紫の夜会・ヒロヒロ大感謝祭!小口スポンサーの逆襲と安っぽい奇跡
広島市内、川面に夜景が揺れるイベントホール。
その入口には、やたら長い横断幕が掲げられていた。
「ヒロヒロ③ 紫の夜会・大感謝祭」
広島支部長・江波のどかは腕を組み、満足げにうなずく。
「ついに夜会じゃけぇ」
横でノムさんが小さくラッパを鳴らす真似。
「スポンサー三十七社。全部小口」
実に誇らしげだ。
小さな和菓子店、町の整骨院、地元カー用品店、釣具屋、印刷会社、そして謎の牡蠣養殖研究会。
どれも“地域密着型”。
金額は控えめ。
だが数で押す。
のどかが胸を張る。
「数は力じゃ」
梨乃が無邪気に拍手。
「すごい!」
ノムさんがニヤリ。
「大企業はいらない。地元があればいい」
会場には各地からヒロインが集結。
美月(大阪)、綾乃(京都)、みのり(千葉)、ひかり(静岡)、麗奈(埼玉)、沙羅(神奈川)……。
そして開幕。
第一部――お国自慢マウント合戦。
司会はノムさん。
「さあ、最初は大阪!」
美月が前に出る。
「粉もん文化なめんな!」
綾乃が優雅に微笑む。
「京都は千年の都どすえ」
ひかりが静かに。
「駿河湾の恵み」
みのりが誇らしげに。
「千葉は落花生と幕張メッセ」
沙羅が冷静に。
「横浜はブランド」
会場、笑いと拍手。
のどかがマイクを握る。
「広島は紫としゃもじ!」
梨乃が元気に続く。
「鳥取は砂丘!」
一瞬の沈黙。
ノムさんがフォロー。
「砂丘は強い」
なぜか拍手。
第二部――ノムさん肝いり“ドキドキ抽選会”。
景品は、
・戦隊ヒロインしゃもじ(限定金縁)
・もみじ饅頭詰め合わせ
・牡蠣養殖研究会オリジナルTシャツ
安い。
だが盛り上がる。
くじ引き箱が小学校の文化祭レベル。
「はい、引いてください」
梨乃が勢いよくガサッ。
「当たったー!」
「何が?」
「参加賞!」
爆笑。
続いて“ヒロイン方言早口対決”。
美月が河内弁全開。
綾乃がはんなり皮肉。
のどかがドギツイ広島弁。
梨乃が因州弁で迷子。
観客、腹を抱えて笑う。
ノムさん、満面の笑み。
「安い企画ほどウケる」
そしてクライマックス。
全員で“紫の誓い”。
しゃもじを掲げる。
パチパチパチパチ!
夜空に響く木の音。
スポンサー席では整骨院の院長が涙ぐむ。
「こんなに客が来るとは」
釣具屋の社長が呟く。
「売上が伸びるぞ」
のどかが誇らしげ。
「これがヒロヒロじゃ」
梨乃がニコニコ。
「楽しい!」
ノムさんが腕を組む。
「広島は伸びる」
ヒロ室本部はモニター越しに静かに見守る。
遥室長が穏やかに。
「ちゃんと企画してる、ら」
真帆が苦笑い。
「小口の集合体が一番強いかも」
夜会は大成功。
地元スポンサーは全員満足。
ヒロイン達はなぜか充実感。
そしてノムさんが小声で言う。
「次は紫の花火大会だ」
のどかの目が光る。
「やるで」
梨乃が拳を握る。
「砂丘でもやる?」
「やらん!」
爆笑のまま幕が下りる。
ヒロヒロは正式部署ではない。
だが今、最も勢いがある。
紫の夜会は終わらない。
小口スポンサーの逆襲は、まだ始まったばかりである。




