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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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ロッキーの風と白金の孤高 ― エミリーと理世、静かなライバル戦争

戦隊ヒロインプロジェクトには、いろいろなタイプのヒロインがいる。


大阪弁で豪快に笑う者もいれば、京都弁ではんなり毒を吐く者もいる。

山奥でトラクターを振り回す者もいれば、巫女装束で理系の話をする者もいる。


だが最近、その中でひときわ目立つ存在が現れた。


――エミリー・ハート。


長いブロンズの髪。

青く澄んだ碧眼。

長身でスタイルも良く、どこに立っていてもまるで映画のワンシーンだ。


しかも任務ではとんでもない。


高層ビルをクライミングで登り、

熊を追い払い、

地下鉄を走って犯人を追いかける。


そして任務が終わると必ず言う。


「デンバーでは普通だよ」


この一言がヒロ室ではすっかり名物になっていた。


さらにエミリーは

英語、日本語、スペイン語を操るトリリンガル。


イベントでは海外記者とも自然に会話し、

子供にも気さくにサインをする。


気づけばヒロ室の中でもかなり人気のヒロインになっていた。


小春が言う。


「いやエミリー、ほんとヒーロー映画みたいだよね!」


みのりも感心する。


「判断力も身体能力も高いです」


澪はスマホを見ながらぼそっと言う。


「なんか主人公ポジションだよね」


エミリーは笑う。


「そんなことないよ」


……その会話を、少し離れた席で聞いている人物がいた。


柏木理世。


白金台在住。

名門私大の国際教養学部に通う才女。


英語、日本語、ドイツ語を操るトリリンガル。

母方がドイツ系で、幼少期をドイツで過ごした。


ヒロ室ではこう呼ばれている。


「孤高のシロガネーゼ」


理世は腕を組みながらエミリーを見ていた。


ブロンズの髪。


明るい笑顔。


やたら人懐っこい。


そして妙に人気がある。


理世は心の中で呟く。


(……派手)


任務のやり方も気に入らない。


理世は計画型の人間だ。


分析。

準備。

合理。


しかしエミリーは違う。


「登ればいい」


「走ればいい」


「追いつけばいい」


という力技で解決してしまう。


理世は納得がいかない。


(あれは計画ではない)


(勢いです)


だが問題はそこではない。


それで成功してしまうのだ。


ある日、小春が理世に言った。


「理世ってエミリーのこと苦手?」


理世は冷静に答える。


「別に」


そして続けた。


「ただ……」


「騒がしい人は好きではない」


その瞬間。


遠くでエミリーが笑った。


「小春、それ面白い!」


小春が爆笑している。


理世は視線をそらす。


(……うるさい)


さらにもう一つ。


理世にはどうしても納得できないことがあった。


語学。


理世は語学が誇りだった。


英語はネイティブレベル。

ドイツ語も母語並み。


だがエミリーの英語は当然母国語。


ある日、海外メディアの取材で。


記者

「Emily, how did you climb that building?」


エミリー

「Just normal Colorado hiking」


理世は横で聞いていた。


(発音が完璧)


悔しい。


しかもエミリーはそれを自慢することもない。


ただ笑っているだけ。


理世は思う。


(……ずるい)


そんなある日。


エミリーが理世の隣に座った。


「理世」


理世は少し警戒する。


「何ですか」


エミリーは普通に言った。


「ドイツ語教えて」


理世は一瞬固まる。


「……なぜ」


エミリーは笑う。


「カッコいいから」


理世は戸惑う。


想定外だった。


エミリーはさらに言う。


「理世の日本語もすごく綺麗」


理世は視線をそらした。


少しだけ耳が赤い。


その様子を見て、小春がニヤニヤしていた。


「理世、照れてる?」


理世は即答する。


「違います」


だが小春は言う。


「絶対ライバル意識してるじゃん」


理世は静かに言った。


「……別に」


しかし心の中では。


(この人……)


(なんでこんなに楽しそうなんですか)


ロッキーの風のような自由な女。


白金の孤高の才女。


二人の距離はまだ遠い。


だがヒロ室では最近、こんな噂が流れている。


「理世、エミリーのことめっちゃ気にしてる」


その日も理世は腕を組んでエミリーを見ていた。


そして小さく呟く。


「……派手すぎます」


その瞬間、エミリーが笑った。


「理世、コーヒー飲む?」


理世は少し考えてから答える。


「……ブラックなら」


ロッキーの風は、今日も白金の静寂を少しだけ乱していた。

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