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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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632/680

ロッキーは止まんねぇ!木曽山地大疾走 ― エミリー・ハート“人間機関車”作戦

岐阜県の中央部に広がる木曽山地。

御嶽山や木曽駒ヶ岳などの名峰が連なる、日本でも有数の山岳地帯だ。深い森、急峻な尾根、入り組んだ林道。かつて中山道の宿場町が栄えたこの地域は、今でも人の気配より鹿や熊の気配のほうが濃い。


その山奥へ、逃走犯が車で逃げ込んだ。


「岐阜県警より要請!山中逃走犯の追跡任務です!」


今回の任務メンバーは、

エミリー・ハート、

山口唯奈、

月島小春、

館山みのり、

杉山ひかり、

柏木理世。


そして山道を轟音で突き進むのは――


ドリームトラクター蒼牙2000・改。


巨大なタイヤが岩を踏み砕き、木曽の林道を突進する。

操縦席では唯奈がハンドルを握っていた。


「よーし蒼牙ァ!ぶっ飛ばすどぉ!逃げられっかよあんな野郎ぁ!」


蒼牙が落ち着いた声で答える。


「了解。追走モード起動。

この程度の山道、問題ありません」


後部座席で小春がテンション爆上がり。


「うおおお!これ完全に山ラリーじゃん!」


みのりが即ツッコミ。


「ラリーじゃありません!」


ひかりは青ざめていた。


「この道……普通の車通れませんよ……」


理世が冷静に双眼鏡を覗く。


「犯人、さらに山奥へ逃走しています」


唯奈がニヤリ。


「逃げられっかよバカタレぇ!蒼牙ァ!もっと踏めぇ!」


蒼牙が加速する。


しかし――


山道はどんどん細くなる。


岩。

崖。

倒木。


ついに蒼牙が減速した。


「警告。

この先、車両走行限界です」


唯奈が叫ぶ。


「はぁ!?何言ってんだ蒼牙ぁ!まだ行げっぺ!」


蒼牙が静かに答える。


「これ以上は危険です。

無念です」


小春が驚く。


「蒼牙がしょんぼりしてる!」


みのりがため息。


「さすがの蒼牙でも無理ですか……」


その時だった。


エミリーが静かに立ち上がった。


金髪が山風に揺れる。

碧眼が山の奥を見据える。


「OK」


みのりが聞く。


「何がOKなんです?」


エミリーは当然のように言った。


「ここからはランニング」


全員。


「は?」


次の瞬間。


エミリーは山道を駆け出した。


速い。


異様に速い。


唯奈が叫ぶ。


「おいおいおい!あの女なにやってんだよ!車より速ぇぞおい!」


小春が大爆笑。


「山岳生物出た!」


蒼牙が冷静に分析。


「時速二十五キロ。

人間として異常です」


みのりが呟く。


「ロッキー山脈って恐ろしい……」


エミリーは岩を飛び越え、

斜面を駆け上がり、

倒木を踏み越える。


完全に山岳動物だった。


その頃。


逃走犯は息を切らしていた。


「はぁ……はぁ……

ここまで来れば追って来られねぇだろ……」


その背後から声が響く。


低く落ち着いた声。


まるで西部劇の保安官。


「その考えは――

間違いだ」


犯人が振り向く。


そこには金髪の女。


息一つ乱れていない。


「な……なんだお前!?」


エミリーがゆっくり歩み寄る。


「逃げるのはここまで」


犯人がナイフを構える。


「来るな!」


エミリーは肩をすくめる。


「カウボーイはこう言う」


そして静かに言った。


「山は逃げる者より、追う者に味方する」


犯人が混乱。


「なんだそのセリフ!?」


エミリーはさらに一歩。


「もう一つ教える」


碧眼が鋭く光る。


「ロッキーでは――」


「私より速いのは熊くらい」


犯人。


「え?」


次の瞬間。


エミリーが一歩踏み込む。


一瞬でナイフは地面に落ちていた。


数分後。


山道に岐阜県警が到着。


警察官が驚く。


「どうやって追いついたんですか?」


エミリーは爽やかに答えた。


「ランニング」


小春が笑い転げる。


「山岳逃走犯をランニングで確保する人初めて見た!」


唯奈が蒼牙のボンネットを叩く。


「蒼牙ァ、あんた負げだなぁ!人間に負げっとは情けねぇ!」


蒼牙が静かに言う。


「認めます」


少し間を置いて。


「人類の中に例外が存在するようです」


ひかりがぽつり。


「エミリーさんだけ例外です」


みのりが苦笑。


「デンバー怖いですね……」


エミリーは遠くの山を見た。


そして爽やかに言う。


「デンバーでは普通だよ」


唯奈が即ツッコミ。


「普通なわげねぇだろバカヤロォ!!」


木曽山地に、

茨城弁のツッコミが豪快に響き渡った。


ロッキーの風は今日も――

日本の常識を軽々と追い越していた。

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