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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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630/685

ロッキーの風、横浜直撃!エミリー衝撃デビュー

横浜・みなとみらい。

海は青く、観覧車はのんびり回り、赤レンガの壁は「今日は何か起きるぞ」と言わんばかりに陽を反射している。潮風がステージをかすめ、週末の人波がイベントスペースを埋めた。


本日のヒロインは、小春、沙羅、みのり、陽菜、美紀、詩織、乙実。そして――初登場の新戦力。


DJブース風に設えた中央ステージに、小春が跳び出す。ヘッドセットを指で弾き、低音を効かせた声で叫ぶ。


「ヨコハマァァァ!準備はいいかぁぁぁ!」


歓声。


「今日はただの新メンバー発表じゃない!標高1600メートルの青空から、ロッキー山脈のワイルドな風がここ、みなとみらいに直送だ!雪解け水で磨かれたハート!スノーボードで鍛えた体幹!トレイルを駆ける脚力!自由とスマイルのハイブリッド、コロラド州デンバーの誇り!」


無駄に壮大だ。だが勢いがすごい。


「さあ、ロッキーの頂からやってきたグローバル・ヒロイン!エミリー・ハート、登場だぁぁぁー!!☆」


ドラムロール、スモーク、光。


現れたのは、長身の金髪碧眼。青い空に映える白い歯。絵に描いたようなアメリカンビューティーに、観客が「おお……」と息をのむ。


エミリーはマイクを握り、満面の笑みで――


「みなさん、こんにちは。本日はお越しいただきありがとうございます。横浜の海風、とても気持ちいいですね。」


完璧な日本語。


観客、どよめき。


「え?」「通訳どこ?」「今の発音、横浜育ち?」


小春が両手を広げてツッコむ。「ちょっと待って!その日本語、ロッキー山脈で習ったの!?」


エミリーは肩をすくめる。「小学校です。」


爆笑。


沙羅が「横浜代表は私だからね」と小声で釘を刺すと、エミリーは即座に頷く。「横浜代表は沙羅。ワタシはデンバー代表。」


会場、さらに沸く。


みのりは「国際案件の通訳、確保」と理知的にメモを取り、陽菜は「英語しゃべってぇ~!」と無茶振り。詩織は静かに感心し、美紀は「体調管理は高地仕様だね」と真面目にうなずく。乙実は控えめに拍手しつつ、目がキラキラだ。


そこへ、エミリーが突然、表情を変えた。


「ワタシ、ガイジンダカラ、ニホンゴワカリマセン~」


流ちょうな発音でカタコトを演じる。

観客、総ツッコミ。


「今さっき完璧だったろ!」「演技派か!」


小春が乗る。「ロッキー仕込みの演技力!標高が高いほどボケも高い!」


エミリーはニヤリ。「標高差でツッコミが鍛えられました。」


もう完全にヒロ室のノリだ。


そのとき、客席の一角が異様に盛り上がる。


「エミリー!ベリーグッド!ガンバリマショウネ!」


星条旗柄のハチマキ、身振り大きめ、怪しげな日本語。目立ちすぎる外国人がいる。


小春が指差す。「そこのハイテンションな方!どなたですか!」


エミリー、苦笑い。「……パパです。」


会場、爆発。


小春が即紹介。「みなさーん!あちらがエミリーパパです!MIT卒、NASA経験あり、でも日本語はまだ工事中!」


エミリーパパは両手を広げる。「ミナトミライ、サイコー!エミリー、ナンバーワン!」


観客のスマホが一斉に向く。気づけば、エミリーより先にパパが写真を求められている。


「握手お願いします!」「サインください!」


パパは快く応じる。「オーケー!ライン、ツクッテクダサイ!秩序ダイジ!」


なぜか交通整理まで始める。

美紀が小声で「医療ボランティアより手際いい」とつぶやく。


エミリーがステージから抗議する。「ちょっと!今日の主役ワタシ!」


小春が笑いながらまとめる。「みなとみらい、本日より“親子セット”で国際交流だぁ!」


潮風が吹く。観覧車がゆっくり回る。赤レンガが笑っている気がする。


エミリーは最後に、少しだけ真面目な声で言う。


「デンバーで学んだこと、横浜で育った時間、ぜんぶ持ってきました。今日は楽しみましょう。」


そして、またとぼける。


「ワタシ、ニホンゴムズカシイネ~」


分かっている。全部、分かっている。

それでも笑ってしまう。


ロッキーの風は、確かに横浜に届いた。

そして今日、ヒロ室に“国際仕様の笑顔”が加わった。


主役はエミリー。

――たぶん、パパも。

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