勝手に爆誕!?ヒロ室広島(ヒロヒロ)始動!広島支部長の野望とノムさんの悪ノリ
戦隊ヒロインプロジェクト推進室――通称ヒロ室。
そこに「広島支部」という正式な部署は存在しない。
だが、誰もがなんとなく認めている。
江波のどか=広島支部長。
本人も堂々と名刺に(自作で)書いている。
「戦隊ヒロインプロジェクト 広島支部長」
ヒロ室スタッフは見なかったことにしている。
問題は一つ。
広島でのイベントが、ほぼゼロ。
「開店休業じゃけぇ!」
のどかは机を叩く。
そこへ現れたのが、因幡の太陽・山根梨乃。
加入してようやく広島勢が二人。
「支部、倍増!」
とはいえ二名。
のどかは拳を握る。
「これで広島でイベントできるじゃろ!」
だが現実は厳しい。
遥室長に直談判。
「広島でやらせてください!」
遥は穏やかな駿河弁で言う。
「やりたい気持ちは分かるら。でも、今は他の地域で手いっぱいら。スポンサーの折り合いも、なかなかつかんらよ」
真帆も山口弁で続ける。
「今は難しかろうねえ」
歯がゆい。
のどかは唇をかむ。
「紫の血が騒ぐんじゃ」
そこで動いた。
のどかは単身、ブラックキャブプロダクションへ。
待っていたのは――
野村吉彦社長、通称ノムさん。
広島出身。
県立広島東城高校(通称・東城高)卒。
のどかの大先輩。
卒業後、単身京都の撮影所へ。
映画会社の大部屋俳優として芸能界入り。
のちにマネージャーへ転身し大物を担当。
独立して「ブラックキャブプロダクション」設立。
グラビア中心の芸能プロで業界の風雲児。
波田顧問とも旧知。
政府高官にも顔が利く。
裏の世界にもなぜか詳しい。
のどかは頭を下げる。
「先輩、広島でイベントやりたいんです」
ノムさん、にやり。
「オレも故郷に錦を飾りたいと思ってたんだ」
即答。
「やろうじゃないか」
行動力が異常。
そのまま遥室長へ電話。
「遥ちゃん、広島でのイベントはオレ達に任せてもらえないかな?」
遥、駿河弁で。
「ノムさんがちゃんと企画してくれるなら、ええら」
即OK。
のどかとノムさん、目が合う。
高校の先輩後輩。
性格、似ている。
やや熱血。
やや強引。
やや悪ノリ気質。
ノムさんが言う。
「広島凱旋イベント、ド派手にいこう」
のどかが頷く。
「紫を基調に」
「カープとサンフレ両方絡めるか?」
「サンフレ優先で!」
盛り上がる二人。
横で梨乃が聞く。
「うち、何するん?」
「梨配る!」
「よっしゃ!」
悪ノリの匂いが漂う。
だが遥室長は多忙。
その危険な空気に気づいていない。
数日後。
「ヒロ室広島」準備室設置。
略称――ヒロヒロ。
勝手にロゴも作成。
紫と赤の混色。
なぜか鹿のシルエット入り。
ヒロ室本部はざわつく。
「そんな部署あった?」
「知らん」
のどかは胸を張る。
「正式発足じゃ!」
梨乃は横で手ぬぐいを振る。
「ヒロヒロ最高!」
ノムさんは腕を組む。
「広島、動くぞ」
広島支部、二名。
だが勢いは全国区。
暴走気味の先輩後輩タッグ。
悪ノリの予感。
しかし――
地元愛は本物。
ヒロ室広島、半ば勝手に始動。
紫の風が、新橋まで届く日は近い。
そして遥室長は、まだ気づいていない。
この二人が組むと、だいたい大騒ぎになるということに。




