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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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625/679

四国ライン、始動。蜜柑とうどんとダッシュ力

四国が、やたらと騒がしい。


発端はもちろん、大西結月(香川)である。


元女子競輪選手。

小柄だが、現役時代に鍛え上げた逞しい太腿は健在。任務となれば、その脚から繰り出されるダッシュ力はもはや物理兵器級だ。


港湾封鎖、山間部搬送、狭路追走――

どの任務でも、結月は一瞬で間合いを詰める。


そして何より強いのが、山口唯奈(茨城)が操縦するドリームトラクター「蒼牙2000・改」(愛媛)との“戦隊ヒロインライン”。


自転車とトラクター。

普通ならジャンル違いである。


しかし、先行は結月、番手から蒼牙が発射。

あるいは蒼牙が先導し、結月が横から捲る。


この異種混合ラインが、なぜか噛み合う。


隼人補佐官(東京)も腕を組んで唸る。


「理にかなっている。番手の位置取りが完璧だ」


理論派からの高評価。


香川県当局は胸を張る。


「これで安心してうどんを啜れる」


県民も静かに頷く。

うどんのコシは平和の証である。


一方、愛媛。


松山の至宝と呼ばれた元ご当地地下アイドル「オレンヂ☆ステップ」のみーちゃんこと越智美晴(愛媛)は、一度は「普通の女の子に戻ります」と宣言した。


だが三日後。


「やっぱりライトが恋しかったけん」


電撃復帰。

しかも戦隊ヒロイン入り。


歴女として城郭史や難波京を語るが、会場の反応は正直微妙。


「むずかしい〜!」

「ライト眩しすぎ〜!」


しかし、ヒロヒロのバカバカしいイベントでは本気。


老体に鞭打って(※本人は全否定)、全力疾走。全力ダンス。全力ジャンプ。


その姿に県民は涙ぐむ。


しかも「蒼牙2000・改」は松山生まれ。


凱旋イベントでは蒼牙が伊予弁で語り出す。


「わしは松山の子じゃけん。帰ってきたけん」


観客大歓声。


みーちゃんも負けじと叫ぶ。


「松山は技術と文化の町!」


愛媛県庁当局は小さくガッツポーズ。

県民は今日も蜜柑が美味い。


そして徳島。


阿波のスピードスター三好さつき(徳島)は清楚で上品。言葉遣いも丁寧。


「皆様、本日もお越しいただき誠にありがとうございます」


情報番組のキャスターにも起用され、爽やかに四国を語る姿はまさに優等生。


走れば速い。

喋れば上品。

踊れば華やか。


徳島県当局は言う。


「さつきがNo1」


その自信、揺るがない。


そして高知。


土佐の突進娘・神代なつめ(高知)。


「やっちゃろうぜよ!」


理屈より勢い。

現場ではまず突進。考えるのは後。


だがその明るさと分かりやすさが圧倒的。


会場の空気を一瞬で持っていく。


「なつめはもう土佐の偉人やき」


早くもそんな声まで出ている。


こうして四国四県、ヒロイン勢揃い。


うどん、蜜柑、阿波踊り、坂本龍馬。


それぞれの誇りが、まるで独立リーグのようにぶつかり合う。


「ラインは強いが、県は譲らん」


そんな空気。


波田顧問(東京)は腕を組み、満足げに頷く。


「これぞ地域創生。オイラのやりたかったのはこれだ」


誰も聞いていないのに名言風に言う。


結月は静かにペダルを回す。


みーちゃんはライトを当てる。


蒼牙は伊予弁でうなる。


さつきは優雅に微笑み、

なつめは全力で叫ぶ。


四国は、完全に火がついた。


県の意地とお国自慢が交錯するなか、

なぜかラインは崩れない。


蜜柑とうどんとダッシュ力。


四国が、面白くなってきた。

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