突貫娘と舞姫、初陣に散る!? 〜頑張れモーレツヒロイン&戦え紀州の舞姫〜
新メンバーの山本あかりと白浜麻衣に、ついに初任務が下った。
場所は和歌山県某所の資材置き場。ジェネラスリンクの怪人がうろついているとの通報だ。
しかし、この時点で既に不安が漂っていた。なぜなら——
あかりは指示を1秒で忘れる。
麻衣は敵を見つけた瞬間に“そーっと後ろに下がる”。
遥広報官は心配そうに見送ったが、
美月・綾乃・彩香は「まぁ大丈夫やろ…(多分)」という表情で同行することに。
◆ジェネラスリンク出現!
怪人が吠え、資材置き場の鉄骨がガシャーンと揺れる。
美月が河内弁で叫ぶ。
「ほな二人とも、かかりや! あかり、左! 麻衣、右いけるか!?」
あかりは全力でダッシュした。
が、左ではなく右へ。
しかも、興奮しすぎて“怪人ではなく彩香”にタックルした。
「痛い痛い痛い痛い! なんでウチにくんねん!バカか!?」
彩香が播州弁で怒鳴ると、あかりはケロッとした顔で
「えへへ、行き過ぎた!」
と笑い出す。笑ってる場合ではない。
◆白浜麻衣、逃げる
一方の麻衣は、怪人の姿を見てすぐに
「今日は…ちょっと…無理かも……」
と軽やかにバックステップ。
まるでみかん箱の陰に帰りたい農家の娘のような後退速度。
綾乃がはんなり声をかける。
「麻衣さん、退がったらあかんえ。うちら、戦隊ヒロインどすえ?」
「すみません…舞い戻ります……」
小さく呟き、恐る恐る前に出る麻衣。
その様子は“戦隊ヒロイン界のダチョウ俱楽部的前進”だ。
◆背後から怪人が接近!
怪人が吠え、二人へ突進。
美月がブチ切れた。
「ちょい待てコラァ! こっちは新人指導中やねん!空気読めやボケェ!」
その河内弁にびびって、怪人が一瞬後ずさる。
新人より先輩の圧が強すぎる。
ここで綾乃が冷静に指示を出す。
「彩香さん、右から挟んで。あかりさん、次こそ左に回ってえ。」
「了解!」
とあかりは再びダッシュ——
が、またも右へ。
「なんで右やねん!!」と美月が怒鳴る。
麻衣は麻衣で、敵の攻撃を紙一重でヒラリヒラリと避けるが——
避けるだけで一切反撃しない。
本当に舞っているだけである。
◆ようやくフィニッシュ
最終的には、美月の河内魂ドロップキック、
綾乃のはんなり扇子ショット、
彩香の播州流ソバットで怪人が撃退される。
あかりは「すごーい!」と拍手。
麻衣は「皆さん…強い……」と尊敬のまなざし。
美月は言う。
「まぁ、今日はこのへんでええわ。あんたら、筋はええねんで?」
綾乃が微笑む。
「次は…ちゃんと左と右を覚えてほしいどすな」
彩香が腕を組んでうなずく。
「麻衣、避けるだけやなくて、ちょっとは叩け」
新人二人は深々と頭を下げた。
資材置き場に、風が吹く。
鉄骨の隙間をすり抜け、どこか遠くから運ばれてきたような、哀愁と未来を孕んだ風だ。
その風が、まだ未熟な二人の新人ヒロインの髪を揺らす。
そして——
重低音の語りが、空のどこかから降ってくる。
「見よ! あれが山本あかり!」
「四日市の太陽を背に、考える前に走り出す“突貫娘”!」
「今日も彼女は、左に行けと言われても右へ行く!」
「だが、それでいい! それが彼女の生き様なのだッ!!」
「頑張れ、モーレツヒロイン・あかり!」
「その勢いだけのダッシュが、いつか世界を救う…かもしれない!」
一拍置いて、次の声が響く。
「そして白浜麻衣!」
「紀州の風に育まれた、天衣無縫の舞姫!」
「軽やかに回避し、華麗に下がり、そしてまた下がる!」
「戦う意志はあるのか!? ないのか!? いや——その曖昧さが魅力ッ!」
「戦え、紀州の舞姫・麻衣!」
「その一歩下がるステップは、いつか世界を前に進める…かもしれない!」
徐々に音楽が盛り上がる。
どこで流れているのか分からないが、たぶん脳内で鳴っている。
「二人のヒロインは、まだ未完成…!」
「だが、未完成だからこそ伸びしろがあるのだ!」
「美月! 綾乃! 彩香!」
「三人の先輩が叩き込み、鍛え上げ、怒鳴り、たまに頭を抱えながら、新人を育てる!」
「その絆こそが、戦隊ヒロインプロジェクトの真の力なのである!」
光が差し込む。
練習場へ向かう、あかりと麻衣の後ろ姿が揺れる。
まだふらふらしている。
「走れ、あかり!」
「舞え、麻衣!」
「未来は君たちのダッシュとステップに託された!」
「頑張れモーレツヒロイン・あかり!」
「戦え紀州の舞姫・麻衣!」
「二人の戦いは、これからも続くのである!!」
新人ヒロインたちは、今日も明日に向かって走り出す——
…方向だけ、間違えないように。
次週もどうぞご期待ください!!




