Oh!突貫娘、現るッ!――四日市から来た“モーレツ無計画”ヒロイン
四日市から“突貫工事の擬人化”みたいな少女がやって来たのは、静岡県富士市の戦隊ヒロイン合同研修センターの朝だった。
入口の自動ドアが開くより速く、謎の影がドガァァン! と飛び込んでくる。
勢い余って受付の観葉植物にヘッドスライディング。土が散る。悲鳴が上がる。
「すみませーん!! まず謝っとこかと思いましてぇぇ!!」
声だけは100点満点で元気だ。
四日市の突貫娘、山本あかり(18)。
弾けるショートカットと太陽みたいな笑顔を振りまくが、その明るさはほぼ爆発物に近い。
「ちょ、ちょっと!植物が可哀想どすえ!」
綾乃がはんなり悲鳴を上げると、
「うち、気づいたら走ってしまうんです!とりあえず走っとこ!って!」
美月が眉をしかめる。
「とりあえず走る前に、とりあえず考えよか!」
彩香もため息。
「突っ走る前にブレーキいう概念、持っとる?」
しかし、本人はまるでこたえていない。
「いや~四日市出てきた瞬間からテンションMAXでして!
工場夜景見たらお父さん今日も頑張っとるわ~!ってなるんですわ!」
誰も聞いていない。
あかりは四日市の“地元愛”を語りだすと止まらない。
「四日市のトンテキは世界一で!あれ食べたら3キロはダッシュできます!
あ、ダッシュしときます!とりあえず!!」
また走った。
またぶつかった。
また土が散った。
波田司令長官が現場を見て絶句する。
「おまいさん……爆弾でも輸送してきたのか?」
遥広報官は静かにフォローする。
「まぁまぁ、元気は才能だでね……たぶん……」
そしてあかりは胸を張って名乗った。
「うちは “ブレイズ・フォーティエイト” なんで!!
四日市の“火”を背負ったモーレツヒロインです!!
Oh!モーレツ!!」
美月「昭和か!」
綾乃「そのテンション、逆に尊いどす……」
彩香「いや、尊くはない」
ただし、誤解してはいけない。
この子、戦闘能力だけは一級品。
理解力は最下位クラスなのに、ダッシュ力と体力だけは化け物。
遠距離を無視して接近戦に突っ込む癖があるが、その勢いで敵を吹き飛ばすこともある。
本人いわく、
「細けぇことはええんです!走って殴ればなんとかなります!」
遥広報官はそっとため息をついた。
「……なんとかなるといいねぇ……」
こうして“モーレツ無計画ヒロイン”山本あかりは、
今日もどこかで走っている。
考える前にダッシュし、ダッシュした後で
「うわぁ、また怒られるやつですやん!」
と笑う。
四日市の突貫娘――
その無尽蔵の元気は、味方には頼もしく、敵には災害級である。




