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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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612/680

だんじりより速い女、まずはストレッチから。

大阪府岸和田市。


言わずと知れた、だんじり祭りの街。


豪快に山車を引き回すあの熱量と、「やりきる」精神が町の空気に染みついている。


その岸和田のスポーツジムで、今日も一人、真面目にストレッチを指導する女性がいる。


元女子競輪選手、大西結月(香川)。


現在はスポーツインストラクター兼・戦隊ヒロイン。


肩書きの落差がすごい。


「はい、股関節からいきます。無理せんでいいです。ゆっくり」


会員たちはうなずく。


「先生のストレッチ、ほんま効くわ」


「腰、だいぶ楽になりました」


結月は本気だ。


落車で腰を強打したあの日。


長期欠場。


復帰。


成績低下。


代謝制度。


強制引退。


あの苦しさを知っているからこそ、


“故障に強い体づくり”には本気で向き合う。


「痛みは敵やけど、体は味方にできる」


名言っぽいことも言う。


会員、うなずく。


そんなある日。


ヒロイン合同イベントで軽いウォーミングアップを任される。


場所は市民体育館。


観客は親子連れ中心。


ノムさんが叫ぶ。


「今日は特別講師!国家機密級の太ももを持つ女!」


結月、ため息。


「国家機密はやめてください」


マイクを握る。


緊張。


だが今日は違う。


「今日は、だんじり前でも使える簡単ストレッチです」


観客、ざわ。


「怪我せん体づくり、やりましょう」


まずは肩回し。


「はい、ぐるぐるー」


子どもたち、楽しそう。


次に股関節。


「ゆっくりです、無理せんと」


美月(大阪)が横で騒ぐ。


「うわ、伸びる!」


みーちゃん(愛媛)も真似する。


「これ、効く!」


るみねぇ(福島)が笑う。


「おらも腰楽になっぺ」


会場が一体になる。


結月、気づく。


(あれ……盛り上がってる?)


誰も転ばない。


誰もタコを担がない。


だが、笑顔が広がっている。


最後に一言。


「無理は禁物。でも、サボりも禁物です」


観客、拍手。


ノムさんが小声で言う。


「しゃもじよりウケとる」


のどかがうなずく。


「自然体やな」


イベント終了後。


結月は一人、体育館の隅で考える。


競輪ではスピードが武器だった。


ヒロヒロでは速すぎると怒られた。


トークはまだ修行中。


だがストレッチは、違う。


「これ……使える」


メモを取り出す。


【ヒロイン式・怪我予防プログラム】


・ヒロイン用ウォームアップ

・イベント前3分ストレッチ

・だんじり仕様股関節強化


岸和田の夜。


ジムでヒロインたちに軽く指導する。


「そこ、膝内に入ってる」


「はい!」


隼人補佐官(東京)が腕組み。


「結月さん、完全にコーチですね」


結月、少し照れる。


「性に合ってるかもしれません」


だんじりのように派手ではない。


しゃもじほどバカでもない。


だが確実に役に立つ。


結月は思う。


完全燃焼は、速さだけじゃない。


誰かを守る体を作ること。


それもまた、戦い。


そして次のイベントでは宣言するつもりだ。


「今日は、怪我しないヒロインを作ります」


観客、ざわ。


みーちゃんが笑う。


「結月、キャラ固まってきたね」


だんじりの街で、讃岐ダッシュ娘は今日も走る。


まずはゆっくりと、ストレッチから。


太もも国家機密級。


でも一番すごいのは、


怪我を知ったからこそ優しくなった、その目かもしれない。

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