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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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638/684

地下鉄より速い女 ― ロッキーの風エミリー、メトロチェイス!

東京の地下には、もう一つの都市がある。

その象徴とも言えるのが、都心と東の湾岸地帯を一直線に結ぶ巨大地下鉄路線だ。朝夕は通勤客でぎゅうぎゅう、昼でも油断すれば人の波に飲み込まれる。首都の東西を支える、日本でも屈指の輸送量を誇る路線である。


その地下鉄で事件が起きた。


企業機密データを盗んだ産業スパイが地下鉄に乗り込み、駅から駅へと逃走。

警察だけでは追跡が困難と判断され、ヒロ室に出動要請が入った。


現場に急行したのは

エミリー・ハート、

館山みのり、

月島小春、

柏木理世、

内田あかね。


地下駅のホームは、いつも通り人であふれている。


小春が言った。


「いやいやいや!地下鉄逃走とか無理ゲーでしょ!」


みのりは落ち着いた声で状況を整理する。


「犯人は三駅先で乗り換える可能性があります」


その横で、理世が腕を組んでいた。


「私に考えがあります」


小春がニヤニヤする。


「出た、理世の頭脳プレー」


理世はスマートフォンの路線図を指差した。


「次の駅で包囲します。列車は必ず停車する。そこを押さえれば終わりです」


あかねが頷く。


「法的にも問題ありません」


みのりも同意する。


「合理的ですね」


小春が拍手する。


「さすがエリート!」


――そして五分後。


電車がホームに到着。


ドアが開く。


しかし。


犯人はいなかった。


小春。


「え?」


みのり。


「……降りていません」


あかねが分析する。


「車両を移動した可能性があります」


理世の顔が少し曇る。


小春が言う。


「理世の作戦……」


みのりが冷静に言う。


「裏目ですね」


理世はむっとした。


「想定外の行動です」


その時。


別のホームから列車が発車した。


みのりが言う。


「乗り換えました!」


小春が叫ぶ。


「逃げた!!」


その瞬間。


エミリーが静かに言った。


「OK」


小春が聞く。


「何がOK?」


エミリーは当然のように言う。


「追いつける」


全員。


「は?」


エミリーは階段を駆け上がる。


改札を抜ける。


そして――


地下通路を全力疾走。


小春が叫ぶ。


「ちょっと待ってぇぇぇ!」


地下通路を、ブロンズの長い髪が風のように流れる。


白い光の通路を、碧眼のヒロインが走る。


完全にアメコミ。


みのりが呟く。


「地下鉄を……走って追うんですか」


あかねが真顔で言う。


「法律上は問題ありません」


理世がぼそっと言う。


「意味が分かりません」


エミリーは地下迷路のような通路を駆け抜ける。


乗り換え通路。

階段。

長いホーム。


そして――


次の駅に先回りした。


電車が滑り込む。


ドアが開く。


犯人が降りた瞬間。


エミリーが目の前に立っていた。


犯人。


「なっ!?」


エミリーは静かに言う。


「逃げるのはここまで」


犯人は呆然。


エミリーは少し笑う。


「地下鉄は速い」


そしてヒーローのように言った。


「でもロッキーのトレイルランの方が速い」


犯人確保。


数分後。


小春たちが到着。


小春は息切れしていた。


「はぁ……はぁ……」


みのりが感心する。


「見事なリカバリーですね」


あかねも頷く。


「合理的です」


小春が叫ぶ。


「合理的っていうか超人!」


エミリーは肩をすくめた。


その横で小春がハイテンション。


「やったー!ナイスラン!」


エミリーも笑う。


「いいトレーニングだった」


二人でハイタッチ。


パン!


しかしその横で理世だけが腕を組んでいた。


表情は不満そう。


小春がからかう。


「理世、悔しい?」


理世は冷静に言う。


「別に」


そしてぼそっと付け加えた。


「地下鉄を走る発想が理解できないだけです」


小春が笑う。


「負け惜しみだ!」


エミリーは気にせず笑っていた。


その日、地下鉄利用者のSNSにはこう書かれていた。


「地下通路を疾走する金髪ヒロイン」


そしてもう一つ。


「地下鉄より速い女」


ロッキーの風は――

ついに東京の地下にも吹き込んでいた。

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