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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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568/694

高原のそよ風がレーンを制す!“さわやか結花さん”爆誕の夜

それは、パーフェクト300の数週間後のことだった。


テレかん深夜の奇跡――

「スーパースターボウリング」で番組史上初のパーフェクトを達成した塩原結花は、静かに投げ続けていた。


ロケ先のボウリング場に設置された背景パネルは裏返すと料理番組のセット。

スポンサーは消費者金融と健康グッズ通販。


だがレーンの上では、結花はいつも同じだった。


「ごきげんよう。本日も全力で参りますわ」


姿勢は美しく、背筋はまっすぐ。

助走は静か。

リリースは流れるように優雅。


ストライク。


その瞬間の笑顔が、なぜか視聴者の心を掴んだ。


SNSに投稿された一言。


「なんかこの子、さわやかじゃない?」


それがすべての始まりだった。


■番組スタッフの証言


「最初はパーフェクトの話題性だけでした。でもコメントがね、妙に前向きなんですよ」


「結果より過程でございます」


「一投一投が成長でございます」


言葉遣いは上品。

だが時々――


「そこ、もうちょい腰落とすっぺ」


突然の栃木弁。


視聴者がざわつく。


「今の何!?」「急に方言!」「かわいい!」


上品なお嬢様言葉と、素朴な栃木弁。


そのギャップが“萌え”として拡散される。


高原のそよ風のような笑顔。


汗をかいても清潔感しかない。


気づけば番組のコメント欄はこう呼び始めていた。


――さわやか結花さん。


ある日の収録。


芸人がガーターを出して落ち込む。


結花は優しく言う。


「大丈夫でございます。次がございますわ」


そして小声で。


「切り替えだっぺ」


スタジオ爆笑。


芸人が言う。


「この子、性格までさわやか!」


定年間近アナが微笑む。


「我々の番組に、風が吹きましたね」


視聴率はじわりと上昇。


2%台後半。


テレかんにとっては快挙。


そして事件は起きる。


某シャンプーメーカーからオファー。


理由は単純。


「清潔感がすごい」


撮影当日。


白いワンピースの結花が高原の草原を歩く。


風に揺れる髪。


「結花さん~ 結花さん~ さわやか結花さん~♪」のCMソング


そしてナレーション。


「一投一投が、美しさをつくる」


結花、カメラに向かって。


「日々の積み重ねでございますわ」


その直後。


「地道がいちばんだんべ」


スタッフ、爆笑。


そのまま採用。


CM放送開始。


翌日、SNSトレンド入り。


“さわやか結花さん”


一気にバズる。


テレかんの社内騒然。


「うちの番組からCMスター!?」


スポンサー会議がざわつく。


消費者金融の担当が言う。


「うちも清潔感出せますかね」


無理である。


ヒロイン仲間たちも盛り上がる。


ゆりえが言う。


「さわやか結花さん〜!」


麗奈が茶化す。


「風吹いてるよ、今」


ヒロ室でも定着。


隼人補佐官が敬礼しながら。


「さわやか結花さん、本日の出動準備完了です」


結花、顔を赤くする。


「おやめくださいませ」


しかしどこか嬉しそう。


ノムさんも絶好調。


「俺は最初から分かってた!」


野村ラッパ炸裂。


だが今回は誰も止めない。


なぜなら、本当に人気が出ているからだ。


ボウリング協会もざわつく。


「ヒロインで、パーフェクトで、CM?」


だが映像を見ると、納得する。


フォームが美しい。


コメントが前向き。


爽やか。


そして時々、方言。


番組収録の終盤。


結花は静かに構える。


「本日も、さわやかに参りますわ」


助走。


リリース。


ストライク。


スタジオ拍手。


司会アナが言う。


「さわやか結花さん、本日も見事です」


その呼び名が自然に響く。


結花は小さく笑う。


「さわやか、でございますか?」


そして、そっと。


「悪くねぇんだんべ」


スタジオ、爆笑。


テレかんの深夜に吹いた風は、

確実に広がっていた。


低予算。

スポンサー少なめ。

落ち目タレント救済番組。


それでも。


レーンの上には、高原のそよ風。


“さわやか結花さん”は今日も静かにボールを投げる。


革命は轟音でなく、

さわやかな風とともに訪れるのかもしれない。

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