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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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642/680

ロッキーの風、秋川を駆ける ― 理世の完全計画と完全失敗

東京にも、山がある。


都心から電車でわずか一時間ほど西へ向かうと、景色は一変する。

清流が流れ、深い緑の山々に囲まれた自然の楽園――秋川渓谷だ。


透き通る川、苔むした岩、夏には川遊び、秋には紅葉。

東京都内とは思えないほどの美しい渓谷で、ハイキング客やキャンプ客に人気の場所である。


……その静かな渓谷で事件が起きた。


企業研究所のデータを盗んだ産業スパイが、山道へ逃げ込んだのだ。


ヒロ室に出動命令。


今回の任務メンバーは


エミリー・ハート

月島小春

柏木理世

館山みのり

内田あかね


現地到着。


清流を見た小春が叫ぶ。


「うわー!めっちゃ綺麗!」


エミリーも笑う。


「いい場所だね!」


みのりは周囲を観察している。


「あの尾根へ逃げた可能性があります」


あかねは冷静に言う。


「法的にもこの区域は追跡可能です」


その時。


理世が静かに前に出た。


「今回の作戦は私が立案しました」


小春がニヤリ。


「出た、理世の頭脳プレー」


理世はタブレットを開く。


山道の地図。


「犯人はこの尾根を越えて林道へ逃げる可能性が高い」


「そこで包囲します」


役割分担。


「みのりとあかねは林道封鎖」


「小春は川沿いルート」


そして。


「エミリー」


「あなたはこのルート」


画面には――


急斜面の山道。


しかも。


遠い。


小春が言う。


「え、それキツくない?」


理世は平然。


「最短ルートです」


理世の心の声。


(ここは急斜面)


(時間がかかる)


(犯人確保は私の作戦チーム)


(つまり手柄は私)


完璧な計算だった。


しかし。


山道を進むエミリーは言った。


「いいトレイルだね」


小春。


「え、そうなの?」


エミリーは笑う。


「ロッキーでは普通だよ」


そして――


猛スピード登山。


急斜面を軽々と登る。


岩場もジャンプ。


小春が叫ぶ。


「速っ!」


みのりが呟く。


「予想以上です」


その頃。


犯人は尾根に到達していた。


「よし、逃げ切れる!」


その瞬間。


背後から声。


「いい景色だね」


振り向くと。


そこに立っていたのは――


エミリー。


ブロンズの髪が山風に揺れている。


犯人。


「なっ!?なんで!?」


エミリーは肩をすくめた。


「理世のルート、分かりやすかった」


犯人は慌てて逃げようとする。


しかし。


エミリーが軽くジャンプ。


確保。


犯人は呆然。


「この女……」


エミリーは微笑む。


「ロッキーの山はもっと急だよ」


数分後。


小春たちが合流。


小春が叫ぶ。


「もう終わってる!」


みのりが頷く。


「迅速です」


あかねも冷静に言う。


「適法な確保です」


そして。


小春がエミリーに飛びつく。


「やったー!」


エミリーとハイタッチ。


パン!


「ナイスクライミング!」


「いいトレイル!」


二人は大はしゃぎ。


みのりも笑う。


「見事でした」


あかねも頷く。


「素晴らしい連携です」


チームが一つになって喜んでいる。


しかし。


その輪の外。


理世は腕を組んでいた。


完全にクール。


完全に冷静。


だが。


心の中。


(なぜあのルートで先回りできるんです)


(意味が分かりません)


(計算が崩壊しています)


その時。


エミリーが理世に近づいた。


「理世」


理世。


「はい」


エミリーは笑う。


「作戦よかった!」


理世。


「……そうですか」


エミリーは続ける。


「いい山道だった」


「おかげでショートカットできた」


理世の奥歯。


ギリギリギリ。


小春が小声で言う。


「理世またぐぬぬしてる」


みのりが言う。


「良い刺激です」


あかねが真顔で言う。


「チームとして機能しています」


秋川渓谷の清流は静かに流れている。


その山道を駆け抜けるロッキーの風。


そしてその後ろで。


白金の孤高は――


今日も静かに歯ぎしりしていた。

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