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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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578/694

鳴り止まぬ野村ラッパ!しゃもじともみじが回線を焼き切った日

広島支部長・江波のどかは、ステージ袖で腕を組みながらうなずいていた。


「やっぱり、うちらがやればこうなるんよ」


隣でノムさんがラッパを吹く真似をする。


「プワァ〜!野村ラッパ絶好調!」


ヒロ室広島、通称ヒロヒロ。

第一弾の戦隊ヒロインしゃもじは、まさかの大ヒット。


広島市内イベント会場で叩かれまくったしゃもじは、SNSで拡散され、「必勝ヒロイン文化」として謎の流行を生み出した。


だがノムさんは止まらない。


「甘いのもいこう」


そうして誕生したのが――


戦隊ヒロインもみじ饅頭。


パッケージは各ヒロインの限定イラスト。

中身は王道のこしあん、クリーム、チョコ。

そしてなぜか紫芋味(のどか監修)。


試食会で梨乃が叫ぶ。


「これ美味しい!」


のどかが胸を張る。


「広島の魂じゃ」


発売初日、即完売。


翌日、ヒロ室の電話が鳴り止まなくなる。


「通販はないんですか!?」


「しゃもじ三本!」


「もみじ十箱!」


回線が悲鳴をあげる。


ジリリリリリリリリ!


ヒロ室スタッフが混乱。


真帆が苦笑い。


「しゃもじは……ノムさんとこ……じゃね」


遥室長も静かに言う。


「その件はブラックキャブさんに一任するら」


こうして“丸投げ”が決定。


ノムさんのブラックキャブプロダクション。


本来は芸能事務所である。


だがこの日、様子がおかしい。


「電話三十本待ちです!」


「回線増設!」


「饅頭在庫が足りません!」


しゃもじ工場もフル稼働。


職人が困惑する。


「なぜこんなに売れる」


電話が鳴り止まない。


ジリリリリリリリ!


事務所の奥からひょっこり顔を出すのは、所属タレントの氷見ゆりえ。


童顔色白、グラビア界の星。


「わたしも電話とります?」


「ゆりえちゃんは撮られる側だ!」


「でも今ヒマです」


結局、電話席に座る。


「はい、ブラックキャブです〜」


「えっ、ゆりえちゃん!?ほんもの!?」


「しゃもじ五本と饅頭三十箱ですね〜」


事務所騒然。


ファン歓喜。


スタッフ絶望。


「芸能事務所が通販窓口になってる!」


回線、再びパンク。


ノムさんは腕を組む。


「想定内だ」


のどかが目を輝かせる。


「全国展開じゃのう!」


だが現実は過酷。


発送まで三か月待ち。


「え、三か月!?」


「熟成期間です」


しゃもじも追加生産。


ヒロインしゃもじ第二弾、金しゃもじ仕様。


もみじ饅頭、季節限定さくら味。


売れる。


売れすぎる。


ブラックキャブの倉庫は段ボールの山。


ゆりえが段ボールに埋もれながら呟く。


「芸能って何だろう」


ヒロ室本部では。


真帆が苦笑い。


「広島は元気だねえ」


遥室長が静かにうなずく。


「ちゃんと企画すれば、ええら」


のどかは紫のしゃもじを掲げる。


「ヒロヒロは止まらんけぇ!」


梨乃も饅頭を頬張りながら叫ぶ。


「おかわり!」


野村ラッパ、再び鳴る。


プワァァァァ!


しゃもじが鳴る。


パチパチパチ!


広島から始まった悪ノリは、全国へ。


ヒロ室広島、ヒロヒロ。


それは正式部署ではない。


だが今、最も回線を焼き切っている部署である。


そしてノムさんは、次なる爆弾企画を考えている。


「次は……しゃもじ型キーホルダーだな」


広島の風は甘く、そして騒がしい。

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