ヒロヒロ運動会~紫と砂丘の決戦!しゃもじより軽い勝負の行方~
広島市内某所の多目的グラウンド。
瀬戸内の風がゆるく吹き、テントは町内会レベル。
だが横断幕だけはやたら大きい。
「ヒロヒロ運動会~紫と砂丘の決戦~」
広島支部長・江波のどかが腕を組む。
「ついにこの日が来たけぇの」
隣でノムさんがサングラスを外す。
「視聴数は前回超えを狙う」
そして対戦カード発表。
紫チーム(のどか)
VS
砂丘チーム(梨乃)
梨乃のチームカラーは――
サンドイエロー。
「砂の色だよ!」
と本人は満面の笑み。
のどかは紫ハチマキ。
梨乃は黄色のタオルを頭に巻いている。
全国からスケジュールの合ったヒロインが続々集合。
美月(大阪)
綾乃(京都)
ひかり・みのり(グレースフォース)
麗奈(埼玉)
沙羅(横浜)
なつめ(千葉花見川)
「なんでこんな本気のメンバーが町内運動会に」
美月がツッコむ。
第一競技――しゃもじリレー。
しゃもじにピンポン玉を乗せて走る。
のどかが叫ぶ。
「紫の安定感見せちゃる!」
梨乃が全力疾走。
「砂は軽い!」
玉が落ちる。
「待って!」
観客爆笑。
第二競技――方言借り物競争。
お題:「“お好み焼き”を違う呼び方で言え」
美月が叫ぶ。
「粉もん!」
綾乃が優雅に。
「お好みさん」
梨乃が真顔で。
「丸いの」
ノムさんが笑い転げる。
第三競技――ドキドキ玉入れ。
玉ではなく、もみじ饅頭を投げる。
なぜか高得点ゾーンは低い位置。
紫チーム優勢。
のどかがドヤ顔。
「地の利じゃ」
砂丘チームは団結。
梨乃が必死。
「砂丘魂!」
競技の合間に動画配信のコメントが流れる。
「ゆるくて最高」
「このメンバーでこれやるのか」
「広島攻めすぎ」
同時視聴数、急上昇。
ノムさんが小声で言う。
「伸びてる」
最終競技――二人三脚障害物リレー。
のどか&美月。
梨乃&ひかり。
砂丘チーム、転ぶ。
「痛い!」
のどかが叫ぶ。
「立てぇ!」
最後はほぼ同着。
結果発表。
僅差で紫チーム勝利。
のどかが拳を上げる。
「紫は負けん!」
梨乃も笑う。
「楽しかった!」
動画配信、トレンド入り。
スポンサー席で整骨院の院長が拍手。
「来年もやってくれ」
ノムさん、満足げ。
「次はだな……」
マイクを握る。
「戦隊ヒロイン水泳大会やるぞ~!」
一瞬の静寂。
のどかが固まる。
「え?」
画面越し、ヒロ室本部。
遥室長が顔をしかめる。
「それはダメなのら~」
真帆が笑いをこらえる。
「確かにそれはちょっと」
ノムさんは止まらない。
「ナイトプールだ」
のどかが慌てて止める。
「待てぇ!」
梨乃がキラキラ。
「泳げる!」
「泳がん!」
全員爆笑。
ヒロヒロ運動会は大成功。
チープ。
だが異様に楽しい。
紫と砂丘の決戦は、誰も傷つかない戦いだった。
ノムさんはもう次のボードを書いている。
のどかは腕を組み、にやりと笑う。
梨乃は砂色のハチマキを締め直す。
広島の悪ノリは止まらない。
ヒロヒロは今日も全力でくだらない。




