応援は、うちの生きがいやねん
「ナイスやー!その調子やでぇっ!」
体育館に美月の大声が響き渡る。チアリーディングサークル「スパークル☆ブルーム」の練習日、今日も東大阪の爆裂エール娘・赤嶺美月のテンションはMAXだ。
普段はキャンパスの片隅でお弁当を食べながら後輩に河内弁でツッコミを入れてる彼女だが、一度ユニフォームに袖を通すと、まるで別人のようにシャキッと輝く。スパッと跳び、ピシッとポーズを決める姿は、まさに"応援の申し子"。
そもそも美月がチアリーディングを始めた理由は、ちょっと変わっている。
「なんでうちが千葉ロッテファンかって?そんなん、京セラで観て衝撃受けたからやん!」
そう。東大阪在住の生粋の地元っ子でありながら、彼女はなぜか千葉ロッテマリーンズの熱狂的ファン。
「ロッテの応援、ヤバない?あの応援団の気迫に魂持ってかれたんや。もううちの中の“応援魂”がドッカーンって爆発したんよ!」
思えば、小学生の頃からAKBに憧れ、吉本新喜劇にツッコみ、お天気お姉さんの完コピを披露するなど、表現することが好きだった。だがその根底にあったのは、「人を元気にしたい」という気持ちだったのかもしれない。
「そんでチアやってるん、結局“応援”がうちの生きがいなんよ」
そう笑う美月は、みんなの前で全力ジャンプを決めて、後輩にガッツポーズ。
「センパイ、今日もキレッキレですね!」
「ほめたっても何も出ぇへんけど……おやつは分けたるで!」
そんなやりとりも日常茶飯事。
時には戦隊ヒロインとして極秘任務に駆り出されるが、その合間を縫ってサークルにも顔を出す。バク転を決める美月の姿は、まさに“戦えるチアガール”。
彼女のエールは、時に敵を圧倒し、時に味方の背中を押す。
「うちの応援は、どこでも通用するで?この前、怪人相手に“がんばれー!”言うたら、ちょっとひるんだもん」
「それ、応援ちゃうやろ!威嚇や!」
そんなツッコミにも負けず、美月は今日もどこかで誰かにエールを送り続ける。
戦隊ヒロイン、赤嶺美月。彼女にとって「応援」は、戦いと同じくらい尊い行為なのだ。