しゃもじ結界発動!宮島・鹿とヒロイン神頼みダービー大騒動
多少マジメになった――はずのヒロ室広島、通称ヒロヒロ。
だが所詮ヒロヒロである。
今回の舞台は世界遺産・宮島。
海に浮かぶ大鳥居、潮の満ち引きで姿を変える厳かな社殿、石畳の参道、そして人より堂々と歩く鹿たち。日本屈指の観光地であり、広島人にとっては特別な祈りの島だ。
「今回は神頼みじゃ!」
ノムさんが巨大しゃもじを掲げる。
のどかが即座にツッコむ。
「神頼み言うても、しゃもじ振り回すな!」
だが今回の企画名はすでに決まっている。
――宮島・しゃもじ大結界!鹿とヒロイン神頼みダービー。
意味はない。勢いはある。
参道にはファンが集まり、手にはもちろん“戦隊ヒロインしゃもじ”。カンカンと叩きながら熱烈応援。
「ヒーローイン!ヒーローイン!」
神聖な空気の中、どこか祭りのような熱気。
松山から参戦のご当地アイドル、オレンヂ☆ステップも登場。中央に立つみーちゃんは今日も光っている。
いや、光りすぎている。
「照明いらんじゃろ!」
のどかが思わず言うが、みーちゃんライトは健在。
観光客がサングラスをかけるレベル。
企画第一弾は「巨大しゃもじ参道タイムトライアル」。
ヒロインが大しゃもじを担いで石畳を走る。
理世は優雅に、澪は冷静に、沙羅はキラキラと。
そして梨乃。
しゃもじを逆に持つ。
「それ、すくう向き!」
「こっちの方が強そうだ!」
意味がわからない。
だがここで異変が起きる。
宮島の鹿が、なぜか梨乃の周りに集まり始める。
一頭、二頭、三頭。
完全に包囲。
「鹿が来た!」
ファンがざわつく。
梨乃は動じない。
「お前ら、ヒロインなりたいだ?」
鹿、じっと見つめる。
一頭が梨乃のしゃもじをぺろり。
「仲間だな」
なぜか懐かれる。
みーちゃんは光で鹿を引き寄せられず、梨乃だけが鹿にモテる。
コメント欄が爆発。
「鹿界のエース」
「梨乃、自然派」
「みーちゃんより鹿に愛される女」
次の企画は「鹿に好かれたヒロイン優勝選手権」。
完全に意味不明。
のどかが真顔で言う。
「礼儀は守るんじゃけぇね」
ちゃんと参拝してから競技開始。
ヒロヒロ、最低限の線は守る。
ノムさんは解説席から叫ぶ。
「鹿は神の使い!つまり梨乃は選ばれし者だ!」
のどかが横で頭を抱える。
「勝手に神託にするな!」
ファンはしゃもじでカンカン応援。
しゃもじの音が参道に響く。
みーちゃんは鹿に近づこうとするが、ライトが反射して鹿が少し引く。
「今日は光抑えめで!」
スタッフが慌てる。
最終種目は「願掛けポーズ対決」。
ヒロインが願いを込めたポーズを決める。
澪は凛とした構え。
理世は上品に。
沙羅はプリンセス風。
梨乃は鹿の角を真似する。
「それ何の願い!」
「仲良し!」
鹿が寄る。
のどか、吹き出す。
結局、優勝は梨乃。
理由は「鹿が一番リラックスしていたから」。
意味はない。だが盛り上がる。
イベントの締めは全員で正式参拝。
のどかが静かに言う。
「ふざけとるようで、感謝は忘れん」
ノムさんが頷く。
「ヒロヒロは礼儀あるバカだ」
梨乃が鹿に手を振る。
「またな!」
鹿、無反応。
みーちゃんライトが最後にきらりと輝き、観光客が写真を撮る。
動画視聴数は安定の高水準。
コメント欄は
「ヒロヒロクオリティ健在」
「鹿回は神回」
「しゃもじ結界強すぎ」
ノムさん、満足げ。
「次はどこだ?」
のどか、笑う。
「また怒られるぞ」
梨乃は真顔で言う。
「鹿連れて帰るだ?」
「ダメじゃ!」
世界遺産の島で、しゃもじと鹿と光るアイドル。
多少マジメになっても、ヒロヒロはやっぱりヒロヒロだった。
神様もきっと、少しだけ笑っている。




