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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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湯けむりしゃもじ大戦争!〜みーちゃん凱旋、道後が湯気で包囲された日〜

道後温泉駅前広場。


からくり時計の前に、異様な横断幕が掲げられていた。


「みーちゃんの みーちゃんによる みーちゃんのためのイベント」


どう考えても誰かが止めるべき文言だが、止めなかったのがヒロヒロである。


松山凱旋。

越智美晴、帰郷。


だが普通の凱旋ライブではない。


本日のメイン企画は――


『道後温泉 湯気でしゃもじ耐久選手権』


意味は、ない。


ノムさんがマイクを握る。


「道後の湯気に耐えられるしゃもじこそ、世界に通用するんじゃ!」


野村ラッパが、湯けむりより先に吹き荒れる。


のどかが即座に言う。


「世界は関係ない」


しかしイベントは始まる。


ヒロヒロ公式グッズ「戦隊ヒロインしゃもじ」がテーブルに並ぶ。湯気を模した加湿器がフル稼働。スタッフが団扇であおぐ。


観光客が足を止める。


「……何やってるの?」


第一競技。


湯気の中でご飯をよそうタイムアタック。


しゃもじが米にくっつくか否かを真顔で検証する。


みーちゃんが実況する。


「さすが道後の湿度ですね!粘度が違います!」


何の話だ。


紀州の舞姫・白浜麻衣が挑戦する。


「温泉の湯気、なんか癒やされますね」


優雅にすくう。


くっつかない。


拍手。


阿波のスピードスター・三好さつきが参戦。


「スピード勝負です」


異様な速さでよそう。


しゃもじが風を切る。


「競技が違う」


のどかが冷静にツッコむ。


第二競技。


湯けむり視界ゼロ・しゃもじ防衛戦。


湯気で曇るメガネ。視界不良の中でしゃもじを落とさず保持できるか。


梨乃が曇ったメガネで言う。


「鳥取の砂嵐ならもっと見えんで」


関係ない。


第三競技。


湯けむり即興ライブ。


ここで本日の目玉。


みーちゃんの古巣、「オレンヂ☆ステップ」緊急参戦。


地元ファンがざわつく。


「ヂやぞ!」

「ジは敵!」


湯けむりの中、フリフリ衣装が舞う。


みーちゃんがセンターに立つ。


イントロが流れた瞬間、松山の空気が変わる。


ダンスはキレキレ。


湯気で滑りそうになりながらもターンは正確。


観光客も巻き込まれる。


からくり時計の人形が出てくるタイミングとサビが奇跡的に重なる。


会場、大歓声。


ノムさんが泣きそうな顔で言う。


「これじゃ!これが瀬戸内の力じゃ!」


のどかが言う。


「ただの凱旋ライブじゃ」


コメント欄が爆発する。


《しゃもじ関係なくなってる》

《温泉の使い方間違ってる》

《これぞヒロヒロクオリティ》

《意味不明なのに楽しい》


さらに謎企画。


“湯気で曇ったしゃもじにサインを書けるか”選手権。


誰も望んでいない。


だが白浜麻衣が妙に真剣。


「紀州魂です」


三好さつきも微笑む。


「阿波も負けません」


意外と全員楽しんでいる。


みーちゃんがマイクを握る。


「松山の皆さん、ただいま!」


拍手。


「しゃもじで何やってるんですかって?私も分かりません!」


大爆笑。


ノムさんが最後に叫ぶ。


「ヒロヒロは湯気を超えて世界に羽ばたくぞ〜!」


のどかが即座に止める。


「まずは温泉に怒られんようにせえ」


夕方。


湯けむりの向こうに笑顔が残る。


観光客は写真を撮り、地元ファンは満足げに帰る。


意味はなかった。


だが確かに、楽しかった。


コメント欄が最後に流れる。


《これぞヒロヒロ》

《くだらなさが一流》

《またやって》


みーちゃんは湯気の中で小さく笑う。


「地元でこんなバカやれるとは思わんかったわ」


しゃもじは今日もくっつかない。


そしてヒロヒロは、道後の湯気に包まれながら、

何の意味もなく、最高に平和な一日を作り上げた。

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