麗奈も笑う。


「むしろショーより盛り上がりました」


任務成功。


小春がエミリーに飛びつく。


「やったー!」


ハイタッチ。


パン!


「ナイスランウェイ!」


「ナイスチェイス!」


二人は大はしゃぎ。


麗奈も拍手。


みのりも微笑む。


チームの輪ができる。


しかし。


その輪の外。


理世は腕を組んでいた。


クール。


完全にクール。


しかし心の中。


(なぜ拍手されているのです)


(恥をかくはずでした)


(意味が分かりません)


その時。


エミリーが近づく。


「理世」


理世。


「はい」


エミリーは笑う。


「作戦よかった」


理世。


「……そうですか」


エミリーは続ける。


「ランウェイの位置、完璧だった」


「おかげで追いつけた」


理世の奥歯。


ギリギリギリ。


小春がみのりに小声で言う。


「理世またぐぬぬしてる」


麗奈が笑う。


「珍しいですね」


みのりは穏やかに言う。


「良いチームです」


その頃、表参道の街は夕暮れに染まり始めていた。


華やかな街の中心で。


ロッキーの風は今日も爽やかに吹いていた。


そして白金の策士は――


今日も静かに歯ぎしりしていた。

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