紀州の舞姫、みかん畑から世界へ 〜今日も平和にステップ踏む〜
白浜麻衣は、和歌山のやわらかな陽ざしに育てられた“ほんわか系の舞姫”だ。
しかしその実態は——みかん農家で鍛えられた、
腰も脚も戦隊ヒロイン界トップクラスの俊敏さを誇る農家製ブースト少女である。
朝から晩まで軽トラに揺られ、みかん選別を手伝い、
「S級」「M級」「わけあり」のタグ付けを秒速で判断する。
その“無駄のない手際”は、農協のおばちゃんたちがざわつくほど。
そんな麻衣が戦隊ヒロインにスカウトされた理由は単純。
遥広報官が紀の川市のイベントで、
麻衣の“盆踊りなのにステップがバレエ寄り”という謎の動きを見て、
「あ、これ敵の攻撃ほぼ当たらないタイプの子だ」
と直感したためだ。
麻衣自身はというと——
「え、わたしでいいんですか?みかんまだ収穫残ってるけど…」
という、爆速で控えめな返事。
だがその控えめさとは裏腹に、一度踊り出すと空気が変わる。
風のようにすばしこいステップで敵の攻撃を全部スカッと避ける姿は、
まるで**“紀州を駆ける高速みかん精霊”**である。
性格はおっとり。声も柔らかい。
しかし、敵にみかんを踏まれたりすると——
「それは…ちょっと……許せないかなぁ」
と一言だけ呟き、次の瞬間、
敵が三方向に飛んでいく(比喩ではなく)。
普段怒らない人が怒ると怖い典型である。
ちなみに、麻衣のコードネームは
《ミカヅキ・パヴィヨン》。
月の光の下で舞う戦乙女、というカッコよすぎる名前だが、
本人は
「名前だけ立派で申し訳ないです…」
と、照れ笑いしながら汗をかいている。
18歳にして、戦隊ヒロイン、みかん農家の即戦力、
ダンサー、そして将来の幼稚園の先生候補。
そのどれも自然体でこなす麻衣に、周囲はつい甘くなる。
美月いわく
「おまえはええ子すぎて逆に心配やわ!」
彩香いわく
「ええけど…敵の攻撃避けすぎちゃう?」
綾乃いわく
「はんなりしつつ強烈どすなぁ、この子…」
と全員が驚き半分、心配半分。
だが麻衣はいつもにこにこして答える。
「今日もみんな、元気に過ごせたらそれでいいですよね」
……そんなこと言ってる間に、背後で敵がまた転がっている。
今日も紀州の舞姫は、平和のために軽やかにステップを踏む。
次に彼女が舞う場所は、みかん畑か、それとも戦場かーー。




