表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

635/680

川を走る女!ロッキーの風エミリー 鶴見川フラッドレスキュー

神奈川県を流れる鶴見川。

町田市の丘陵を源流に、横浜市を抜けて東京湾へ注ぐ都市河川で、流域には住宅地が広がる。普段は穏やかな川だが、集中豪雨の際には水位が急激に上がることで知られ、地元ではしばしば注意が呼びかけられる“暴れ川”でもある。


その日、関東を襲った豪雨で鶴見川が増水した。


通報は簡潔だった。


「中洲に人が取り残されています!」


ヒロ室の緊急出動。


現場に向かったのは

エミリー・ハート、

山口唯奈、

月島小春、

館山みのり、

水無瀬澪、

松本美紀。


そしてもちろん足は――


ドリームトラクター蒼牙2000・改。


河川敷を巨大タイヤで進む蒼牙の操縦席で、唯奈がアクセルを踏みながら叫ぶ。


「蒼牙ぁ!濁流なんぞに負げんなよ!突っ込むど!」


蒼牙が落ち着いた声で答える。


「現場まで三十秒。

水位上昇を確認」


車が止まった。


前方には濁流。


茶色く濁った水が猛烈な勢いで流れている。


川の真ん中の小さな中洲に、びしょ濡れの男性が震えながら手を振っていた。


小春が叫ぶ。


「うわああ!流れ速すぎ!」


みのりが冷静に観察する。


「これは危険ですね」


美紀が頷く。


「水温も低そうです」


その横で、澪が河川敷に座り込んでいた。


「はぁ……なんで私まで呼ばれたんですか……」


みのりが言う。


「澪さん、ここ近所でしょう」


澪がため息。


「だからって濁流救助って……」


小春が笑う。


「完全に近所の人扱い!」


蒼牙が川を分析する。


「流速が速すぎます。

車両接近は危険」


唯奈が舌打ちする。


「ちっ……川入ったら流されっぺよ」


そのとき。


後部座席で川を観察していたエミリーが立ち上がった。


長いブロンズの髪が風に揺れる。


碧眼が濁流を見つめる。


エミリーは静かに言った。


「OK」


小春が聞き返す。


「何がOKなの!?」


エミリーは当然のように言う。


「川でしょ?」


唯奈が叫ぶ。


「いやそれが問題なんだっぺよ!」


エミリーは水面を見つめた。


流れの癖。

岩の位置。

水の深さ。


そして軽く言う。


「蒼牙、あの岩まで行ける?」


蒼牙が即答する。


「可能です」


唯奈がハンドルを切る。


「よっしゃ行ぐど!」


蒼牙が河原ギリギリまで前進。


巨大タイヤが岩の上に乗り上げる。


エミリーが言う。


「Perfect」


そして――


川へ走り出した。


小春が絶叫する。


「入ったぁぁ!」


濁流の中。


普通なら立てない。


しかしエミリーは岩を踏みながら進む。


まるで水面を走るように。


唯奈が叫ぶ。


「おいおいおい!川走ってっぺよ!」


みのりが驚く。


「身体能力が異常です」


澪がぼそっと言う。


「アメコミだ……」


エミリーは中洲に到達。


震える男性に笑いかける。


「大丈夫」


男性が涙目。


「た、助けてください……」


エミリーは軽々と肩に担ぐ。


小春が叫ぶ。


「ヒーロー映画みたい!」


そして蒼牙のライトを目標に戻る。


流れを読みながら、岩を踏み、濁流を突破。


数分後。


河川敷に帰還。


唯奈が笑う。


「いやぁ!ほんとに川走って帰ってきやがった!」


みのりが苦笑する。


「完全にアメコミヒロインですね」


美紀が救助者を確認する。


「大丈夫です!助かりました!」


消防隊員が駆け寄る。


「どうやって渡ったんですか?」


エミリーは肩をすくめる。


そして爽やかに言った。


「トレッキング」


小春が爆笑。


「トレッキングじゃない!」


澪が河川敷に寝転びながら言う。


「私、家帰っていいですか……」


唯奈が笑う。


「澪ぉ!近所なんだからもうちっと働け!」


夕暮れの鶴見川に、

ヒロイン達の笑い声が響いた。


その日ヒロ室の任務報告書にはこう書かれた。


『激流救助:エミリー方式(川でもトレッキング)』


ただし――


やはり誰も再現できなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ