因幡の太陽、華麗に進化!?おしゃれになっても中身はラブラドール
浜崎莉央の魔法は本物だった。
博多のセンス番長が選び抜いたコーディネート。
白ブラウスに淡色スカート。
髪はゆるく整え、足元もすっきり。
あの“ドラッグストア直行スタイル”だった山根梨乃は、見違えるほど華やかになった。
鏡の前で本人が一言。
「……誰?」
ヒロ室総ツッコミ。
「あなたです」
そんな変身を遂げた因幡の太陽は、意気揚々と広島へ戻った。
大学構内。
ゼミ仲間が遠くから見つめる。
「……誰あれ?」
「山根やろ?」
「うそじゃろ」
梨乃は手を振る。
「おはよー!」
友人たち、ざわつく。
ひとりが近づいて言った。
「急におシャレになって、なんか変な梨でも食うたんか?」
梨乃は胸を張る。
「そうなんじゃ!」
即答。ノリノリ。
「未来の梨!」
「意味わからんわ!」
キャンパス爆笑。
確かに変わった。
だが中身はそのままだ。
階段で足を踏み外し。
「うわ!」
白ブラウス、泥。
「台無しじゃろ!」
「えへへ」
笑っている。
おしゃれで洗練されたラブラドール。
しかし頭の回転は相変わらず。
ゼミ発表。
見た目は都会風。
中身は砂丘。
「えーと、鳥取の経済は……梨です!」
教授が静かに眼鏡を外す。
「もう少し具体的に」
「糖度が高い!」
爆笑。
だが不思議と憎めない。
以前は“面白いラブラドール”。
今は“おしゃれで面白いラブラドール”。
進化したのは外側だけ。
ある日、のどかと学食。
のどかがまじまじと見る。
「垢抜けたのぉ」
「じゃろ?」
「でも頭はそのままじゃ」
「なんで分かるん?」
「今、味噌汁に砂糖入れたじゃろ」
梨乃、固まる。
「甘い方がええかなって」
「やめんさい!」
周囲爆笑。
しかし確実に、梨乃は変わっていた。
姿勢が良くなり。
歩き方も少し自信ありげ。
写真を撮られれば、ちゃんと映える。
だが油断すると。
リュックから梨が転がる。
「おやつ!」
「持ってくるな!」
講義中にファッション誌を開き。
「莉央ちゃんすごいわ〜」
しかしページは上下逆。
のどかが呆れつつも笑う。
「因幡の太陽は因幡の太陽じゃな」
ある日のヒロイン合同練習。
都会風コーデで登場。
他のヒロインも一瞬息をのむ。
「かわいい!」
梨乃、得意げ。
だが準備運動でつまずき。
「ぎゃっ」
そのまま大の字。
全員、腹を抱える。
莉央からメッセージが届く。
「梨乃ちゃん、可愛かばい?」
梨乃、即返信。
「可愛いけど転んだ!」
「そこは直らんとね」
おしゃれになっても、抜けている。
洗練されても、天然。
だがそれでいい。
友人が言う。
「前よりなんか自信ついとるな」
梨乃は笑う。
「ちょっとだけ都会やけぇ」
「広島じゃ!」
「どっちでもええわ!」
夕暮れのキャンパス。
華やかになった因幡の太陽が笑う。
見た目はアップデート。
中身はそのまま。
だがそのまぶしさは、確実に増している。
おしゃれで洗練された面白いラブラドール。
今日も転び、笑い、周囲を明るくする。
進化したのかしてないのか分からないが――
確実に、可愛さは増量中。
因幡の太陽、今日も全開。




