【しゃもじで世界を救え!ヒロヒロ大暴走、紫の必勝大集結!
広島市内、川沿いにある大型イベントホール。
近くには緑豊かな公園と路面電車がゆったり走る、観光客も地元民も集うエリア。
イベント会場としては使い勝手がよく、物産展や音楽フェスも開かれる“それっぽい”場所だ。
そこに掲げられた横断幕。
「ヒロ室広島第一弾イベント!」
広島支部長・江波のどかが腕を組む。
「紫の血が騒ぐのう」
隣にはブラックキャブプロダクション社長、ノムさん。
ニヤニヤしている。
「今回は堅いのはナシだ。自由にやる」
遥室長から「ちゃんと企画すればええら」と言われたのを、都合よく解釈している男。
そしてノムさんが“勝手に”決めた公式応援グッズ。
戦隊ヒロインしゃもじ。
「必勝祈願と広島名物の融合だ!」
色違い。
名言入り。
金箔風プリント。
レア紫仕様。
ステージ上でのどかが叫ぶ。
「ヒロヒロ公式応援は、しゃもじを叩くんじゃ!」
梨乃が横で振り回す。
「叩けー!」
観客が戸惑う。
だがノムさんがマイクを握る。
「戦隊ヒロインしゃもじ、今なら限定販売!振って叩いて世界を救え!」
一瞬の沈黙。
次の瞬間――
売店が爆発。
「ください!」
「紫二本!」
「必勝セット!」
飛ぶように売れる。
スタッフが叫ぶ。
「完売間近!」
美月モデル完売。
綾乃モデル完売。
ひかり・みのりのグレースフォースしゃもじ完売。
麗奈モデル完売。
……美音モデルだけ残る。
スタッフが小声で。
「なぜだ」
ノムさんが肩を叩く。
「在庫は希望だ」
ステージは大盛り上がり。
大阪の赤嶺美月がしゃもじを豪快に振る。
「これええやん!」
西園寺綾乃が上品に叩く。
「ええ風情どすなぁ」
ひかりとみのりのグレースフォースはリズムを刻む。
麗奈が美しくポーズ。
観客のしゃもじが一斉に鳴る。
パチパチパチパチパチ!
異様な光景。
ヒロインイベントというより、必勝祈願の集会。
だが熱気がすごい。
のどかが叫ぶ。
「広島、いけるじゃろ!」
梨乃も叫ぶ。
「しゃもじで怪人倒せる!」
「倒せん!」
美月がツッコむ。
途中、しゃもじスマッシュ体験コーナー。
怪人役のスタッフにしゃもじを振り下ろす。
軽い。
だが観客は大笑い。
SNSで拡散。
「しゃもじヒロイン爆誕」
「紫しゃもじ欲しい」
会場外まで行列。
スポンサー企業もニヤニヤ。
「追加発注しましょうか?」
ノムさん、ホクホク顔。
「言っただろ?くだらないほど売れる」
ヒロ室本部はモニター越しに絶句。
「……成功してる」
ラストは全員集合。
しゃもじを掲げるヒロイン達。
のどかが宣言する。
「ヒロ室広島、始動じゃ!」
梨乃が叫ぶ。
「ヒロヒロ最高!」
観客のしゃもじが鳴り響く。
パチパチパチパチパチ!
広島の空に響く木の音。
想定外の大人気。
美音しゃもじだけ少し残るが、それもご愛敬。
ノムさんが腕を組む。
「次はもみじ饅頭だな」
のどかの目が光る。
「まだまだやるで」
ヒロヒロ第一弾。
しゃもじで世界は救えない。
だが、広島は救われた。
そしてノムさんは、さらに悪ノリを始めている。
紫の風は、まだ止まらない。




