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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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634/680

熊より速い女!丹沢ベア・チェイス ― ロッキーの風エミリー参上

神奈川県西部に広がる丹沢山地。

大山や塔ノ岳を中心とするこの山域は、首都圏から最も近い本格的な山岳地帯として知られ、週末になると多くの登山客で賑わう人気のフィールドだ。ブナ林や清流が美しく、関東の登山者にとっては“庭の山”とも呼ばれる。


だがその日、その平和な山に緊張が走った。


「丹沢で熊が出没!登山客が避難できず取り残されています!」


ヒロ室に緊急要請が入る。


出動したのは

エミリー・ハート、

山口唯奈、

月島小春、

館山みのり、

杉山ひかり、

松本美紀。


そして山道を進むのはもちろん――


ドリームトラクター蒼牙2000・改。


巨体の特殊車両が丹沢の林道を進む。


操縦席では唯奈がハンドルを握りながら叫ぶ。


「おい蒼牙ぁ!熊ぐれぇでビビってんじゃねぇぞ!ガンガン行ぐど!」


蒼牙が冷静に答える。


「状況分析中。

熊の活動圏内に接近」


小春が窓の外を見て言う。


「ちょっと待って、熊って普通に危険生物だよね!?」


みのりが落ち着いた声で言う。


「だから慎重に行動する必要があります」


ひかりが小声で言う。


「ほんとにいるんですか……熊」


美紀は地図を確認する。


「登山客は尾根の登山道付近で待機しているそうです」


蒼牙が突然減速した。


「警告。

熊の位置を確認」


前方の林の中に黒い影。


ツキノワグマ。


小春が凍りつく。


「いるじゃん!」


ひかりが震える。


「大きい……」


蒼牙が静かに言う。


「車両での接近は危険と判断します」


唯奈が舌打ちする。


「ちっ……ここで止まんのかよ」


みのりが考える。


「徒歩で誘導するしか……」


その時だった。


後部座席で静かに熊を観察していたエミリーが立ち上がった。


金色の長いブロンズヘアが風に揺れる。

碧眼が静かに熊を見つめる。


エミリーは軽く言った。


「OK」


小春が聞き返す。


「何がOKなの!?」


エミリーは当然のように言う。


「熊でしょ?」


唯奈が叫ぶ。


「いやそれが問題なんだっぺよ!」


エミリーは車のドアを開ける。


熊がこちらを見る。


低いうなり声。


みのりが慌てる。


「エミリーさん危険です!」


しかしエミリーは落ち着いていた。


熊の目を見て、軽く手を振る。


「Hi」


小春が絶叫する。


「挨拶してるぅ!!」


熊が一歩近づく。


その瞬間。


エミリーが山道を全力疾走した。


熊が反応して追う。


小春が叫ぶ。


「熊引きつけた!」


唯奈が爆笑する。


「おいおいおい!あの女熊と競争してっぺ!」


蒼牙が冷静に分析する。


「速度計測。

エミリー時速三十キロ」


みのりが呟く。


「人間の速度ではありません」


エミリーは岩を飛び越え、斜面を駆け上がる。


熊が必死に追う。


完全に自然ドキュメンタリー。


小春が叫ぶ。


「人間が熊と追いかけっこしてる!!」


そしてエミリーは山の斜面を大きく迂回し、熊を森の奥へ誘導した。


しばらくして熊は諦めて山奥へ消えた。


数分後。


エミリーが軽い足取りで戻ってくる。


息一つ乱れていない。


小春が叫ぶ。


「帰ってきた!」


ひかりがぽつり。


「熊より速い……」


唯奈が笑う。


「いやぁ参ったなぁ!ほんとに熊と走って帰ってきやがった!」


みのりが苦笑する。


「完全にアメコミのヒロインですね」


美紀は登山客の体調を確認する。


「みなさん無事です!」


救助完了。


神奈川県警の警官が驚いた顔で言う。


「どうやって熊を追い払ったんです?」


エミリーは肩をすくめる。


そして爽やかに言った。


「ランニング」


小春が笑い転げる。


「熊対応がランニングってどういうこと!?」


エミリーは丹沢の山並みを見上げた。


そして涼しい顔で言う。


「ロッキーのグリズリーで慣れているよ」


全員。


「レベルが違う!!」


丹沢の静かな森に、

ヒロイン達のツッコミが響いた。


その日ヒロ室の任務報告書には、こう書かれた。


『熊対応:エミリー方式(熊より速く走る)』


ただし――


誰も再現できなかった。

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